ブラック企業ワタミの介護:相次ぐ死亡事故の背景に労働者の夜勤続き・明け番のサービス残業常態化 | キラキラ☆サポーターズ(吉良よし子勝手連)ブログ

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吉良よし子参院東京選挙区予定候補☆勝手連

 ※『しんぶん赤旗日曜版』 8月25日号から「ブラック企業連続追及」の記事を紹介します。


 ブラック企業徹底追及
 ワタミの介護 入所者の死亡事故相次ぐ
 夜勤続き 人手不足
 明け番のサービス残業常態化


 社員の過労自殺などを理由に、弁護士らが選ぶ「ブラック企業大賞2013」で大賞を受賞した居酒屋チェーン「ワタミフードサービス」。問題は居酒屋だけでなく、有料老人ホームなどを運営する「ワタミの介護」(東京都大田区)にも…。


 介護付き有料老人ホーム「レストヴィラ」を全国90カ所以上に展開している「ワタミの介護」。外食事業を上回るワタミグループ最大の営業利益(44.2億円、13年3月期)をあげています。創業者は、今回の参院選で自民党から立候補し、当選した渡辺美樹氏。各ホームの銘板には渡辺氏の名前で「自分の両親にして欲しいと思うことをすべてさせていただこう。自分の両親にして欲しいと思わないことは絶対にするのはやめよう」と書かれています。


 司法も「不適切」


 ところが実態は、言葉通りではありません。同社の施設では、入所者の深刻な死亡事故が相次いでいます。


 ―― 女性入居者(73)が入浴中に溺死(5月、大阪市港区)


 ―― 職員が約1時間半目を離している間に入浴中の女性入所者(74)が水死(昨年2月、東京都板橋区)


 両事故については、業務上過失致死容疑で警察が捜査中。司法も不適切な介護を認定しています。


 06年に川崎市高津区の施設で男性入居者(87)が床ずれを悪化させ敗血症で死亡し、遺族が同社に損害賠償を求めました。横浜地裁は昨年3月、施設側に債務不履行と注意義務違反があったとして約2,160万円の賠償を命じました。


 表面化したこれらの事故のほかにも…。


 編集部は、「ワタミの介護」の神奈川県内の介護付き有料老人ホームが職員に配信した業務連絡メールを入手しました。そこにはこの施設での数々の事故が記載されています。


 ―― 浴室で転倒、頭頂部を打ち3センチ大の裂傷、出血で病院受診。頭頂部10針ホチキスで固定(11年10月21日)


 ―― 入浴時、手すりに顔面をぶつけ、左眉上に5センチ×4センチの血腫、左上腕と前腕に皮膚剥離で病院受診(同31日)


 安全管理を問われかねない事故がわずか10日間に相次いでいます。


 同施設は、介護保険法にもとづく条例で、事故発生時には市町村などに連絡を行うよう定められています。また市町村は、さらに「要領」で速やかな第一報と後日に再発防止策などを盛った本報告の提出を求めています。


 しかしホームを所管する自治体の担当者によれば先の2件について、第一報がなく本報告のみ提出されたといいます。


 「第一報も本報告もない」(担当者)ケースも――。12年5月29日、朝食時に入所者の容体が急変し、救命センターに運ばれた後、死亡した事例です。


 事実なら重大な事故隠し。自治体担当者も「本報告をしていなければ条例に抵触する。確認したい」と話します。


 「眠い、きつい」


 なぜ、事故が相次ぐのか…。その背景にブラック的な労働者の働かせ方があるのです。


 問題の神奈川県内のホームで働いていた看護師が強烈に覚えている光景があります。


 ―― 疲れきった職員が入所者の口に食べ物をさじで突っ込んだまま寝ていた。


 看護師は「ホームでは夜勤明けのサービス残業が常態化していたからだ」と明かします。


 「夜勤明けはタイムカードで午前10時ごろに退勤と打刻した後、お昼の配膳や食事介助、フロア担当、レストランへの誘導を日常的に行っていた。職員はいつも眠い、きついとこぼしていた。女工哀史のような働かせ方から『あゝ野麦峠』とささやかれていました」


 編集部が入手した同ホームの今年7月の勤務表があります。正社員9人の出勤日が25日前後で、公休日は6~7日。夜勤にいたっては2人が9回、5人が7~8回という異常な多さです。


 同ホームの求人広告では、正社員は1日実働8時間で休日は月9日、夜勤は平均月4回程度としています。


 職業安定法は、虚偽の広告、虚偽の条件提示で労働者を募集した場合の罰則(第65条8号)を設けており、それに抵触する可能性もあります。


 前出の看護師は語ります。


 「過酷な勤務で、離職率も高く、慢性的に人手不足だった。介護福祉士も1~3人程度で、介護の未経験者も即採用だった。多忙と経験不足の職員による介護で、食事をのどに詰まらせる、薬を飲ませ忘れるなどは日常茶飯事だった」


 編集部の取材にワタミの広報担当は、「事実確認をしている」と回答しています。


 過重労働は法違反の疑いも
  東京介護福祉労働組合前書記長 田原聖子さん


 もともと介護付き有料老人ホームの人員配置基準はけっして高いものではありません。しかもこの施設は要介護1や2の入所者の割合が高く、より手厚い介護体制が必要とされます。


 この施設に介護福祉士が3人しかいないのだとすれば、介護事故が頻発し、安全が守られないのは必然でしょう。これでは命の保障すら困難です。


 連続勤務や夜勤・明けの繰り返しなど過重労働も大問題です。夜勤明けで午後まで勤務するような状況が常態化していれば、労働基準法に抵触する可能性があります。


 2012年の介護保険法改定では、事業者に対する労働法規の順守の徹底が新たに加えられました。労基法等に違反して罰金刑を受けている介護事業者について、事業指定の取り消しなどを行うことになりました。


 厚生労働省と都道府県は、労働基準監督署と協力して、ワタミをはじめ他の介護事業所の監査を強化し、利用者や労働者の就労先を確保しつつ、悪質な事業所については指定取り消しを行う必要があります。


 根本的な問題としては、営利目的の株式会社による介護施設増設を進める国の施策があります。国・自治体の公的責任が問われています。


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