就活自殺3倍増・学生自殺初の千人超・仕事に殺される人2割増・政府自ら若者の雇用閉ざす新採抑制 | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 昨日、内閣府と警察庁が2011年の自殺統計の確定値を公表 しました。自殺者数は3万651人で1998年から14年連続で3万人を超えています。


 内閣府は、「東日本大震災を背景とする経済的なリスクの広がりが原因」で昨年5月に自殺者が急増したとし、避難所や仮設住宅などで発見された震災に関連する自殺を55人としています。昨年5月の自殺者数は3,375人で年間を通じて最も多く(例年のピークは3~4月か秋)5月の状況を4月と比較すると、自殺者数は24%上回り、年齢別では30代が44%増で、職業別では「被雇用者・勤め人」が40%増加し、動機・原因別では男性の「経済・生活問題」が27%増と際立っています。ということは、避難所や仮設住宅で発見された55人よりも、実際の震災関連自殺ははるかに多いということではないでしょうか。(※参照過去エントリー「東電から賠償なくクリスマスイブに自ら命絶った福島農民-この悲しみを怒りに変えて」


 また、2011年の統計で目立つのが「学生・生徒」の自殺です。自殺者数は、1,029人となり、統計を取り始めた1978年以降、初めて「学生・生徒」の自殺が1千人を超え、前年比で見ても10.9%増(101人増)となっているのです。動機は「学業不振」(140人)や「進路の悩み」(136人)が上位になっています。


 年齢別の対前年比のワーストは、19歳以下の12.7%増で自殺者数は622人。対前年比で次に高いのは20歳代の2.0%増で自殺者数は3,304人。30歳代から60歳代までは対前年比で減少するなか、若い世代が増加しています。

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 「原因・動機別」を見ると、上のグラフにあるように、就活自殺(原因・動機別の学生・生徒等の「就職失敗」)は52人と2007年比で3倍以上の増加が続いています。

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 また、上のグラフにあるように、勤務問題が原因の自殺は年々増え続け、2,689人と2007年比で2割以上増加しています。直近のワタミ問題に見られるようなブラック企業の蔓延など労働者の無権利状態がここに反映しているといえるのではないでしょうか。(※参照過去エントリー「ワタミ問題から考える日本の雇用 - 合法的に過労死・過労自殺を認めている日本社会の異常」


 こうした状況にもかかわらず、野田政権は昨日、2013年度の国家公務員の新規採用を、2009年度比で7割超削減するよう各府省に指示し、今月末までに閣議決定するとの方針を表明しました。これは、日本政府みずから率先して若者の雇用を閉ざすという点で愚策であると同時に、東日本大震災からの復旧・復興にとっても大きな支障をきたすことになる大問題です。ライフラインの復旧・復興を担う国土交通省の被災地職場では、職員の多くが深夜まで残業し睡眠時間3~4時間で奮闘していますが、復旧・復興への業務量に対し圧倒的に職員数が不足しています。また、労働行政の被災地職場は、震災復興事業で労働災害が増大し被災地への全国の職場からの応援が必要になっていますが、被災地以外の職場も人員削減となっているため応援もままならず、労働行政の役割が果たせない状況に陥っています。野田政権は、若者の雇用を縮小し、震災復興にも支障を来す、国家公務員新採抑制をやめるべきです。


(byノックオン。ツイッターアカウントはanti_poverty)