わたしは『話かけられる言葉は理解できるけど、自分からは思い出せない』という失語症でした。
『話しかけられる言葉は理解できる』ということは言葉に関する知識や記憶は失ってはいないということです。
言葉に関する知識や記憶を失ってはいないのに、なぜわたしは自分からは思い出せなかったのでしょうか？
わたしはあの時、どんな能力を失ったのでしょう。
この症状でわかることは、知識や記憶だけでは自分から『言葉を思い出す』ということを、『脳は処理できない』ということです。
言葉を頭の中に思い浮かべるとき、言葉に関する知識や記憶以外に、どんな能力が必要なのでしょうか。
その答えを、当時のわたしの具体的な症状から、導き出してみましょう。
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（といっても、わたしの個人的な見解ですが
）
）交通事故に遭い意識を取り戻したわたしは、目に映る物の名前がすべて思い出せないことに気づきました。
また、思い出せない言葉は物の名前にとどまらず、「嬉しい」「楽しい」「悲しい」など、自分の感情を認識する言葉も思い出せませんでした。
わたしは、自分の中に生まれくる感情に対して、心の世界の中ですらも、言葉で名づけることができませんでした。