以前書いたレビュー記事(『『残酷すぎる成功法則』著エリック・バーカー レビュー①~成功哲学も科学的分析対象へ?!~』)の続編です。最近は、ブログの更新自体が放置気味なので、この本のレビューも①で終わって放置してしまうのではないか?と思っていたのですが、なんとかパート②へ・・・(;'∀')

 

 この本の第4章では「なぜ「ネットワーキング」は上手くいかないのか」と題して、外向的人間と内向的人間それぞれの成功モデルについて解説されています。この章で最初に紹介されるのは生涯で500人以上という数多くの数学者との共同研究を行ったことと、その奇妙なライフスタイルで知られていた数学者のポール・エルデシュです。

 

(Wikipedia『ポール・エルデシュ』

 

 ポール・エルデシュは他の数学者と数学論文を書くという目的のためだけに巡回生活を営んでおり、この章の冒頭では成功した外向的人物の成功例として取り上げられています。

 

 そして、続けて過去に行われた様々な調査の結果から、外向的な人物は経済的な成功やビジネス上の成功を得やすく、(様々な人脈を通してめぐってくる)幸運を引き寄せる可能性が高く、さらには幸福度の面においても(たとえ一人でいる時ですら)高い幸福感を得ていることが説明されます。

 

 お金について言えば、 外向的な人のほうが稼ぐことがいろいろな調査結果で示されている。スタンフォード大学がビジネススクールの卒業生を二〇年間調査したところ、成功者のほとんどが典型的な外向型人間だったという。さらに、子ども時代まで遡った調査もあり、「児童期に外向的だった人は、外的な成功(地位、高収入など)を手に入れる確率が高い」 という。また、高校のクラスでの人気度が下位二 〇%から上位二〇%に移ると、四〇年後の収入が一〇%上昇すると推測できるとの調査結果もある。ただし、成功はもちろん収入だけでは測れない。昇進と外向性の関係はどうだろう?ある調査によると、「外向性は、仕事の満足度、給与水準、生涯における昇進の回数 などとプラスの相関関係にある」という。(中略)

 

 では、もしあなたが失業中だったらどうだろう?あるいはもっと良い職場に移ろうと考えていたら?その場合にも、外向的なほうが有利だ。
社会学者、マーク・グラノヴェッターの画期的な説、「弱い紐帯の強み」によると、絶好の機会が、親しい友人からもたらされることは意外に少ないという。日ごろ親しい仲間は、同一の情報を共有しているからだ。つながりの薄い知り合いを多く持つほうが、最先端のことを見聞きする機会に恵まれる。それに大きなネットワークを持っていれば、次の仕事に就いたときにも役立つ。さらに、「ネットワーキングは兼業等による給与の増加、ひいては、時間の経過とともに給与の増加率とも相関していることが、マルチレベル分析によって示された」 という研究結果もある。

 

 長いので一旦このくらいで止めておきますが、まあ様々な社会調査の結果ほとんど人生のあらゆる面で外向的であることは優位であると証明されていることが説明されます。

 

 では、内向的な人物の成功例は無いのか?となると、もちろんそんなことはありません。

 

 それでも内向性について取りあげよ う。エルデシュは、すべての数学者やその姉妹とまでつながることによって信望を得た。では、誰とも知り合わずに、科学者として成功することは可能だろうか?じつはイエスである。宇宙の摂理を書き換えたニュートンについて、私たちはいくら称賛してもたりないが、彼はほぼ完全に独力でそれを成し遂げたのだ。たしかにアリストテレス、ケプラー、ガリレオも偉大だが、ニュートンは宇宙の営みに関して、論理的一貫性のあるまとまった指針を示してくれた。彼が、私たちを魔術の世界から科学の世界へと導いてくれたのだ。それ以前は、宇宙の営みに関する予測は数学ではなく、推論に基づいていた。ニュートン以降、私たちは宇宙が法則によって動いていることを知った。作家のジェームズ・グリックが述べたように、ニュートンはまさに「現代世界の主任建築家」である。二〇〇年後にアインシュタインが現れるまで、ニュートンに匹敵する衝撃をもたらした者はいない。たしかにアインシュタインは、科学者たちが考えていた宇宙の法則を覆したが、ふつうの人びとが毎日暮らすこの世界の見方まで変えたわけではなかった。ニュートンは、私たち一般人すべてにとって画期的な変革者だった。

