胸椎をあらわす頭文字D、別の本ではTってなってるんですけど… | 整体の奥義を体系的に学べる学校ブログ!! 身体均整法学園。

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身体均整師ではない施術家の皆さまにも参考にしていただけるような記事を更新してまいります!


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冲中重雄著『内科書』より

上の写真は呉建博士から冲中重雄博士が執筆者として引き継いだ『内科書』、わたしがもってる版は1979年のもので、それに載っているデルマトーム図です。

胸髄に注目してください。「T」と「D」が混在しています。

胸髄、あるいは胸椎は「T」か「Th」であらわすのが現在では一般的ですが、均整師は慣例的にずっと「D」をつかってきました。「D」というのは胸椎(背側脊椎)をあらわす英語「dorsal vertebrae」の頭文字です。

ちなみに一般的にはそれぞれ、

頚はC=Cervical(サービカル)

胸はTもしくはTh=Thoracic(スォーラシク)

(→なぜかTh「ティーエイチ」をドイツ語ふうに「テーハー」と読む場合もあります)

腰はL=Lumbar(ランバー)

仙はS=Sacral(セイクラル)

尾はCo=Coccyx(コクシクス)



以前どこかの先生から、

「それぞれ胸椎をあらわす言葉の頭文字で、「T」は英語。「D」はドイツ語。もともと日本は明治のはじめにドイツの医学に範をとることに決めていたので、その当時の名残りで「D」表記になっている。しかしその後、アメリカの医学が先頭きって発達したので現在ではアメリカの医学に沿うかたちになっている。だから英語表記“Thoracic”の頭文字をとって「T」が主流になっているのだ。」

と教わって、なるほどそーかと納得していたので、「Dはドイツ語なんだよね」とどこぞで薀蓄垂れたこともあるんですが、いやいや間違ってましたね笑 どんなに説得力あってもキチンと自分で調べなおしてみなきゃいけないなと改めて思いました。誤情報流してすみませんm(_ _)m

ちなみにドイツ語で胸髄神経は“Thoracic Rückenmark”、胸椎は“Brustwirbelsäule”のようです。

先日ここのコメント欄で質問いただいてあらためて調べてみたんですが、均整亀井が強く影響を受けた呉-冲中は「D」を多くつかっていますし、大阪物療の田中金造もドサールと表記しているのでつまり「D」、
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田中金造著『脊椎分析学』より

さらにSpondylotherapyのエブラムも「D」をつかっていたので、均整法が「D」を使い続けてきたのもむべなるかなというところ。
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Albert Abrams著『Spondylotherapy』より

さらに押入れの資料を引っ張り出して確認してみたらヘッド帯で有名なヘッドによる図も、デジェリーヌ徴候で有名なデジェリーヌによる図も胸椎/胸髄は「D」表記でしたね、およそ100年前の古典的な資料ですが。

なんだかこうしてみてゆくと、「T」より「D」のほうが正しいんじゃないかとすら思えてきます笑

しかししかししかし!!

「誰かこの辺のDからTに変わっていった経緯をご存知の方いらっしゃいませんか?」 とほうぼうに投げておいたら若いブレインから「wikiなのでアレなんですが、“Thoracic vertebrae”の項目に言及してありましたよ」と連絡が入りました。

The thoracic vertebrae were historically called dorsal vertebrae; cf. [1]. Especially due to the free copying of old public domain versions of Gray's Anatomy, the old term may still be encountered, however the old term is long obsolete and misleading, as the dorsum refers to the whole back and not just the thoracic part of the back.

要は、「古くはdorsalと呼称していたけれどもdorsal(背部)とthoracic(胸部)だと比較的thoracicのほうが「胸椎」を正しく意味していて、こっちを使ったほうが誤解がなくていいよね」ということらしいです、なるほどねぇ(英語読めないけど、うっすら「時代遅れ」という単語も見え隠れしてる気がw)。

すると今度はいつ頃から「T」表記がスタンダードになってきたのかも知りたいところですが、これはまだ追いかけきれていません。でも、上のWikiの感じからいくと『グレイ解剖学』の改訂を追いかけてゆけばその辺りも簡単に捕まえられそうですよね*



P.S.
一言付け加えると、だからといって時代を追いかけて今すぐ「T」に変更しようとかということにはならないと思っています。逆に、ガラパゴス的な奇跡の発展を遂げた身体均整法の独自性をそこに託してもいいのかもしれません。我々のイメージする「D9」は、一般的な「T9」と同じものには違いありませんが、しかしそこには大きな隔たりがあり、秘められた情報の量も質も、一般的な「T9」に還元できるものではない気がしています・

文責、小柳弐魄
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