物事と人間関係には『相性』と言う物がある。
しかし、歌や踊りは『相性は関係ない』と思っている私。
人は自然と歌い、知らず知らずにも踊るものだからだ。
勿論、これ等を職業にする場合、話は少し違ってくるが、基本的には人間誰しもが相性の良し悪し、そしてウマヘタに関わらず、歌い踊る生き物だ。
個人差はあるものの、習い、練習すれば必ず上達する。
と言うのが、私の信念である。
信念…などと言うと、大袈裟で堅苦しく聞こえるが、クラスを持ち、生徒を教える上で必要な事だと思っている。
しかし、教えるインストラクターも人間であり、教わる生徒も人間であるから、インストラクターと生徒の相性はある様だ。
インストラクターと生徒の馬が合えば、その生徒は急速に成長を遂げる。
更にインストラクターが、その生徒を可愛がり、生徒もそのインストラクターに信頼を寄せていれば、更に伸びるだろう。
そしてその生徒が、ダンスの基礎であり必須条件であるクラシックバレエや、不得手なジャンルのダンスクラスも並行して受けているなら、言う事ナシである。
逆に、インストラクターと生徒の馬が合わない場合はどうか?
上達のスピードは、かなり遅くなる。
インストラクターの注意やアドバイスに対し、その生徒の頭の理解、身体の理解に、何かしら、何処かしら、引っ掛かりや疑いが生じる場合が多い様だ。
例えば、私がその生徒に与えた注意を、その生徒は実行しない。
私に対する信頼が無いのか?或いは、以前に他のインストラクターに習った事を頑なに守り、それを変えたくないのか?
注意を受けたその場では「はい。分かりました。」と、返事はするものの、次回のクラスではまた、元に戻したやり方をしている。
つまり、私の注意を受け流している訳だ。
こういう生徒には、延び白がない。
注意を受け流してしまう様なインストラクターのクラスを何故受けるのか?私には解らないが、事実、こうしたタイプの生徒もいるのである。
相性が良くない…としか言い様がない。
一つの技術を伝え教える方法も、インストラクターによって十人十色であるから、上達を望むのであれば、言われた事を素直に聞けるインストラクターのクラスを選ぶべきである。
今迄に例に挙げて来た生徒達も、実は私と馬が合わないのかも知れない(笑)。
受けた注意やアドバイスを素直に聞ける耳と感性は、絶対に必要だ。
信じる者は救われる…と言うが、正しくそうだろう。
「最近、何か注意する度に、口答えするよね?なんで?」
私が以前、ある生徒に言った台詞である。
かつて素直だったこの生徒は、何がキッカケだったのかは分からないが、ある日を境に口答えをする様になった。
私が信頼を失ったのか?
その生徒の謙虚さが無くなったのか?
私は、多分、その両方であろうと思っている。
自ら成長する術を断ってしまったバカであり、相性以前の問題だ。
人間、物事を一つクリアする度に傲慢になる。
自分でも気づかぬ内に。
しかし、教わる立場であるクラスの中にいながらにして、コレに気付けないとは嘆かわしい。
当然、注意を受ける機会は減るだろう。
自ら、成長するチャンスを潰しているバカは、恐らく、一人や二人ではないだろう。
さして上手くもない内に、謙虚さが失われた者に、明日はない。
そして、次に口から出る言葉は愚痴であろう。
「最近、先生は注意してくれない!」
救い様の無いバカである…。
人のふり見て…
私は、こうした生徒と接する度に、自分を正す機会を得る。
実るほど、首を垂れる稲穂哉。
バカには縁の無い諺…
と言う事になる。