ふと書店に立ちよった時に読んだ「嫌われる勇気」というタイトルの本の内容が非常に良かったのでここでその内容を少し紹介したいと思います。
今の僕は幸いなことに人間関係で大きな悩みを抱えていませんが、何年か前にかなり悩んだ時期がありました。その時にこの本に出会っていれば・・・と強く思いました。
現在人間関係に悩んでおられる方はかなり参考になると思われます。
・人間関係の悩みをなくす考え方
好きでもない人間と関わらなければならない、嫌いな上司の機嫌をとらなければならない、大好きな人と仲良くなれない、職場の輪に入れない。
人間関係には色んなタイプの悩みがあり、例を挙げればキリがありません。
しかし、どのタイプの悩みでも、「人間関係」に関する悩みであれば通用する重要な考え方があります。
それが「課題の分離」という考え方です。
-課題の分離とは?-
あらゆる人間関係の悩みは、他者の課題に踏み込むこと、もしくは自分の課題に他者に踏み込まれることによって生じます。
人間関係の悩みを解決するためには「これは誰の課題なのか?」という視点から、自分の課題と他者の課題を分離する考え方が重要です。
誰の課題なのかを見分ける方法は、シンプルに「その選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰か?」を考えればよいです。
例えば、授業も聞かない、宿題もやらない、なかなか勉強をしない子供と、その子供に頭を悩ませている親がいるとします。
ここで「課題の分離」の考え方を使って、「勉強をしない」という選択によってもたらされる結末を最終的に引き受けるのは誰なのか?を考えます。
「勉強をしない」という選択により、授業についていけなくなる、希望の学校に入学できなくなる といった結末を最終的に引き受けなければならないのは子供です。親ではありません。
したがってこれは子供の課題であり、親の課題ではありません。
「勉強しない」という課題は子供の課題なので、親はこの課題に対して土足で踏み込むようなことはしてはいけないのです。
とはいっても子供が勉強もせず遊びほうけていても見てみぬ振りをして、完全に放置しろと言っている訳ではありません。
親は子供にたいして、勉強をサボってばかりいるとどのような結果がもたらされるのか、そして、その結果を引き受けるのは誰であるのかを伝えなければいけません。「これはお前の課題なんだ」と子供に教えることが親の責任です。
しかし、勉強を強制させたり、勉強時間や勉強のやり方に対していちいち口出しはするべきでないのです。
「馬を水辺に連れて行くことはできるが、水を飲ませることはできない」ということわざがあるのですが、まさにそれです。
別の例を出してみましょう。
話が通じない上司がいて、部下に対してことあるごとに怒鳴りつける、嫌味を言ってくる。どんなに頑張っても決して認めてくれることはなく、必ず悪いところを見つけ出して文句を言ってくる。 こんな場合はどうでしょう?
ここでも課題の分離を行います。
この場合、部下の課題は「出来るだけ良い仕事をすること」、上司の課題は「部下の仕事を評価すること」です。
なので、部下は自分の持てる力をフルに活用して、なるべく良い仕事が出来るよう努力しなければなりません。
しかし、それがどう評価されるかは部下の課題ではありません。上司の課題です。
つまり、上司が怒鳴りちらそうが、嫌味を連発しようが、一切気にかける必要はないのです。
怒鳴ったり、粗探しをして嫌味を言ったりなどの、理不尽な感情や評価は上司が始末すべき課題であって、部下の課題ではないのです。
この部下と同じように、私たちの課題は常に「自分の信じる最善を実行すること」だけです。それに対して他者がどのような評価を下すかは「他者の課題」です。
他者が自分のことを、好きでいようが嫌いでいようが、笑っていようが怒っていようが、一切気にする必要はありません。それは他者の課題であって自分の課題ではないのですから。
「他者の課題には介入せず、自分の課題には他者を介入させない。」これが人間関係の悩みを解決する可能性を大いに秘めた、課題の分離の考え方です。
-本当にそんな考え方でいいのか?-
他人から嫌われようが、怒られようが、それは「他者の課題」であって「自分の課題」ではない。だから他人からどう思われようが知ったこっちゃない。
本当にそんな考え方でいいのか?自分勝手すぎないか?
そう思った方もいるかもしれません。
では逆に考えてみましょう。
自分と関わる人には極力嫌な思いはさせない、誰からも嫌われないようにするし、怒られないようにする。そのような生き方はどうでしょうか?
この生き方を実行する方法は一つです。常に他者の顔色をうかがいながら、あらゆる人に合わせて自分を変えるしかありません。
10人の他人がいれば10通りの、100人の他人がいれば100通りの他人に嫌われないための自分を作らなければなりません。
しかし、この生き方は大きな矛盾を抱えてしまいます。
例えば、運動が大好きなAさんの前では「身体を動かして気持ちよい汗をかくのは最高ですよね」と話を合わせながら、運動が嫌いなBさんの前では「休日まで身体を動かすのはめんどくさいですよね」と調子を合わせる。
さらに、すべての他人から嫌われないようにするには、できないことをできると約束したり、責任が取れないことまで引き受けたりしなければならなくなるでしょう。
誰にも嫌われない生き方は、自分に嘘をつき、他人にも嘘をつき続ける生き方です。他人の顔色をうかがいながら嘘をつき続けるストレスは想像を絶するでしょう。
-完全な自由を手に入れる-
嫌な人と関わりたくない、人付き合いを避けたい。人間関係で悩む方は誰もがこう思うはずです。
「自由になりたい」 と
人間には生まれながらに「承認欲求」という欲望があります。
承認欲求は「人から嫌われたくない」、「みんなから好かれたい」という欲望で、食欲や性欲と同じで本能的なものです。しかし、人間関係での自由を手に入れるためには、この承認欲求を手放す必要があります。
例えば「食欲」で考えると、好きな食べ物を、好きなときに、好きなだけ食べられる状態が食欲の自由ではありません。
ラーメンを食べても満足、お米を食べても満足、パンを食べても満足、ピーマンを食べても満足、食事の量が多くても少なくても満足。
これが食欲から開放された完全な自由です。
性欲も同じで、パートナーとのセックスでも満足、オナニーでも満足、セックスもオナニーもなしでも満足。
これが性欲に振り回されない完全なる自由です。
そして、承認欲求から開放された本当の自由とは、他者から好かれてもいい、嫌われてもいい、尊敬されてもいい、バカにされてもいい、怒られてもいい、笑われてもいい、ホメられてもいい。
「他者にどう評価されようが私は一向に構わない」
この姿勢が人間関係の本当の自由です。
本のタイトルが「嫌われる勇気」であるのもそのためです。
・簡単なまとめ
人間関係のあらゆる悩みを減らす考え方が「課題の分離」という考え方である。
自分の課題は常に自分の信じる最善を尽くすこと。
自分の行いに対して他者がどう評価するかは「他者の課題」であり、自分は一切気にかける必要はない。
「人から好かれたい」、「人から認められたい」という承認欲求をなくすことができれば、人間関係のストレスから完全に開放される。
いかがだったでしょうか?
300ページある本を1ページにまとめてみましたが、なるべく核心部分のみを抽出するようにしました。
この記事を読んで下さった方が少しでも人間関係に対する考え方を変えて、ストレスから開放されればいいなと思います。