ニューヨーク物語⑥ | 鬼ですけど…それが何か?

鬼ですけど…それが何か?

振付師KAZUMI-BOYのブログ


出発は7月の終わりに決まった。


友人達からは、あれやこれやと餞別品を貰い、そして送別会と称した飲み会が連日開かれた。


ニューヨーク行き前夜、それも深夜過ぎまで送別の宴は続き、なんと私は朝帰り、エラい二日酔い状態(厳密に言えば、さっきまで飲んでいた訳で、二日酔いではない!)で成田空港に向かったのである(笑)。


親しい友人達と母が、成田空港まで見送りに着いて来てくれた。


酔っぱらってグッタリしている私に


『アンタがこんなに馬鹿だとは思わなかったわむかっ


と母。


『オマエ…本当に一人で行けんのか…?』


と、呆れ顔の友人達。



初めての海外だと言うのに、全く緊張感の無い私の姿に、皆呆れ果て、神妙な見送り気分もどこへやら?であった。



無事(?)に成田に到着し、諸々と手続きを済ませると、私は吐き気を堪えながら、皆に別れを告げた。


皆、一様に不安を隠せない表情で名残惜しそうであったが、私は名残を惜しむ所ではない…。
サッサとチェックインして、トイレに駆け込みたかった。


現在の私しか知らない人達からは、さぞや意外だろうが、若い頃の私は、こうした大切な場面でポカをする、間抜けな部分が多分にあった。(今もか(^o^;)?)



夏休みに入ったばかりだと言うのに、成田空港は大混雑…。


酒に酔った上に、人酔いまで起こしそうになりながら、私は必死のチェックイン。


私は、何とかトイレで事を済ませ、ややホッとすると、手荷物のバッグからウォークマンを取り出した。


ウォークマンの中には、ある友人が編集してくれたカセットテープが入っていた。


餞別にくれたカセットテープには、私の好きそうな曲ばかりが録音されていた。

ケースを見ると、収録された楽曲名とアーティスト名が書き連ねられている。


全て洋楽で編集されている様だ。


私はウォークマンのイヤホンを着け、プレイボタンを押す。


私は友人のくれたB.G.M.にも酔いながら、搭乗する。

座席に着くと、成田空港の人混みがウソの様に、機内はガラガラだった。
後方の座席に座った私の周りには、他の乗客は居なかった。


私は窓越しに、ボーッと外の様子を見る。


やがて、飛行機が動き出す…。


離陸。


ウォークマンから流れる曲が次の曲に移る。



『!!!!?』


映画版『銀河鉄道999』のゴダイゴが唄う主題歌…?
洋楽ばかりが続いたラストに入っていた曲…。


ケースには、記載されていなかった曲…。




音符さぁ!ゆくんだ!その顔を上げて!新しい風に心を洗おう!古い夢は置いてゆくがいい!再び始まるドラマの為に音符




地上がドンドン遠くなる。








思いもよらない出来すぎた展開に、私は泣き虫になる。


はじめて不安になり、はじめて寂しさを覚えたのだった。


《続く》