3月に入り寒さが緩んできたことを肌で感じることができるようになりました。

この世界のあらゆる物・事を、木火土金水の五つの要素に当てはめてその特徴や関係性を説いている「五行説」の「木」は草木がのびのびと芽生え成長していく様を表しています。季節は春、動物も植物も厳しい冬の寒さから解放されて身軽になり活動的になります。

 

勿論、体の中の臓腑や精神活動も五つの要素に分類されています。中医学では体の状態を観る時、この五行説を基本としています。「木」に相応する臓腑は「肝」「胆」です。特に「肝」はこの季節「気」をのびのびと巡らせ旺盛となります。

一方、感情面では「怒」が「木」に相応しています。「怒」とは、文字通り怒り、

イライラして「キー💢」となって「何考えてんのよー!!」と言いたくなるか、言ってしまうような状態ですね。身体のバランスが不安定であったり、滞りなどで上手く「肝」の「気」を巡らせることが出来なければ(肝気鬱結)、「気」は頭の方へ上亢して「火」と化します(肝火上炎)。

NHKTV番組「チコちゃんに叱られる」をご存知ですか?チコちゃんはよく怒ります。「ボーッと生きてんじゃねーよー!」と。チコちゃんは顔を真っ赤にして、目を吊り上げて、その瞳は炎が燃え上がっています。

 

西洋医学の「肝臓」は糖・たんぱく質・脂質の代謝や合成、解毒作用、胆汁生成など重要な働きを担っている臓器ですが、中医学でも「肝」は栄養物質を蓄えて全身の隅々までスムーズに流れるようコントロールしている、とされています。さらに、五行説で「木」に相応する精神活動を「魂(コン)」としていますので「肝」と「魂」は密接な関係で、「魂」という精神活動は「肝」の働きによるもの、とされています。

 

「魂」とは理性、判断、思惟のことで、思考力を豊かにし、常識やマナーをわきまえ、物事をきちんと判断し処理する能力のことです。

「肝」の「気」が怒りの火となって「魂」を見失うことのないようツボ養生、食養生などで「肝」の「気」をしっかり巡らせておきたいものです。

                    

 

 

               (気を巡らせるツボの一例 左右の足背)

 

看護師 和田 芳美