Photo:帽子屋
もう片方のサファイヤの瞳をつばめが運んでいる間、王子は考えます。
「もう見ることはできなくなったけど、かえっていろいろな
事がわかるようになったくらいだ」と。
町の人の喜びの声
弱くなってしまったつばめの羽音
自分に近づく足音。
* * * * * *
今回制作にあたってあらためて「幸福の王子」の物語を読みました。
最初に思ったのはなぜ王子様はつばめの命を顧みずに
宝石を運ばせたのかなあと。
ぼっちゃま育ちで空気が読めないのかしら・・・・とか。
でも何度か繰り返し読んでいてはたと思いました。
王子は何もかものみこんだ上でお願いをしたんだなあと。
自分はその国の最高権力者である王族で
「今この国のためにしなくてはならないこと」に
広場に立つことで気がついていきます。
自分の判断で他者の命や人生を左右するという重み。
それは時に罪をともなうものであるという事。
誉められる飾りではなく、誰にも知られなくても責任を全うする事。
自らをいとわず、罪も引き受けてなすべきことをする
実は聡明な人なのだと気がつきました。
つばめは知らずに、愛とは与えられるのを待つのではなく
みずから与えるものなのだと気がつきます。
自分を犠牲にしても目的を果たしたつばめは
身も心もあたたかい国にたどりつくことができたのだと思います。