■学術雑誌『Nature』による韓国のMERS事態の分析とは | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。

第2次病院流行が起こりましたが、病院外での感染がないことがそれでも不安を抑えてくれます。


韓国では、昨日ご紹介した保健当局の見通しのとおりですが、すでに起こってしまった、サムソン・ソウル病院を中心とした第2次病院内流行の結果が表面化した形で、また患者(この病院だけで14人に)と、それに伴う接触者の隔離処置数(500人以上)が大きく増えています。


しかし、それも明日をピークに増えた後、少しずつ収拾されていくだろうということですよね。つまり、潜伏期を考えた時、今回の接触で、来週一杯は患者が出るだろうという展望になります。今日までで総患者数が64人です。


今日は、海外の専門家の見解を紹介したいと思いますが、とりあえず昨日もちらっとご紹介した、世界で最も権威の高いイギリスの学術雑誌である『Nature』の記事を伝える『ミニトゥデイニュース』の報道記事です。



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■「MERS、人間の間に広がるウイルスではない」
世界的科学専門誌『Nature』…「ただ病院では例外」



世界的な科学専門誌『Nature』が、MERS(中東呼吸器症侯群)ウイルスは、人間の間で自由に伝播するウイルス(人間ウイルス)ではないと6日(韓国時間)報道した。


『Nature』によれば、コウモリから始まったMERSウイルスは動物の間によく広がるウイルス(動物ウイルス)だ。ラクダなどによって人間に伝染することがあり得るが、人間たちの間で伝染することは難しい。


MERSウイルスに感染した人間が、咳を通して肺の奥深い所にあったMERSウイルスを体の外に送り出すことが難しいからであり、「人間の間でMERSウイルスが流行る可能性は低い」と『Nature』は伝えた。


『Nature』は、ただし病院においてだけは、MERSウイルスが「動物ウイルス」ではなく「人間ウイルス」のように行動すると明らかにした。病院で感染の疑いがある患者を対象にして、呼吸を助けるために気道に管を挿入する過程において、患者の肺にあったウイルスが飛沫状態となって近隣の人にうつされるという説明である。


飛沫とは、辞書的には「飛んで散らばったり、跳ね上がった水玉」という意味を持っている。


大韓民国の場合、最初の感染者がMERS確診判定を受ける前に、4ヵ所の病院を転々としながらウイルスをまき散らした、と『Nature』は指摘した。最初の感染者は、先月11日にMERSの疑いがある症状を訴えたが、MERS確診判定を受けて隔離された日は、そこから9日も過ぎた20日だった。


『Nature』は、「(動物ウイルスである)MERSウイルスが、人間の間で大きく流行ろうとすれば突然変異を起こさなければならない」としながら、「しかし韓国内の状況はそのような特別な状況ではない」と言及した。



[原典] http://news.mt.co.kr/mtview.php?no=2015060609160347187


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※英語の原文のほうも拾いながら訳してみました。


http://www.nature.com/news/south-korean-mers-outbreak-is-not-a-global-threat-1.17709


■South Korean MERS outbreak is not a global threat
韓国のMERS発生はグローバルな脅威ではない


experts do not consider this outbreak, in which all cases are hospital-associated, to have pandemic potential or even expect it to spread further within South Korea.
今回、すべてが病院間感染である韓国のケースについて、専門家たちは、これが世界的流行病として広がる可能性はもちろん、韓国でさらに広く広がる可能性すらないとみている。


●MERS is not a human virus
MERSは人間ウイルスではない


The virus can occasionally spread between people, as happened in South Korea, but only in hospital settings (for more, see below), or to a much lesser extent in households where people caring for an infected person have had close contact.
MERSは、人間を1次宿主とするウイルスではなく、韓国で起こったように、病院内の特殊な状況で、感染者ととても近くくっついて看病する状況に限ってのみ、まれに感染し得る。


the epidemiological information shows that the outbreak in South Korea is not unusual.
疫学検査の結果、韓国で発病したMERSウイルスは変種ではないことが分かっている。


●MERS mainly spreads in hospitals
MERSは主に病院で拡散する


In these settings, medical procedures on an undiagnosed patient, for example to aid breathing, can generate aerosols from the lungs that contaminate the area and infect people nearby with the virus. Otherwise, MERS-CoV which infects the deeper areas of the lung, is not coughed out.
病院で感染が疑われる患者に対する医療行為の過程(たとえば呼吸補助とか)において発生する飛沫物によって、肺の深くにあったMERSウイルスが他の人に伝染することが可能となる。


●South Korea is doing a great job
韓国はとてもよく対処している


it spreads very poorly between people
MERSは日常の人々の間での伝染可能性は非常に希薄である


The authorities have been exceptionally thorough in tracing all contacts of infected people and monitoring them for 14 days — the maximum incubation period of the disease.
保健当局は、最大潜伏期間である14日の間、すべての接触者について追跡とモニターをとてもよく行っている。


●MERS is not SARS
MERSはSARS(サーズ)ではない


the coronavirus that caused SARS had evolved the ability to spread easily between people. MERS-CoV by contrast has not.
SARSは人の間における伝染が容易であるが、MERSはそうではない。


But given that there is nothing extraordinary in the pattern of spread in the South Korean outbreak, there is no need to invoke hypothetical evolution.
変種の可能性もあるが、韓国でのMERSは特異事項がないため、あえてそれを仮定する必要はない。


●This outbreak is not that big
今回の感染事態はたいしたものではない


This outbreak may be the largest outside the Middle East, but it is not exceptional in size.
今回のMERS発生は、中東の外で広がったケースとしては最大かもしれないが、特に大きなものとはいえない。





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