つづきです。
この手法、見た目は水彩風ですがデータはガチガチのベクトル形式なうえ、構造もそれほど複雑ではないので直しにはめっぽう強いのです。
●修正
オブジェクト単位、色単位で選択や変更、ボケ足や濃度の調節が出来ます。これは一発勝負のアナログ水彩やラスター系ペイントソフトでは味わえない手軽さです。
描画レイヤーのオブジェクトはオリジナルのままなので通常のイラストと同様に修正が可能です。
ただし、絵柄を変更した場合、オーバーレイレイヤーのオブジェクトを削除して複製から繰り返しになります。
●イラスト加工
ライブペイントは拡張すると直接編集できるので、個別変形やら効果やらが使えて表現力がアップします。拡張の前に保険のためにレイヤーを複製しておくと良いでしょう。
ライブペイントを使わない人も、絵柄や加工具合によってはパスファインダー合流をかけてから加工する方が良い場合もあります。
イラストを加工したらやっぱりオーバーレイレイヤーのオブジェクトを削除して複製から繰り返します。
●様々な水彩表現
グラデーションメッシュで差し色を入れると色の混ざり具合が再現できます。
グラデーションメッシュ使用時の注意点
・複雑な形状は×。パスファインダーで分割すればいける場合もあり。
・複合パスも×。複合パスを解除すると「抜き」が消滅して上下関係が狂うことがあるので慎重に。
・元の形状によっては不自然になる。
直接メッシュが使えなくても、別オブジェクトを置いてメッシュをかけたり透明グラデを使う方法もあります。
あとはラフ効果でにじみっぽくしたり。
光彩(内側)+(外側)+ラフでシミっぽくしたり。
オーバーレイ側でグレーを濃くすればすれば色が濃くなり、薄くすれば色が薄くななるので、擬似的に水彩の濃淡を表現できます。
このへんの加工作業は「水彩画を描く」のではなく、「水彩風の画を作る」というニュアンスです。
●テクスチャの差し替え
テクスチャはいつでも位置やサイズを変更できます。差し替えはリンクの「置換」で差し替えると描画モードも引き継ぎます。
くしゃくしゃの紙のテクスチャにすると切り絵風になるなど、テクスチャによってガラッと表現が変わります。
●流用は要注意
この手法で作ったイラストは、レイヤー効果を使っているので安易なコピペと、そのまま透明分割はできません。
↑そのまま透明分割するとオーバーレイのレイヤー効果が無視される。コピペも同じ
そのまま使うかラスター書き出ししない場合は、レイヤー効果をグループ効果に格下げしてから加工します。
↑オーバーレイレイヤーを全選択してグループ化、効果をスライドすれば大丈夫
注)加工が多い場合はオーバーレイレイヤーをレイヤー効果でなくグループアピアランス(グラフィックスタイル)で作業しましょう。
●まだまだ研究の余地あり
研究すればもうすこし水彩特有の見た目を再現できるとは思いますが、私はそこまで興味はありません。興味のある方は各自でやってみましょう。新しい発見があるかもしれません。
↑オーバーレイの挙動を極めると表現力が上がりそう
例えばオーバーレイをグレーでなくカラーに変更すれば混ぜ色のようになりますが、RGB脳はないのでその辺の挙動わからず試していません。
●最後に
あくまで水彩「風」なので、本気の水彩イラストに取って代われるものではありません。テクスチャが一枚だし、見る人が見ればホンモノの水彩とは違うのがわかります。これ、いわばカニカマです。
個人的にはページ片隅の軽めのカットなどがちょうど良いかなと思っています。
サクッと描けるので、気晴らしの落書きにもいいですよ。