★お客全員に必ずきっぷを見せるように促す「徹底検札主義」のJR東海

JR東海と言う会社は新幹線・在来線特急・ホームライナーにおいては「徹底検札主義」である。
原則として、お客全員に対して正しいきっぷを所持しているか確認する。実施時は車両最前部で脱帽し頭を下げた上で、検札する旨を伝えきっぷ提示を求める。

新幹線では、新横浜、静岡、名古屋、京都と言った主要駅発車後に車内を簡単に一巡した後、乗務員室に戻る途中で検札を実施。
検札のやり方としては、余程おかしなきっぷを提示しない限り、乗車区間・号車と座席番号を確認し、その旨をメモした上で検札済みの印、「ありがとうございます 東京第一運輸所」と記したスタンプを押す。
JR東海の制服の名札には単に「車掌 ○○(名字)」しかなく、所属が書いていない。車内放送でも氏名は名乗るが所属までは名乗らないため、それを知る事が出来る貴重な機会でもある。
乗車区間等を記したメモは、山陽新幹線直通列車場合新大阪でJR西日本の車掌に渡す。

「徹底検札主義」なので、寝ているお客に対しても容赦ない。
寝ているお客に対しても、必ず起こしてきっぷを確認する。
「寝ているのに起こすな!」とお客に怒られる車掌は何回も見た事がある。
「こだま」において、掛川、新富士等の「のぞみ」「ひかり」が止まらない駅発車後にも、特に後乗り車掌(最後尾に乗務しドアの開閉等を行う)がすぐに車内に現れるが、これは検札ではなく警備のためだ。
「こだま」では、新横浜、名古屋発車後にはほぼ確実に検札を行うが、他駅では必ずしもそうではない。
例えば、静岡→小田原で自由席に乗った場合、車掌が車内に現れても検札したい雰囲気はなく、停車駅が近づくとそそくさに戻る。むしろ、検札する事が少ない。

在来線特急では、各停車駅発車後すぐに車掌が現れ、乗下車駅を記したメモを参考に未検札のお客を見つけて、検札実施する。
7~8年前になるが、高山線特急「ひだ」の自由席に乗った。特急券がなかったので車掌から購入。自由席なので座席移動も自由と思い別の座席に座ったら、次の駅発車後に車掌が現れ検札されるハメになった。
そこまで徹底していると言える。
なお、在来線の普通・快速列車では、TOICA等のICカードが普及したことを理由に原則として車内検札は廃止されている。

JR西日本の北陸特急の場合、検札には積極的ではない。
かつてあった「北越」と言う特急。駅間が長い金沢~高岡は検札を実施したが、富山でまとまった乗車があったのに滑川、魚津、黒部と停車駅が連続するため検札している余裕がない。駅間が長くなった泊~糸魚川でやっと出来て、やはりそれが長い糸魚川~直江津では車内にも現れない。
「サンダーバード」や「しらさぎ」でもこんな感じで、金沢・福井発車後には実施するが、敦賀発車後にはやらない。
9月に乗ったJR北海道の「北斗」。函館→東室蘭2時間半ある中で、車掌が現れたのはたったの1回。車販員の方が現れた回数が多い程だった。
JR北海道の場合は、自由席よりも指定席に対する検札を重視しているようで、新夕張から乗った「スーパーおおぞら」では指定席に乗った私のためだけにわざわざ検札に来るほどだった。

JR東日本や私鉄の小田急・近鉄の場合、特急券未所持客でない限り検札する事はない。
車掌が所持するスマホ程度の大きさの端末。リアルタイムで特急券の発売状況が把握出来る。それを参考に車内では実際の着席状況を確認。発売済みの座席に対してお客が着席していたら、「このお客は当該座席の特急券所持」とみなす。だからいちいち「きっぷを見せてください」とは言わない。
お客にとっては、正しいきっぷ所有・正しい座席さえ利用していれば、車掌に声をかけられる事がないため、寝ていても起こされる事はない。
鉄道においてもメリットがあって、検札要員の車掌を乗せる必要がなくなる。その分コストカットにつながる。
つまり、車掌1人で簡単に検札を済ませる事が出来る。JR東日本の新幹線(但し12両のE7系や2編成併結の列車は除く)、近鉄特急では2人以上車掌を乗せる事は皆無に等しい。
東海道新幹線に乗ると必ず検札が来るため、JR東日本や近鉄と同じスタイルにしてくれ!と多々思う。
「徹底検札主義」である以上、それをする可能性は限りなくゼロに近く、どんなに技術が発展しても、人の目による確認は永久的に続けると思っていた。

