現場…色々物語⑩ | 鬼ですけど…それが何か?

鬼ですけど…それが何か?

振付師KAZUMI-BOYのブログ

生徒が増え、小さなSTUDIOでは手狭になり、私のクラスは大きいSTUDIOにスケジュールを移された。


表のクラスである。


端から見れば『あっという間に生徒を増やした』と言う印象があったらしいが、私にして見れば、随分と長い期間、生徒集めに悪戦苦闘した…と言う思いがあった。


大きいSTUDIOでクラスが持てる!と言う事は、素直に嬉しかった。




しかし…


『出る釘は打たれる』ものである。



ある日、私は自分のクラスの生徒からこんな情報を得た。


『あのね先生…。〇〇先生がね、KAZUMI-BOYの振りにはテクニックがまるで入ってない…って言ってたよ。』


全く…親切でおしゃべりな奴である(笑)。


またある時は、インストラクター同士の会話の中で…

『男のインストラクターって特だよねぇ。生徒は女が殆どだしさぁ。男ってだけで人気稼げるじゃない?』

と聞こえよがしに言われたりもした。(当時のB.D.C.には私の他にジャズを教える男性インストラクターは居なかった)



『〇〇ちゃん、KAZUMI-BOYのクラスを受ける様になって…下手になったね。』


と言われた事もあったし…

『KAZUMI-BOYのクラスは人数だけで、下手クソな生徒しか居ない』


と言われもした…。



まぁ…叩かれた!叩かれた!(笑)。



私は、こうした『野次』が聞こえてくる度に、エクササイズに改良を加えて行った。


インストラクター仲間からの野次に悔しさを覚えたと言う事もあるが、同時に…

『確かに…一時的な人気じゃダメだ!』


と思ったからである。



私のエクササイズのベースは、以前『由来』と言う記事に書いた、私のダンスの父(師匠)から譲り受けた物である


『お前がこの先、お前自身のクラス持って教える様になったら、俺のエクササイズを使え』


と、お許しを得て現在も尚使わせて頂いている。


師匠から私への最高のギフトなのである…。


私は、師匠のエクササイズに自分なりの改良を加えながら、現在のエクササイズへとカスタマイズして来た。


『KAZUMI-BOYのクラスはレベルが低い…なんて言わせない!』


これが私の次の目標になった。


インストラクターとは、かくも生徒と一緒に成長して行くものである。


生徒を上達させる為には、自らも成長して行かなければならない。



私は、有難い野次をぶつけられる度に、少しずつではあるが、成長して来れたのではないか?と思っている。



人を惹き付ける…


これを、事も無げにやってのける人も中には居るだろう。


しかし…不動の人気など有り得ないし、私の様な凡人は、いつも何らかの目の前の目標が必要だった。


誰をも納得させるクラスなど、この世に無いかも知れないが、そこを目指さなければ意味が無い様に私は思う。



『KAZUMI-BOYのクラスはレベルが低い』


少なくともやはり、そんな事は二度と言われたくはない。




今現在、私のクラスを受講してくれている生徒達は、こうした過去の私を知らない。


躍起になってクラスを盛り上げ様と、必死だった頃の私を知らない。



現在、私のクラスに対して他のインストラクターから野次が飛ぶ様な事はない。

だが私はいまだに度々、こうした当時の悔しさを思い出す。


当時の私の闘志…と言うか、エネルギーに負けたくないからだ(どこまで負けず嫌いやねん(;^_^A )。


当時の私が、現在の私のクラスを見る事が出来たとしよう。
その時…


『なんだ?このクラスは?実の無いクラスだな!』


などと思われたくはない(笑)。




過去の私が、今の私に嫉妬する様なクラス。


それが現在の私の目標なのかも知れない。


昔の私が


『こんなクラスなら受けたい!』


と思ってくれる様なクラスなら、恐らく間違いはないだろう…そう思うからである。


あくまでも持論であるが…

『どんなクラスを展開して行きたいのか?』


と言う自問自答は、インストラクターと言う仕事を続けて行く限りは必要不可欠である…と私は思う。



現在も私は、こうした試行錯誤を繰り返しているのであった。



《完》