Wikipediaのもう一つの使い方…中国語を調べる際に有効 | 如月隼人のブログ

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さてさて
私はWikipediaを結構使うわけです

もちろんWikipediaの問題点も承知しております
多くの人がよってたかって作るので
記載されている情報の信頼度が分からないのですね

でも
Wikipediaが登場して間もないころは
ずいぶんいい加減な情報も多かったのですけど
最近では信頼度がかなり向上しました

仕事でも使っていますよ
特殊な言葉
例えば生物名とか化学物質名とか地名・人名の
日本語の訳語を探す場合なんか

もちろん
仕事で使う場合にはWikipediaだけでOKにはせずに
他の情報源と照らし合わせますけどね
それでも
Wikipediaを使えば
どう切り込んでいくかの方向性が見えて来る場合が
多いわけです

Wikipediaを使う場合
中国語関連では「もう一つの役立て方」
があります

いろんなものごとの名称で
中国大陸と台湾や香港・マカオ
さらにシンガポールやマレーシアで使う単語が
違う場合があるのですよ

Wikipediaの中国語ページでは
「大陸簡体」
「香港繁体」
「澳門繁体字」
「大馬簡体」
「新加坡簡体」
「台湾正字」
のそれぞれのページに切り替えることができます
「簡体」とは中国大陸で使われる漢字の略字のこと
「繁体」とは伝統的な漢字のことです

「大馬」とはマレーシアのことです
マレーシアは現在も連邦制ですが
もともと
「一つの国」という意識は確立されておらず
英国からの独立を目指す際には
「すべてのマレー人の国を作ろう」ということになって
「大マレーシア」という呼称が存在したそうです
シンガポールが分離独立したことで
「大マレーシア」は不完全な状況になったのですけど
今でも「大マレーシア」の略称である「大馬」の語が使われている
そうです
「新加坡」はシンガポールのこと

シンガポールは中国大陸の簡体字とほぼ同じ文字を使い
マレーシアは簡体字も繁体字も使われていますけど
Wikipediaでは簡体字のページしか用意されていないみたいですね

「台湾正字」とは伝統的な漢字のこと
「繁体字」とは中国大陸側が使い始めた用語で
今では台湾人も使っていますけど
正式用語は「正字」です

まあ
台湾を支配していた国民党は
政治の面でも
中華文化の後継者としても
「われわれが正統である」
と主張したので
大陸側が作った「繁体字」てな用語はシカトして
「正字」という言葉を使ったのでしょうね

さてさて
例によって話が長いなあ

このWikipediaの中国語ページ内の
さらに文字の切り替えですけど
使っている文字が違うだけではありません
記述そのものが違う場合があります
中国の大陸人ならば「大陸簡体」
香港人ならば「香港繁体」
台湾人ならば「台湾正字」
といった具合に
それぞれの地域に住む人が
自分の地域の状況に基づいて
記入しているようです


どんなことが起こるかと言うと
記述が違うし
見出しすら違う
という場合があるのです

中国語に新たに加わったものごとの場合には
見出しを比較すれば
それぞれの地域でどんな言葉が使われているかが分かり
とても興味深い
というわけなのです

たとえば
本日ちょいと調べた言葉
「法国吐司」
「法国」はフランスで
「吐司(トゥースー)」はトーストの音訳語
つまり「フレンチトースト」のことなのですけど
この見出し語を使っているのは

「大陸簡体」、「大馬簡体」、「新加坡簡体」、「台湾正字」
のページです

そして「香港繁体」と「澳門繁体字」のページには
「西多士」と書いていました
「多士」の部分はおそらく
「トースト」の音訳語
「西」の部分はよく分かりません
「西洋の」という意味が思いつくけど
フレンチトーストじゃなくても
西洋由来のものだからな

西洋のパンはかつて
今のフランスパンとかドイツパンのように
丸っこい形をしていたのだけど
産業革命がいち早く発生した英国では
工場でパンを大量生産しやすいように
生地を金型に入れて焼いたので
いわゆる「食パン」が登場し
そのままでは食べにくいので
ナイフでスライスして食べ
さらに
時間が経過した食パンを美味しく食べるために
改めて焼き直すトーストが流行した

と聞きました

だからトーストはすべて
「ほぼ西洋由来」
(フランスパンなんかでも焼き直してトーストしたことは多かっただろうから
ほぼ「西洋由来」)

だから「西多士」の「西」の部分の由来は
今のところ不明です

さてさて
香港やマカオで使う用語が違うのは
広東語に基づく漢字の選択をしていることが
大きな理由であるようです

それから
台湾の用語が違うこともあります
西洋から言葉が入って来た際に
大陸側と相談して訳語を決めるわけでもないので
訳語が違った
ということがあります

厳密に言えば訳語とは言えないかもしれませんけど
トランプ大統領の「トランプ」の部分は
大陸では「特朗普」
台湾では「川普」と書きます

大陸人が「川普」と書くこともありますが
外交関連や報道文では
「特朗普」に統一されています
「特朗普」をカナ書きすれば「トーランプ―」
に似た音になります
(「特」の部分のカナ書きは中国語の音と相当に違ってしまいますが)
「川普」は「チュアンプー」に近い音ですけど
こっちの方が英語の発音に近いようにも感じます

このようにWikipediaの中国語ページでは
それぞれの地域での言葉づかいの差も
ざっくりと調べることができるわけです