消渇(ショウカツ)とは中医学で、多飲・多食・多尿を特徴とする病証です。


これは西洋医学での「糖尿病」です。

中国では20003000年も前に編纂された医学書にこの消渇の記載があります。

肺と胃と腎が熱を持ち、複雑に関係しあう病証であるとされています。

現在日本では、糖尿病とその予備軍それぞれ約1000万人と推計されています。

身近に糖尿病の方は沢山おられますし、決して人ごとではない「国民病」なのです。

さて、この糖尿病(インスリン非依存型、またはⅡ型糖尿病)は生活習慣病です。中国の医学古典でも「油物、甘い物、辛い物を好む」「酒を長く飲み続けている」などと分析されています。

遺伝的な要素もあることがわかっていますが、それだけではなくやはり生活習慣が大きく影響します。ですから生活習慣を適切に保つことで予防できるのです。

中医学では、「未病」の段階で養生し、病気にならないようにすることが一番大切、とされています(未病先防)もし既に“血糖が高い状態”であるならば、早期診断・早期治療を受けて進行を防ぐ事が大切です(既病防変)。

糖尿病は全身に影響を及ぼす病気ですから、よく知られている三大合併症(糖尿病性神経症、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症)の他、脳梗塞、心筋梗塞などの発症リスクを高め、抵抗力を低下させ、アルツハイマー病の危険因子の一つとしても知られています。つまり糖尿病の予防は色々な病気の予防にもなる、という事です。

未病の段階で、あるいは発病早期に、生活習慣を見直して養生していくために、中医学の視点を生活に取り入れることをお勧めします

食事療法は糖尿病で一番大切な治療です。自分の体質や状態、季節などに合わせて、どんなものを食べるのが良いでしょうか?カロリーの計算に薬膳の知識を組み合わせた食養生はいかがですか?未病の段階から食養生は重要です。

自分の体質を知って、弱いところを補ったり、体に溜まった余分な不要なものを取り去るような「ツボ」や「経絡」による養生で体のバランスを整えましょう中医学では「陰と陽のバランス」を重要視します。体の中の陰陽バランスです。

最初に、中医学では消渇は肺や胃や腎が熱を持っていると考える、と話しました。あなたの肺や胃や腎は「熱を持って」いませんか?余分な熱は体の津液(水分)を奪い、体を枯らしてしまいます。糖尿病は進行すると、異常に痩せる病気です(消痩) 

中医学の養生法を生活に取り入れ、消渇に克って”健康を維持していきたいものです。




看護師 中医セラピスト師範 和田 芳子