Illustratorで水彩(風)表現 〜応用編1〜 | 3倍早くなるためのDTP講座

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DTPの作業を早くするためのテクニックを綴っていこうと思っています。

 

前回の内容をより実務的にアレンジし、設定済みドキュメントとアクションを活用して効率化してみました。水彩風になる仕組みは前回を参照してください。

 

今回は線画のない水彩表現のみのイラストとしています。

 

この手法はベクトル形式なので、ペンツールでも手描き(タブレット)でも、もちろん既存オブジェクトの加工もOKです。

 

ホンモノの水彩やラスター系とは違い、描き直し、塗り直し、色調の変更、ボケ幅の変更も後から簡単にできます。水彩をベクターでコントロールするってちょっと不思議。

 

水彩風だと大雑把でもそれが味になるため、適当に描いてもそれなりに仕上がります。初回のみ仕込みが必要ですが、簡単にそれっぽいイラストが描けてしまい、公開してよいものか悩んだほどのイラストレーター殺しテクです。

 

うーん、やっぱ公開やめようかな。
やっぱやーめた。というわけでおしまい。

 

 

うそ。

 

■準備用パーツを作成

では、まず元となるドキュメントとアクションを作成しましょう。

①「RGBモード」のファイルを開きサイズ等を設定します。

 

↑ラスタライズ効果は内容に合わせて設定。WEBなら72ppiでOK。数値が高いほど処理が重くなります。使用する効果はスタイライズのボケ足なので後から変更しても絵柄は崩れません。

 

②アートボードの全面にかかるようにグレースケールの水彩画像を配置し、描画モードをオーバーレイにします。
※画像は形式にもよりますがリンクでも大丈夫です。心配な方は埋め込んでおきましょう。

 

 

このレイヤーを「テクスチャ」とします。このレイヤーはテクスチャの変更時と最終加工段階以外はいじることはないのでロックしておきます。

 

 

水彩画像は自前で用意すると全てがメイド・イン・自分になり、精神的にも著作権的にもクリアになります。といいつつ、ここでは版権フリー素材を使っておりますが…。

 

 

③次にレイヤーを背面に作成し、アートボード全面に白ボックスを置きます。
このレイヤーを「白」とします。このレイヤーは最終加工段階まではいじることはないのでロックしておきます。

 

 

 

④白レイヤーの上に新規レイヤーを作成し、「描画レイヤー」とします。オブジェクトの描き込みはこのレイヤーに行います。

 

⑤描画レイヤーの上に新規レイヤーを作成し、「オーバーレイ」とします。レイヤー効果の描画モードをオーバーレイにします。

 

↑オーバーレイレイヤーの○ポッチをクリックしてから透明パネルの描画モードをオーバーレイにする

 

 

⑥次にグラフィックスタイルを作成します。

適当なオブジェクトを作成し、塗りをニュートラルグレー、効果>スタイライズ>光彩(内側)でスミぼかし(乗算)数値はいい感じに入れたものをグラフィクスタイルに登録。名前は「ぼかし」とでもしておきましょう。

 

 

↑ボケ幅や濃度は使う大きさに合わせて設定します。正解は無い

 

このときボケ幅や濃度違いのグラフィックスタイルをいくつか作っておくとよいでしょう(後述)。

 

↑後で変更する度にアピアランスをいじるより、予め数パターン作っておくのが時短につながるのだ

 

ドキュメントの設定は以上です。この書類を「水彩イラスト台紙」と名前を付けて保存します。イラストレーターテンプレート形式かひな形にしておくと良いでしょう。

 

 

↑どっちがいいのかよくわからんけど、オリジナルに上書きしなければ通常ファイルをコピーしてから使ってもいいの

 

 

次にアクションを作成します。

 

●ライブペイントを使う人用

適当にオブジェクトを作成して記録開始。
①ライブペイントを作成
②塗りを選択
③好きな薄めの塗り色を付ける
④線を選択
⑤線を無し

を記録。アクション名を「ライブペイント作成」とします。ショートカットを当てておくと捗ります。


 

 

 

もう一つアクションを作成。
①ライプペイントを拡張
②グループ解除
③パスファインダー(合流)
④グループ解除

を記録。アクション名を「ライブペイント拡張」とします。こちらもショートカットを当てておくと捗ります。

 

↑分割?拡張?どっちよ?とか突っ込む人はひまじん。分割って書いちゃったの。直すのめんどいの!


●オブジェクトを重ねて描画する人用
ライプペイント塗りを使わない人は、
①パスファインダー(合流)
②グループ解除

のアクション「合流+グループ解除」を作りましょう。こちらもショートカットを当てておくと捗ります。

 

 

ここで一旦アクションを確定するためIllustratorを再起動します。不安な方はアクションを保存しておきましょう。

 

 

■イラスト作成開始
「水彩イラスト台紙」ファイルを開いて、描画レイヤーを選択してからイラスト作成スタート。

 

●ライブペイント使う人
①ブラシツール、鉛筆ツール、ペンツール、好きなツールで描きます。分割部分ははみ出したままでOK。この大雑把さがクセになります。

↑私は塗りなし設定したブラシ(タブレット使用)が使いやすいです

 

 

②描けたらオブジェクトを全選択してアクション「ライブペイント作成」を適用します。

 

↑アクションでライブペイント化+全体色塗りまでいけます

 

 

③ライブペイントで塗っていきます。

 

↑隣り合う色を変えておくと別パーツとして認識できる

 

④塗り終わったら「描画レイヤー」のターゲット「○」をクリックして、■マークを「オーバーレイ」レイヤーへオプションを押しながらドラッグします。

 

↑まるっと複製するのよ

 

 

⑤アクション「ライブペイント拡張」を適用して、グラフィックスタイル「ぼかし」を適用します。

 


↑アクション一発でフチぼかしまで再現

 

●ライブペイント使わない人

 

①イラストを作成します。

 

②できたら「描画レイヤー」のターゲット「○」をクリックして、■マークをオプションを押しながら「オーバーレイ」レイヤーへドラッグします。

 

③アクション「合流+グループ解除」を適用し、グラフィックスタイル「ぼかし」を適用します。

 

↑デモのため、えんぴつツールで描きなぐっていますが、ペンツールでも矩形ツールでもいつも通りに描けばOK

 

というわけでこんなかんじなるわけです。色調を整えるため描画レイヤーのオブジェクトを選択して再配色をかけます。

 

調整して完成。これはあとからいくらでも変更が可能です。

 


 

ボケ幅は面積によっては潰れてしまうので適宜変更しましょう。こちらはオーバーレイレイヤーのオブジェクトを変更します。

 

 

↑オーバーレイレイヤーだけ見ると潰れ具合がわかります。オブジェクトを選んでイイ感じに直します

 

ね、スタイルを作っておくと便利でしょ。

↑さっき言ってたこれね

 

 

とりあえずイラストはこれで一旦完成です。

 

 

 

 

つづきは修正や追加加工についてですが、それはまた今度。

チラ予告ですが、グラデーションメッシュで色の混ざりを再現したり…