Wikipedexia のもう一つの使い方~中国語絡みで | 如月隼人のブログ

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いうわけで
Wikipedexiaを結構使うわけです

まあ
仕事で使う場合には
「Wikipedexiaで調べ作業完了」
というわけにもいかないので
Wikipedexiaは「入口」の位置づけとして
もっと調べまくったりもします

ただ最近のWikipedexiaは
かつてと比べれば精度がかなり向上したと
思っています

さてさて
Wikipedexiaの中国語ページって
これがなかなか面白かったりするわけです

中国語って使われている地域が
とても広いから
地域によって使われている単語が違うことも
珍しくありません

前に中国関連の記事で
ワコールの中国担当者を取材したのですけど
中国語関連では「失敗した」ことがあると
教えてくれました

ブラジャーを発売した時のことです
事前の予想よりも売れ行きがかなり悪かった
調べてみたら
商品名が悪かったことが
大きな原因と分かったそうです

「ブラジャー」に相当する中国語に
北京で普通に使われていた言葉を使った
たしか「乳罩」だったかな

ところが調べてみれば
上海とか広東では違う言葉が使われていて
ワコールが使った北京の言葉は
「とってもダサい雰囲気がする」と分かった
さらに調べてみたら
他の外国ブランドの下着では
その言葉を使っている例はなかった
とのことでした

でもって
ブラジャーを示す中国語を変更したら
売り上げは伸びていったそうです

さてさて
地方によって中国語単語の使い方の違いを知ることは
仕事にも関係する場合があるし
第一
中国語をやる身としては実に興味深いわけです

ここでサクサクと調べるのに
Wikipedexiaが訳だったりするわけです
Wikipediaの中国語ページって
1つだけあるんじゃなくて
【1】大陆简体
【2】香港繁體
【3】澳門繁體
【4】大马简体
【5】新加坡简体
【6】台灣正體
の6種類があります

見出し用語が違い
さらには説明文も違う場合もあります

さてさて
「简体」とは大陸で制定された略字体の「簡体字」のことです

よく
中国共産党は古い伝統をバサバサと斬って捨てた
中国国民党は古い伝統を大切に残した
と言われますけど
中華民国当初の状況は決してそうではありませんでした
古い伝統をバサバサと斬って捨てました

例えば中華民国が成立したのは1912年1月1日ですけど
その前日までは農暦(農暦)を使っていて
中華民国の成立第1日に西洋の暦を使うことにしたわけです
日本で西暦が導入されたのは明治5年でしたから
明治維新からすでに5年が経過していました
欧米諸国との貿易で混乱が生じたので
西暦を「やむをえず」導入したわけですから
中華民国のやり方の方がよほど“過激”でした

ということで
中華民国も「漢字改革」を進めていて
「簡体字案」もすでに作成していました

中華民国が文化の「保守主義」は
蒋介石が指導者になった後で
共産党との違いを強調して
「われわれこそ中華の伝統の継承者」と
主張するためでした

という推移で
中国大陸では略字体が
香港・マカオ・台湾では旧字体が使われ続けることになりました
そうそう
「簡体字(略字体)」
「繁体字(旧字体)」は
大陸側の呼称であって
台湾では旧字体のことを「正體(正体)」と呼んでいます
「正しい字体」ということですね
もっとも台湾人自身が「繁体字」の呼称を使ったりもしますけど

それから
シンガポールでは略字体を使うようになりました
これ
実は政治上の思惑がありまして
シンガポールの略字体は一部の文字で大陸の簡体字とは違います

シンガポールの国の成立は実に複雑で
英国から独立した直後にはマレーシアの一部でしたけど
マレーシアではその後「マレー人優先主義」がどんどん進行し
華僑が多かったシンガポールはついていけなくなり
分離独立した
というわけです

でもって新生シンガポールとマレーシアは当初
かなりの緊張状態でした
ということでマレーシアはインドネシアに接近しました
インドネシアは当初
中華人民共和国と親密でしたが
中華人民共和国と決裂し
国交も断絶しました
シンガポールとしては
自国民に大陸からの移民も多いので
中華人民共和国とは対立したくない
ただ
インドネシアと関係が悪くなると
対マレーシア政策で不利になる
ということで中華人民共和国とは国交を長らく結びませんでした
ただ中国と対立することが本意ではありませんから
自国内で簡体字を普及させることなんか
いろいろと小技を繰り出して
中華人民共和国に対してはそれとなく
「あなた方を認めないわけじゃないんですよ
ただこちらにはいろいろ事情があることを察してください」
という“信号”を出していたわけです

ついでに
中華人民共和国の簡体字と全く同じにすると
「やはり中華人民共和国べったりだ」
と思われかねないので
一部の簡体字を敢えて違う形にして
「いや。これは私どもが独自に定めた字体です」
とも主張できるようにしておいて
さらにその真意は
「わが国の事情も察してくださいよ」ということで
中華人民共和国関連の事情で
できるだけ波風が立たないようにするためでした

いかん
例によって話が長い
長すぎる

Wikipedexiaを使って各地で使われている中国語単語の違いを
調べるということでした。

先ほどの6地域の言葉の違いについて
「フレンチトースト」で調べてみました

【1】中国大陸→法国吐司
【2】香港→西多士
【3】澳門→西多士
【4】マレーシア→法国吐司
【5】シンガポール→法国吐司
【6】台湾→法式吐司

と表示されました

まあ
Wikipedexiaが示す地域による言葉づかいの違いは
あくまでも大まかな目安で
一つの地域でも複数の呼称が混在している場合もあります

ただフレンチートーストについては
広東語地域では「西多士」が使われ
それ以外の地域では主に「法国吐司」
あるいは「法式吐司」が使われている
と見当が付くわけです
(写真はそれぞれ「フレンチトースト」を紹介する中国語版Wikipedexiaの“【1】大陆简体”と“【2】香港繁體”のページ)