第1章 1節  メール | かぜやみてPSO2!

かぜやみてPSO2!

私こと かぜやみどき のファンタシースターオンライン2での活動とか
Ship1とShip4にて活動中!

響き渡る怒号

鳴り止まぬ砲撃

 

味方の砲弾を誘導するためのスコープを通し遠方の敵戦車を睨み続ける作業に10秒程が経った

なかなか来ない味方の砲撃に気持ちが逸る

 

突如として頬が焼ける痛みが走った

持っていたものを全て放り投げ咄嗟に身を伏せる

目前の景色は塹壕のごつごつした壁だけになる

 

音からして少銃弾だと思った

 

私を撃とうとした奴を探さなければ 身を乗り出し報復しなければ

そう思い体を起こそうとすると、至近での爆裂音と共に砂埃が立ち込める

 

また身を伏せる

 

こんな運動をもう何度やった事か そもそも何故こんな所に私は居るんだ

やけ糞の様な感情に心を蝕まれるのを感じながらふと思い出す

 

あの人から貰った銃はどこへやった

 

咄嗟に伏せた時にスコープと共に手から放った事を思い出した

心の底から"しまった"と思った

 

急いで探さねば 敵は目前に迫っている

 

 

首を巡らせると違和感を感じる 手を首にかけるとその原因であるベルトを触った

そうだった。負い紐をつけていたんだ

すぐに銃把(ピストル部。引き金を引くため握る場所。)を握る 弾倉を外し残弾チェック 残弾あり 弾倉再装着

 

土を蹴る音が聞こえる

至近に走る人 それも敵の陣からこちらに向かって来る音

 

身を起こしながら対象を見やる

光る剣を携え突進してくる敵が一人

 

銃床を肩に当てつつ銃口を指向

引き金に指をかける

人差し指に力をかける

 

耳をつんざく爆裂音

すかさず肩への衝撃がつづく

それが何度も繰り返される

 

敵は肩の衝撃とともに揺れる

 

衝撃、衝撃、衝撃……

 

その度に敵の体は揺れ、突進の勢いは弱まる

 

衝撃、衝撃、衝撃……

 

こちらに向かってきていた筈の敵はバランスを保とうともがいている

 

衝撃、衝撃、衝撃……

 

敵の体が揺れ続ける。

それはダンスの様であり……いや、ダンスと呼ぶには奇妙な動きだった

 

衝撃が止むと同時に爆裂音も止んだ 叫ぶ自分の声が聞こえる

引き金を引きながら、どうやら私は叫んでいた様だ

衝撃が止んだのを思い出す もう弾倉が空だ

空弾倉を外しながらポケットを探る 新しい弾倉は……あった

最後の一個が手元にある

それを感慨深く見つめ、銃に取り付ける 再装填

 

もう、戦えない 退かねばいけない

退く潮時はとうの昔に去っていた 留まっていたのは敵戦車への執着心からだ 

放り投げた誘導用のスコープは行方知れず ならば戦車を屠るために私が採れる手段は無い 

抗えない事を知り心は急速に冷え込みかつての執着心もどこかへ消えてしまっている

 

「帰りたい」

 

口に出して言ってしまった、するとこの場所に居ることが凄い怖い事に思えた。小銃弾で破裂した敵の体は先ほど間近で見た——私も同じ目に遭うかもしれない

 

恐怖に飲み込まれた体が土を蹴る。向かう先は故郷のある方角

とても遠いけど走り続ければいつかは着く そう信じて走り始めた

 

背骨が折れる音と、聞きなれた爆裂音が聞こえた

 

 

 

 

 

ぼやける視界とともに意識が覚醒し始める。不快な夢を見た後の目覚めというのはとても気分が悪い。

寝がえりでくしゃくしゃになった髪に指を入れ、ぼりぼりと頭を掻きながら身を起こす。どうやら背骨は折れていないようだ。

 

半身を起こした後はぼーっとするのが日課だ。今日も今日とて、夢の内容を反芻しながらやけに妄想力のたくましい自分の脳味噌を恨んだ。

夢で見たのはアークスである彼にとってまず経験することのない悲惨な戦場であった。

 

アークスとは一言で表すと「傭兵」だ。正規の軍隊とは違い自らの懐を肥やすために戦う。

その戦い方は、フォトンという彼らが扱えるエネルギーのようなものを用い圧倒的な戦闘能力の差で敵を殲滅する事だ。アークスが12人も揃えば事実上、敵なしだ。

もちろんアークスにも本来の任務というものはある。

宇宙を旅し彼らを擁する”オラクル”とその船団。これを守ることが目的だ。

アークスは任務の依頼で惑星の調査が主な任務となっている。その中で敵対的な原生生物もおりそれの殲滅も行っている。だからといって大々的に入植している訳でもなく、どちらかというとその目的はとある外敵を殲滅する事に注力されている。

その外敵の名はダーカー。宇宙に蔓延る絶対悪……オラクルではそういわれている。これを発見しその勢力の拡大を防いでいる状態である。

 

それを知ってか知らずか、彼は今ベッドの上でぼーっとしている。食って暮らすには充分なお金が溜まったし、ダーカーによるオラクルの民を運ぶアークスシップへの襲撃も小規模で人員は余っているほど。その事実は彼のやる気を喪失させている。

しかしそれ以上に彼のやる気を削いでいる原因がある、ここ最近のアークスの不祥事であった。度重なるダーカーによるアークスシップへの大規模襲撃を許しオラクルの民に甚大な被害を及ぼしたり、オラクル船団の旗艦たるマザーシップの喪失、深遠なる闇と呼ばれるダーカーの親玉のような敵の復活、そしてアークスシップの何者かによる乗っ取りなど。数々の不祥事は、かつての憧れでアークスに成った彼の誇りを恥に変貌させている。

要は自棄になったのだ。アークスである自分が嫌いだった。

 

しかしいくらアークスである自分が嫌いだとしても腹は減る。腹が減ると辛いので辛い自分のために食わねばいけない。朝食を作るべく、ベッドから立ち上がろうとした。

その時、コールが鳴る。

メールメッセージのコールだ。文書を着信したらしい。

立ち上がろうと床に足をつけ座っている姿勢のまま彼は宙に手を振り、半透明のディスプレイのようなものを支えるものの無い空間に出現させる。

そのディスプレイを操作し、メールの受信ボックスにたどり着く。一通のメールが届いてることを確認できた。

件名と送り主だけが書いてあり、件名には「仕事の依頼」とあり送り主は「ミリシア士官学校渉外部」とある。その付近を指で押す様に操作すると本文が現れた。

”シナツ様へ——”

彼の名前から始まる本文には仕事の依頼とその内容、報酬が記されていた。「ミリシア士官学校」という見慣れない単語を見た事と、こんな形で仕事が紹介されると事は初めてである彼にとっては、ただそれだけの事なのに新鮮な感じがして、受けたいという気持ちになってしまった。

 

シナツは張り切って朝食を作り始めた。

 

 

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こんにちわ!カゼヤミです♪

急に何が始まったんだって感じかもですが、お察しの通りPSO2の同人小説になります!

フレンドさんに「作ってみて~」って頼まれて考えてみました♪

 

さぁ、今後シナツくんにはどんな未来が待っているのでしょうか?こうご期待!!