こんにちは。会津素子です。

 

 今日は人間以外の動物に視点をおき、戦争と平和について考えたいと思います。

 今、「動物と戦争:真の非暴力へ、《軍事―動物産業》複合体に立ち向かうを読んでいます。地球生物会議ALIVEさんから薦めて頂いた一冊。2ヶ月前から読み始めているのですが、まだ読み終えることができません。

 なぜなら文中の史実一つ一つを追うだけで、動物たちが味わってきた苦しみや恐怖に想いを馳せてしまい、読んでいるうちに体調が悪くなり、少し休憩を挟まなくては読み進む事ができないからです。(この本を訳された井上太一さんも平和に対する熱い想いを持っている上、動物好きでヴィーガンでいらっしゃいます。翻訳作業は心身共に相当苦痛だったのでは・・・と察しています。)

 本来なら完読してから発信するべきなのでしょうが、どうしても参院選投票日前に書いておきたいので、読み途中ではありますが本の内容について発信させて頂きます。残酷な表現が出てきますが、どうかお許し下さい。

 

 

 動物は戦争に利用されてきた。この事実は皆さんよくご存知だと思います。

 時代劇にも登場するように、日本では多くの馬が戦に使われました。外国では、象やラクダも戦場で乗り物として使われてきました。当然敵は乗り物を攻撃します。計り知れない数の動物が殺されました。

 

 現代でも多くの動物が戦争の犠牲になっています。

 1990年代、湾岸戦争では燃え上がる油田地帯で、ラクダ、馬、牛が黒こげになって死んでいきました。

 

 現在も地球のあちこちで銃撃戦が繰り広げられています。畜舎や牧場に置き捨てられた家畜、飼い主の家に取り残されたペットは爆撃の音が鳴り響く中、飢えに苦みます。人間の命が奪われる戦場において、動物の命が大切にされるということはありえません。(日本でも第二次世界大戦中、動物園の動物が殺処分され、犬は食べられました。)

1990年代、セルビア紛争では兵士が野生動物に発砲し、動物園に収監された動物の餌を奪い、殴り、焼き、擲弾で攻撃しました。

 

 大昔から人間と共に生きてきたも、軍用犬として利用されました。

 第二次大戦ではソ連軍が犬に爆弾を運ばせ、犬がドイツ軍の戦車の下に潜り込んだところで爆弾を爆発させました。2000年代に入ってもイラクやアフガニスタンで、同じ方法で犬やロバやラクダが殺されました。

 

 ベトナム戦争ではアメリカ軍は数千頭の犬を軍用犬として利用しました。多くの犬は戦闘中に殺され、生き残った犬は「アメリカに連れて帰ることが禁止されたため、アメリカ軍が撤退した際には多くの犬が殺されました。

 

 現在日本でブームとなっているも利用されました。第二次大戦中、アメリカCIAの前身OSSは猫に爆弾を巻き付け敵艦の上から投下する試験を行いました。思うような成果が上がらず試験段階で終りましたが、試験とはいえ多くの猫が殺されたことになります。

 

 兵士の士気を高めるためにも、動物は使われます。ナチス・ドイツでは親衛隊の訓練中、一人一頭シェパードがあてがわれ、共に仕事に当たり1~2週間を過ごします。愛着関係が築かれた頃、親衛隊は司令官の前で犬の首を折るように要求されました。

 

 2002年に公表された、ペルー軍陸軍士官候補生の「勇敢度試験」のビデオでは、身動きの取れない犬に候補生がナイフで襲いかかり残虐な方法で殺す様子が映された、とサンデータイムズ紙が報じました。

 

 動物は生体組織訓練として、主にアメリカ軍で利用されます。アメリカ海軍では「外傷訓練」として豚に銃撃した上、体に火をつけたと2006年に外傷医が証言しています。この豚は負傷後15時間生きていたそうです。

 2008年には最低でも8種類の動物7500頭が、アメリカ軍の医療訓練に利用されました。

 2012年に公開された内部告発者のビデオでは、充分な麻酔を施されない山羊を刺し、切り、撃ち、そして山羊を傷つける人間は陽気に口笛やジョークを飛ばすという地獄のような光景が映されています。

 

 動物は実験にも用いられます。アメリカ陸軍では近年まで、ミドリザルに毒物注射する実験を行なっていました。(市民による大規模な抗議行動により、陸軍はサルを使う化学負傷訓練を2011年までに止める事を約束しました)

 

 アメリカ軍に生体訓練を提供している会社は「生体訓練は軍人の精神・感情を慣らすことで、心的外傷後ストレス障害(PTSD)の影響を著しく抑制する」と述べています。つまり、恐ろしい傷を負った動物を見せることで、兵士が戦場で残酷な殺人を見たとしても大きなストレスには繋がらない、ということなのです。

 

 戦争によって軍事産業によって動物は利益を得ることはありません。動物たちはただ使われ、苦しめられ、それでも文句も言わず人間に従ってきてくれました。

 本の中でこのような文章が紹介されています。「世界の自由と民主主義を守るという名目を持った戦争が動物に見返りをもたらしたことはこれまでにもなかったし、これからもない。」

 

 以上が本の内容です。(まだ半分しか読み終えておりませんが)。続きはぜひお買い求めてお読み下さい。

 

 

 本を読みながら考えました。安保法制によって自衛隊が海外で人を殺すことが可能になりました。しかし、平和一色の世界で生きてきた自衛隊員が、いきなり人を撃つことができるのでしょうか? 人を撃つため、人を殺めるための精神訓練が何らかの形で行なわれるのではないでしょうか? また、医療訓練はアメリカ軍方式で行なわれるのではないでしょうか?

 例えこれが私の想像で終ったとしても、多くの動物が戦争や軍事産業の犠牲になっていることは変わらない事実です。ですから私は、動物好きの立場として、改めて自衛隊が海外で戦闘を行い、軍事産業を拡大する安保法制に反対します。

 人間以外の動物を痛め付け搾取する限り、私たちの間に起こる暴力は消えません。全ての命を尊重することで、平和な社会を築くことができるのではないでしょうか。人間中心主義ではなく、人間は生態系の一部にすぎない、という認識も必要だと思います。

 

 7月10日(日)は参議院議員選挙の投票日です。

 軍事予算を拡大してきた現政権に審判が下される日です。

 投票に行けない動物たちのためにも、必ず投票してください。

 最後までお読み頂き、ありがとうございました。