・・・前置きが長くなったが、JR東海の「徹底検札主義」は以前から当ブログで批判を展開した。
「JR東日本や近鉄と同じやり方にしろ!」と言うのが私の意見だ。
毎回東海道新幹線に乗るごとに、車掌がきっぷを確認する。そもそも新幹線は改札を受けずに乗る事は事実上不可能。
実質的には改札と車内できっぷを確認するので二度手間となる。効率が悪い。これは面倒だし、煩わしい。

★2016年春のダイヤ改正から指定席・グリーン車の検札を廃止!その理由は?

「東海道新幹線の車内改札方法変更」(JR東海ホームページ)

↑「やっとか・・・」と思ったのが本音であった。
2016年春のダイヤ改正日から、東海道新幹線の普通車指定席・グリーン車に限り、車掌による検札を廃止。一方で自由席は検札を継続。これが最大のポイント言える。
理屈としては、前述のJR東日本や近鉄と同じだ。

一方で自由席だけは検札継続。これはなぜか?
上記リンクの2ページ目を参照されたい。
例として、東京19時発の「のぞみ253号」5号車1番A席を所持しているお客が、18時に改札通過し先行列車に乗ったとしている。具体的な列車名は記されていないが、当ブログでは便宜上東京18時10分発の「のぞみ57号」の自由席に乗った事として説明する。
JRのきっぷのルールとして、指定以外の列車に乗る場合、普通車自由席に限り当日中の利用が認められている。

「のぞみ57号」に乗ってしまったので、「のぞみ253号」5号車1番A席は発売済みなのにお客は誰も来ない状況になってしまう。
本来ならば、みどりの窓口(JR東海は「JR全線きっぷ売り場」と称する)で自由席に変更したり、すぐに発車する列車の指定席に変更して
「のぞみ253号」5号車1番A席を未発売にさせる手続きを行うのがマナーだ。
しかし、それをするのは面倒だし時間がかかる。
先日、発車直前に新幹線の指定席を変更したら、先客の待ち時間を含めて
10分かかった。1分1秒に忙しいビジネスマンはそういう事を嫌う。だからやらない。すぐに来る「のぞみ」に乗ってしまう。

当然発車直前であっても指定席に乗りたいお客は山ほどいる。「チャンスロス」をなくすために以下の事をやる。
「のぞみ57号」の自由席に着席。新横浜発は18:29。直後に検札に現れる
。車掌がきっぷを確認したら、「のぞみ253号」5号車1番A席は車掌端末から即座に空席扱いに変更する。時刻的には18:35~18:45頃だろう。
そうすると、東京・品川・新横浜・名古屋・京都の各駅から発車直前に指定席が欲しいお客に対して、
「のぞみ253号」5号車1番A席を発売出来る。
発売済み座席があるのに、実際には誰もいない状況をなるべく減らしたい意図が見えてくる。それが検札廃止の理由であろう。
現行のシステムでは、それをやると「重複」(二重発券)と判断され、車掌端末ではエラー表示となる。こうならないようにシステムを改修。

さらに、JR東海が盛んに宣伝している「エクスプレス予約」。
この利用者が全体に3割にもなると言う。40万人/日の利用があるので、単純計算で12万人/日が「エクスプレス予約」で東海道新幹線のきっぷを買っている事になる。
現行では、完全な「チケットレス」となっていない。
予約情報が入ったICカードを改札機にTOICAやSuicaと同じような要領でタッチすると、前方から予約した内容が書かれた紙が出てくる。
これを持って、指定された座席に着席し検札が来たらこれを提示しないといけない。
今後、改札から紙が出てこない旨は上記リンクに書いていないが、仮に紙が出てきても正しい座席に着席出来ていれば、検札を受ける事はない。


だが、車掌が3人乗る事には変わりないだろう。
なぜならば、短時間で自由席の検札を済ませるにはどうしても人数が必要。「のぞみ」ならば3両しかないため、1両のみを1人が検札すれば短時間で終了出来る。
さらに、「座席が汚れた」等のトラブルが他の新幹線や特急よりも多いのが特徴で、「数字」にすれば1列車当たり平均7~8件あると言う。その対処のためには車掌の人数を減らせない事情もある。