 

 先の説明では、人生のほとんどあらゆる面でポジティブな影響があると考えられていたハズの外向性ですが、歴史上もっとも偉大な科学者の一人であるニュートンが他者の助けを借りずにほぼ完全な独力でその成果を達成したことから推測できるように、外向性には決定的な欠点が存在ます。それは、専門技術への熟達度、つまり、一言でいえばリソースの集中度が散漫になってしまうということです。

 

 疑う余地なく、ニュートンは「史上最高の頭脳の人」のなかに数えられる。もしあなたが彼ほど頭脳明晰だったら、人の助けはいらないだろう。しかし、ニュートンのとてつもない才気はさておき、ほかに彼の人生から私たちが学べるものがあるだろうか?「一万時間の法則」 を覚えているだろうか?もし誰にも邪魔されないとしたら、あなたは何かの道を究める時間をたっぷり持てるだろう。たえず注意をそらされる この時代、私たちは皆、ニュートンから学ぶことがある。そう、外向的な人は素晴らしいネットワークから貴重な資源を活用することができる反面、本当に重要だと思うことに十分な時間を使えなくなってしまう。独りで精勤する時間が侵害されるからだ。もうおわかりだろうか。内向的な人のとびきりの強みは、それぞれの専門分野でエキスパートになれる可能性が、外向的な人よりはるかに高いということだ。   そのことを如実に示した、『外向性は個人的な熟達度と負の関係にある』 と題する研究がある。平たくいえば、「外向的であればあるほど、業績が落ちる」 ということだ。すでに見てきたように、多くの友人を持つことは明らかにメリットだ。しかし同時に、注意散漫の元にもなる。

 ニュートンは、生涯独身を貫き通し、友人もほとんどおらず、その唯一の連絡方法も手紙のみだったそうです。つまり、ニュートンは外界の人間関係からほぼ完全に遮断された状況の中であれだけの成果を残したということです。また、トップアスリートの約9割は自信を内向的であると認識しており、人気スポーツのトップスターからイメージされる大勢の仲間やファンに囲まれた華やかなイメージとは裏腹に彼らの成功やパフォーマンスの陰にはそれらを支える膨大な時間と労力をかけた孤独な修練であるということです。

 

 生涯情熱を注ぐ対象になるものだけに一途に没頭することは、高度にクリエイティブな人びとに共通する習性だ。一九九〇~九五年に、九一人の並はずれて創造的なアーティスト、科学者、実業家、官僚について調査を行った心理学者、ミハイ・チクセントミハイによると、彼らの多くは青春期に社会のはみだし者だったという。その理由の一つは、彼らの「熱狂的な好奇心、または一意専心ぶりが同級生 には奇異に映った」ことにあった。社交好きが過ぎて独りの時間をあまり持たない十代の若者は、往々にして自分の才能を培うことに失敗する。演奏を練習するにも、数学を学ぶにも、彼らが忌み嫌う孤独な時間を必要とするからだ。

 

 では、なぜ内向的なパーソナリティにはこれほどの利点がありながら、先の調査結果ではあれほど外向的な人物のメリットばかりが示されていたのでしょうか?その理由の一つは、「外向型」の人物と「内向型」の人物の宣伝能力の違いにあると説明されています。つまり、外向的人物のほうが自身の成果や有能さを周囲の人々にアピールする能力が高いということなんですね。また、そもそも内向的人物のほうが、他者からのポジティブなフィードバックを心理的に必要としないという点も挙げられるかもしれません。また、これは私の個人的な考えですが、外向的な人物の目標や成功は社会的な傾向が強く、逆に内向的人物の目標や成功は内向きで個人的な成功を追求してるのではないかとも思います。ともあれ、様々な要因から社会においては外向的な人物を評価するバイアスがかかっているということですね。

 

 ところで、このように考えたときに外向的な人物の目標や成功の指標は比較的単純で理解しやすいものであると言えるでしょう。金銭、社会的地位、周囲の人々からの称賛etc…では、果たして例えばニュートンなどのような極めて内向的な人物は何を目標に努力したのでしょうか?次回以降の記事では、この外向的な人物の求める報酬と内向的な人物の求める報酬の違いといった観点から、様々な問題を考察してみたいと思います。

 

 

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