ネットの世界で、

『この曲、田中公平らしい』とか『絶対、田中公平だよね』

のような意味の言葉を良く見かけます。

 

いち作曲家である私の事を、その作風によって認識してくださっていて

また、それに言及してくれて

本当にありがたい事です。

 

昔は、なかなか作品のスタッフの中で作曲家まで注目されなかったのですが、

近年は、多士済々の作家が出現してくれたお陰で

皆さんの目に留まるようになりました。

これも嬉しい傾向です。

 

で、ここからが本題。

皆さんがおっしゃる『田中公平らしい』って一体なんだろう?

 

世間が私の作風として認識している『燃える作曲家』としての一面が

その大半であると思いますが、

(『ワンピース』『ゲキテイ』『ガオガイガー』『Gガンダム』など)

それは私の一部に過ぎず、もっと違う曲調、ジャンルの作品も

多数あります。

 

例えば、『氷菓』のBGMや『ああっ!女神様』の OPテーマ

『アニメ鬼平』の由紀さおりさんの歌うエンディングや『かいけつゾロリ』の BGM

『花咲く乙女』のようなサクラの美しい日本歌謡、、、などなど。

 

しかし、それも私らしい作品と聴き手に感じてもらえている。

 

その理由は、

作品、作風が違おうと、その全てに『田中公平印』を押しておこう、

と考えて作曲しているからです。

 

絵画で最後に作家が絵の端っこに書く『サイン』みたいなものです。

 

これを、自分の曲の中にもれなく入れておこう、と。

 

これは、凄く分かりやすく入っている『ゲキテイ』みたいな曲と、

良く聴いても、なかなか分かりにくい曲があります。

 

ただ、それに共通している『印』があるのです。

そしてその『印』には複数の違う『カタチ』があります。

 

それが何であるか?私だけにしか分からないので、

ここではその正体をバラさないようにしますが、

もし、興味がお有りなら、探してみてください、その『印』とやらを。

 

一つだけその『印』の種類を書きます。

それは『クライマックス』と『サブクライマックス』です。

 

あらかじめ曲の前半にその両方(あるいは片方)の伏線を張っておき

徐々に(あるいは一気に)その2つの伏線を回収して行く経緯に(あるいは一音に)

『印』があります。

 

何か、高尚な事を書いているようですが、

実はテクニック的にはそれほど難しい事では無いのです。

 

ただ、そこには少し私なりの『哲学』や『モットー』がありまして

これを話すと長くなり過ぎますので、次の機会にしたいと思います。

 

皆様の心に少しでも届くように、と

一曲、一曲、深く考えて作曲する上で、この『印』をどこかに押しておくのが、

私の楽しみでもあります。