【終了後】日本一周の旅で感じたこと【番外編】 | みんなといっしょに日本一周

みんなといっしょに日本一周

応援してくれるみんなといっしょに、
自転車で日本一周する緑の人の物語。

日本一周というわがままを許してくれた家族や友達、
応援してくださったみなさまへの感謝の意味もこめて、
旅で得た経験をここに残しておきます。


その都度こまかに書いてきましたので詳述は避けて簡潔にまとめてみました。
壮大な旅、豊富な経験と勘違いされることが多いのですが、
実は旅を通して感じたことはそう多くありません。
印象の強いことは、全国どこであろうと同じでした。


1
【どんなつまらない毎日でも、人間関係さえよければ最高の人生である】

仕事がつまらない、日々に変化がない、遊びに行く場所がない。
たとえそんな生活に嫌気がさしていたとしても、
いつも隣に家族や仲間がいてストレスを感じないのであれば最高だと思う。
良好な人間関係があれば他は何もいらない。

逆に、どんなに仕事に精を出そうが、高給であろうが、名声を得ようが、
ぎくしゃくした人間関係の中では生きたくない。


2
【どんなに楽しいできごとも、ひとりだと半減する】

絶景に息を呑み、おいしい食事に舌鼓を打ち、珍しい体験をする。
それが他人から良く見えようと、ひとりだと楽しみは激減してしまう。
誰かと共有して初めて楽しかったと思えるのが旅だと感じた。

めんどくさい、早く寝たいと言いながら毎日1,2時間、長い日は5時間かけて
言葉を選びながらブログを書いてきたのも、みんなと共有したかったからだろう。
だから、小さくても何かしら反応があれば嬉しかった。


3
【ひとはみんな、自分の話を聞いてほしい】

『旅の話を聞かせて!!!』と声をかけられたのに、
質問に答えているうちに、いつの間にかその人の話がどんどん膨らんできて、
こちらは相槌のみになるということがすごく多い。

どう生きてきて、この街はこんなふうで、いつかはあんなことがしてみたい。
自分や街のことを知ってほしいという気持ちに年齢・地域は関係なかった。

俺にとっては、その人と出会わなければ、その人が存在しないのと同じだったし、
出会えたからこそ、遠くにいても存在を感じることができる。


12
【ひとはみんな、急には話せない】

たまたま出会った旅人(俺)に、信号待ちの時間や立ち話で何かを話したい。
でも何を聞いていいか...何を話したらいいのか...で、
結局『がんばってください!!!』だけで終わることも珍しくない。

『今日もし日本一周している人に出会ったら』と話を考える人はいないだろうが、
自分が住む街に改めて目を向けてほしい。
何もないと思っているのはあなただけで、外から来る人にとっては楽しみな新天地だ。

俺の立場でいうと、出てこない言葉の中からひとつこぼれた『がんばって!!!』は、
心に強く留めて応援を力に変えることができた。


4
【無知の幸せ、狭い世界の幸せ】
選択肢が広がれば悩んでしまう。知識があるとがんじがらめになってしまう。
他を選べば『あっちがよかった』と後悔し、イメージと違うとがっかりする。

本来、おいしいものはおいしいはずで、楽しいことは楽しいはず。
あれこれ比較して『●●はもっと~だった』とネガティブに考えることに意味はない。
経験の幅を広げていろんなことを知ることは大事だろうが、それで苦しむなら
無知でも『おいしい!!!幸せ!!!』と笑顔になれた方がよっぽどいい。


5
【遠くの他人より、近くの友人】

上の話と重なるが、広い世界や多くの経験というものに価値を置きたがる昨今、
外にばかり目を向け、身近な人をないがしろにはしたくないと感じるようになった。
単刀直入に言えば『遠くの他人より、近くの友人を大事にしたい』。
(物理的な距離ではなく、心理的な距離)


6
【すべての人と仲良くする必要はない】

自分に合う人、合わない人は必ずいる。
旅の間は1日5~10人、多ければ20人に話しかけられるが、
中には下品な人や、ヤジを飛ばしてくる人もいる。
その全てに快く対応する必要はない。

無理に新しい人間関係を築いたり、八方美人に生きたりするよりも、
数が少なくてもいいから、仲良くしてくれる人との関係を深めていきたいと思う。


11
【いい出会いは待っていても絶対に来ない】

話しかけられただけでも総勢2500人。
うちエピソードを覚えているのは200人、印象が強いのが50人、
その後の関係が続くのは20人いるかいないか。

その人達に共通するのは『自分も積極的に関わろうとしたこと』。
友達を作るためにあちこち動きまわったり、華美に振る舞ったり、
自分から積極的にアプローチしたりする必要はない。
とにかく心を開き、会話する姿勢を持つことで良い関係が築けた。


13
【神様・仏様は人の姿をして現れる】

僻地で前後輪パンクして絶望的になったときにかけられた声。
これまた僻地でパンクして衰弱死が頭をよぎったときに助けられた車。
山奥を押し歩く中で差し出されるコーヒーやみかん。

苦しいとき、つらいときには必ず誰かが助けてくれる。
宗教に疎い俺が神様や仏様を意識するようになったのは、特にお遍路をしてから。
窮地で見ず知らずの人に与えられた優しさは、まさに神仏そのもの。


7
【何よりもうどんがおいしい】

う~ん、説明不要(*´v`*)


8
【日本には、山しかない】

2年ちょっとかけて終わった旅も、地図上では輪郭をなぞって、
ときどきジグザグ動いているだけでしかない。
壮大な山に阻まれ何度観光地を諦め道を変更したかわからない。

山奥に意外な観光スポットを見つけたときは心が躍る一方、
都会はどこも同じ光景で滞在が短くなりがちだった。


10
【日本は広い、というか町内も果てしなく広い】

24000km走ったが、それでも日本全体から見れば1割にも満たない。
範囲を狭めて自分の町内に限定しても、
知らない場所、知らない人は数えきれないほどあるはず。

『どうせつまらないだろうから』と行かないのはもったいない。
つまらないのはその場所ではなく、そう感じてしまう自分の心。
なんでも楽しめる心のあり方が大事。


9
【観光誘致の難しさ】

『アキバ=電気街』『香川=うどん』のようなわかりやすいイメージがあれば別だが、
名前も知らないような99%の街は一見何も特徴がない。
家しかない、田んぼしかない、おみやげやさんはおろかコンビニすらない...。

そんな街が、アニメの手を借りアイドルの力を借りで観光誘致するのは
容易なことではないが、努力を感じられる街には必ずお金を落としたくなる。
有名地の名を背にして横柄な営業を続けるところよりは、
何はなくとも旅人を温かく迎える心が醸成された山村が好きだ。


14
【結局、思い出はいつも人である】

他の人の一生分の旅行以上に走りまわったが、
印象深い思い出はどれも人と一緒にいる場面。
どこで誰と出会い、どんな話をして、何を感じたか。

ある意味景色や内容はそっちのけで、人を懐かしむことも多く
良い出会いに感謝するばかり(*´v`*)


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相互に矛盾することや重なることもありますが、
どこに行っても強く感じたのは以上です。
人嫌いの俺が『もっと心を開こう』と思えたのは大きな成果でした。

日本一周は体力的・資金的・日程的なハードルが高いですが、
お遍路や知らない県1周などでもこれらのエッセンスは十分に感じられます。
人間関係に悩む人や、人を信じられなくなった人、心が沈みがちな人には
ぜひお遍路やちゃりんこでの旅をおすすめします。
人によって傷ついた心は、人によってしか癒すことはできない。
僕はそう信じています。