先日、以下のニュースが流れて来ました。
冒頭が少しだけ見られますが、そこから先は有料記事となっております。
とはいえ、2024年4月20日の毎日新聞経済面で全文が読めます。
インタビュー記事となっておりまして、インタビューを受けましたのは、あの“メイ著”であります、
『デフレの正体』
の著者であります日本総研主席研究員の藻谷浩介氏です。
この記事の中で、気になりましたところをチェックしてみようと思います。
(引用部分は青字)
【異次元緩和の結果を見て】
私は2010年刊行の「デフレの正体」で、金融緩和は内需を拡大させないと指摘した。
さて、答え合わせです。
【図1 政権別名目国内需要(季節調整値)の推移(2007年3月~2023年12月)】
しっかりと国内需要が伸びている事が分かります。
しかし、物価上で増えるはずの名目GDP(国内総生産)は12~23年でみて年率1.5%と微増にとどまり、
【図2 政権別名目GDP成長率の推移(2007年~2023年)】
所謂“異次元緩和政策”を実施する前は、マイナス成長でした。
そこからプラス成長に転じたという事を、忘れてはいけません。
そこを隠して非難する事は、チェリーピッキングの典型例と言われても仕方ない事でしょう。
【アベノミクスの総括】
日本経済の価値を下げる亡国政策だった。
「日本経済の価値」を何で測ったのでしょうか?
例えば「企業の価値」といえば、株価でしょう。
という事で、日経平均で視てみます。
【図3 政権別日経平均株価(月次・始値)の推移(2007年1月~2024年4月)】
日本経済の価値が所謂“異次元緩和政策”によりまして4倍になったと言えましょう。
あと、米ドルベースで四の五の言っておりましたが、単に円高であっただけで、国民は困窮しておりましたのが現実でしたからね。
【消費増税が経済成長を妨げたのでは?】
98年の経済の減速を、97年に3%から5%へ増税されたせいにする論者もいるが、その後に5%から8%に増税された14年、10%に増税された19年に、名目GDPが微増だったことを語らない。
4回の増税で1回しか起きなかったことを普遍の原理のように論じるのは科学的ではない。
ここを一寸、押さえておきましょう。
【円高で輸出が減るといった見解もある】
85年のプラザ合意で円高が始まって以降、日本の輸出は円ベースで倍増以上、ドルベースでは数倍以上に増えている。
プラザ合意がございました1985年までは遡りませんでしたが、1994年以降の状態がこちらです。
【図4 名目輸出額(米ドル換算)及び実質実効為替レート(1994年3月~2023年12月)】
また、所謂“異次元緩和政策”を実施後の国内需要も以下の通りです。
【図5 名目国内需要及び実質実効為替レート(2013年3月~2023年12月)】
【デフレ脱却や日本経済のために大切なこと】
なにより、賃上げで個人消費を増やすことだ。
先程の消費税増税の際の発言と矛盾している事が、こちらのグラフでも分かります。
【図6 消費税率別実質消費活動指数の推移(2003年1月~2023年12月)】
これでは、いくら賃上げをしましても消費活動が回復して日本経済を牽引する事は、非常に困難であると言えましょう。
金融緩和を改めれば株価は下がるが、騒ぐ必要はない。
株価の上昇は経済成長をさせなかったし、その下落で経済が縮小することもない。
【図7 日経平均株価(月中平均・終値)及び六ヶ月後の就業者数(季節調整値)の推移(1997年1月~2023年12月)】
つまり、株価の下落を「騒ぐ必要がない」とする事は、国民が職を失う事に対して無関心であるという事の自白に過ぎないと、私は考えます。
とどのつまり、この記事の読後の感想は、