インドの演劇って、今はもう目に止まるほどの盛況って感じじゃなくって、むかしむかしの凄い戯曲、マハーバーラタとかそう言う時代のものの再演とかがチラホラ行われてるだけ、現代演劇っていうものは全然だって、ネットで見ました(余談ですが、してみると範宙遊泳って劇団がデリーで最近公演を打ったのって、結構挑戦的ですね)。
でも、インドで廃れてしまった(らしい)演劇文化は、仏教がそうであったように(?)インド人の全体文化に溶け込んで、生き続け
てるんです。インドでは大衆の娯楽として、映画がメインストリームみたいな感じになってます。その中に、インド演劇のメソッドが生きています。

 インド映画は殆どがミュージカルになっていて、突然歌って踊り出すっていう意外さがエキゾチック趣味の方々に受けている、というのは多くの読者様が知っていられようと思います。登場人物が感情の赴くままに歌って踊り出す、まさに演劇的な感情表現ですね。日本の演劇でもよくみる「パフォ」にあたるものです。
 次はあまり知られていないインド演劇・音楽のルールです。रासा(ラサ)と呼ばれるもので、平安、色気、笑い、悲しみ、怒り、勇ましさ、恐怖、嫌悪、驚きといった九つの感情の要素を一つの芝居に詰め込まないといけません。滅茶苦茶ですね。これらのお決まりを守りつつ、インド映画の多くが作られています。

 最近日本でも市民権を得ている(主観)インド映画の中に『きっと、うまくいく』という作品があって、僕はそれが大好きです。この映画が好例と思いますので、興味を持たれた方は是非ご覧ください!

 結局何の話かというと、翻って日本ではこういった演劇が「どうあるべき」っていう主義を持ったり、主張をする風潮がすっかりなくなってると思うんですよね。良いか悪いかは別として。それだけに例えば大学生の作る演劇を観ても「等身大」に作った芯のない演劇が多いように思える。これって演劇に限らず今の日本全体の流れにも言えると思います。

 作り手としては、やっぱりここはこうあるべきってものを自分の中にもっていて、これは譲れないって部分が必要になってきます。インド映画みたいな芝居を作っている、というわけではないですが、お客様に楽しんでもらえるような「強い演劇」を新人一同で作っております。

自信を持って作っておりますので、是非駒場小空間に足をお運びください。

新人舞台監督・舞台 野中

劇団綺畸2015年度新人公演『水星劇場』
作・演出 岩崎雅高
3/19(土) 19:00
3/20(日) 14:00/19:00
於 駒場小空間
入場無料カンパ制