■韓国を訪れた科学記者ら「すべて院内感染なのに何を心配?」 | 韓国・ソウルの中心で愛を叫ぶ!

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ポッドキャスト韓国語マガジン“サランヘヨ・ハングンマル”の編集長が、韓国と韓国文化の見つめ方を伝授します。


昨日、ソウル江南で開幕した「科学ジャーナリスト世界会議」。世界から1100人が集まっています。



MERSのすでに起こってしまった病院内拡散が急速に表面化している韓国では、今日は、現在第2次病院内流行を起こしているサムソン・ソウル病院で、入院中の臨月の妊婦(39歳)が感染者判定を受けてしまったということで、国民が皆、衝撃を受けています。妊婦は、問題の感染源の患者が、MERS患者と分からないまま応急室に入院している期間に、お見舞いに来た両親と会うために、応急室で約1時間過ごした時に感染したようです。


もちろん感染しても必ず重い症状が現れるとは限らないし、すでに伝えられるように治療方法があり、サムソン・ソウル病院が世界的な技術水準を持つ病院であることに期待が高いわけですが、なにぶんこれまで例がなかったために、妊婦の危険水位がどのくらいなのかが不明であるということです。今後も第2次流行が起こったこの病院の患者発生は増える見込みであり、今週いっぱい続いて収束するだろうとされています。


そのいっぽうで病院の外では、昨日からソウル市江南区のCOEXで「科学ジャーナリスト世界会議(WCSJ)」が開かれ、全世界の科学、医学、環境専門記者1100人が集まっています。2年に1度開催され、アジアでの開催は初めてだそうです。


海外からの参加は43カ国約450人だそうで、日本からも約40人が訪れているそうです。『朝鮮日報』の報道によれば、海外記者は「韓国でMERSの感染者が非常に増えていることはよく知っているが、すべて院内感染なのに何を心配するのか」と話しているそうです。


「アジアのウイルスハンター」というセッションの司会を担当した『サイエンス』誌の専門記者は、フェイスブックに「妻と共にソウルに来て地下鉄に乗り、ソウルの文化を楽しんでいる。なぜ韓国人が街中でもMERSの感染を過剰に心配しているか分からない。地域社会の感染もないのに、各学校が続々と休校するのが理解できない」という内容の書き込みを行ったそうです。幼い娘を会場に連れてきた記者もいたということ。さすが科学記者、冷静ですね。


韓国政府は現在、あらゆる情報を100%透明に公開するとしており、国民の不安をできるかぎり減らす方向に努力がなされています。しかし、日本にいる知り合いからは、「日本では今も『MERSは致死率が40%を超えている』と報道されて恐怖を呼んでいる」と聞いたので、私たちも上記の科学ジャーナリストたちが知っている真実を知るために、数日前に韓国の第一紙である『朝鮮日報』で取り上げられた国際学術誌『サイエンス』のMERS分析記事の紹介を、下に翻訳してお伝えします。



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■サウジアラビアで4万名以上感染推定…大部分が症状なく、患者は930人に過ぎず


世界科学界「MERS致死率40%ない」
計算すれば致死率1桁、自体感染力も大きくない…科学界「恐怖が誇張された面」



中東呼吸器症侯郡(MERS)恐怖が全国を覆っているが、科学界ではMERSの恐怖が誇張された面があるとみている。


MERS恐怖の根拠は、初めて病気が発生したサウジアラビアで、致死率が40%を超えたとされたからである。サウジアラビア政府によれば2012年から現在まで、1,016人のMERS患者がサウジアラビアで発生し、447人(約44%)が死んだ。


しかし、去る3月20日、国際学術誌『サイエンス』は、ドイツのボン大学のウイルス専門家であるクリスチャン・ドロステン博士の研究結果を引用し、「サウジアラビアで発生したMERSの致死率は1桁であるといえる」と発表した。


ドロステン博士のチームは、2012~2013年、サウジアラビア人1万余名の血液サンプルを分析、その中の15人からMERSウイルスの抗体を発見した。15人がMERSにかかったという話だ。これは、サウジアラビアの人口が2700万人であるとすると、4万人以上が感染していたと推定される数。しかしこの期間に報告された患者数は930人だけだった。残りの絶対多数は、特に症状なしに過ぎ去ったというわけである。したがって全体の感染者の中での死亡者を考慮すれば、致死率があまりにも誇張されていたことになる。


MERS自体は、もともと伝播力が大きくない、という分析もある。MERSを伝染させるラクダは、気道の上の部分がウイルスに感染される。鼻水にウイルスが高濃度に含まれていて周辺で感染しやすい。しかし、人間は気管支の下の部分である下部気道に主に感染するため、ここのウイルスは体の外に容易に排出されにくい。医学界でMERSが「人間間ではよく伝播されない」と考えている理由である。


もちろん、サウジアラビアと韓国のMERSが違う形態である可能性はあり得る。WHOでMERS諮問を引き受けているピーター・ベン・エムバレック博士は6/2、『サイエンス』のインタビューにおいて、韓国のMERS拡散速度が速いことについて「最初の患者がすでに他のウイルスを保有している状態でMERSに感染されたか、あるいは韓国人がMERSに脆弱な遺伝子を持っている可能性がある」と明らかにした。


しかし、ドロステン博士は違う意見を提出した。彼は「サウジアラビアの事例をみれば、患者は病院に入院した直後、症状が悪化した状況で一番多くのウイルスを排出する」とし、「韓国でも、5月15~17日の間に最低限25人の家族、保健医療従事者などが感染したように見えるが、これは確診判定が遅れを取りながら、遮断などの予防措置が充分でなかったため」だと語った。


現在、MERS用の予防ワクチンや治療剤はない。しかし、他の疾病に使う薬の中で効果があるものなどが発見されている。米国立アレルギー・伝染病研究所(NIAID)は、「C型肝炎治療に使うリバビリンとインターフェロンアルファ2bが、MERSに感染した猿の細胞治療に効果をみせた」と明らかにした。NIAIDは、米食品医薬局(FDA)から、他の疾病治療剤として許可を受けた薬の中で、27種類がMERSに効果があるという事実も確認した。


韓国のMERSが特異な種類なのかを確認するためには、韓国人が感染したMERSウイルスの遺伝子塩基序列を分析しなければならない。『サイエンス』は、「オランダのエラスムス・メディカルセンターなどから、韓国に助けを提供することを要請して、共助するという返事を受けたが、いまだに進行された状況はないと把握されている」と伝えた。これに対して保健福祉部は、「米国疾病統制予防センター(CDC)と共助する方案を検討している」と明らかにした。



[原典] http://premium.chosun.com/site/data/html_dir/2015/06/04/2015060400214.html



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