前回の記事で、「明日、学校から帰るとき駅前のコンビニでアイスを買ってきて」……という文を思い浮かべることはさほど難しくないのに、ランダムに並べた数字は10文字すらも正確に思い浮かべることが難しいことをお伝えしました。
前回の記事では、『何かを頭の中に正確に思い浮かべることは難しい』ことを伝えたかったのですが、数字を思い浮かべるのが難しい理由はほかにもあります。
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上の数字は前回の記事で書いた数字です。10文字あります。
この数字は、一文字一文字については、わたしたちは理解できます。つまり話し手が「2」と読みあげたときは『2』だと、「8」と読みあげたときは『8』だと理解することができます。
でも10文字の数字を聞き終わったあと、この10文字から意味を見い出すことはできません。例えば、もし誰かが突然数字をブツブツと唱えだしたら、きっと気味悪く思うでしょう。数字を言っていることは理解できますが、何が言いたいのか『意味がわからない』からです。
ランダムに並べられた数字の羅列は一文字一文字としては意味はありますが、一つのまとまりとして見たときは意味を見い出すことができません。
ところで、このブログ読んでいる人の中には、上記の数字を見て、暗唱できる人もいるでしょう。でも、それは『目から見た情報だから』かもしれません。
書かれた文字は自分のペースで一文字一文字理解していけます。
でも耳から言葉を理解するときは、音声は発音された瞬間に消えますから、書かれた文字を読むときのように一文字一文字たどりながら自分のペースで理解していくなんて悠長なことはできません。
ここで『復唱』について、ちょっと書いてみます。
『復唱』は聞きとった瞬間に、即座に聞きとった音声を再現することが求められます。聞きとった音声を覚えるための時間は与えられません。
また、復唱は一度しか聞いていないものを『正確に』再現していくことが求められます。ですから、
「明日、学校から帰るとき駅前のコンビニでアイスを買ってきて」と復唱する場合、一見さほど難しくはないと感じるかもしれませんが、実際はちょっと難しいかもしれません。
今、この記事を読んでいる皆さまは文字を通して「明日、学校から帰るとき駅前のコンビニでアイスを買ってきて」という文を理解していますが、書かれた文字は自分のペースで一文字一文字理解していけますし、また何度も読み直すこともできます。
でも耳から理解するときは、一度きりです。
一度しか聞いていないものを『正確に』再現するとき、聞きとった言葉が長くなれば長くなるほど意味のある言葉でなければ難しくなります。
ランダムに並べられた数字を復唱することは、数字一文字一文字を理解できても難しいことです。数字は一文字一文字には意味があっても、数字の羅列そのものには意味がないので、わたしたちの記憶に残りにくいのです。
さて、聴覚的把持力とは『耳から聞きとった単語をいくつ頭の中にキープし続けることができるかを問う力のこと』なので、
ブログのように書かれた文字を理解するときとは状況が違うことを伝えたくて、今回は復唱について少し書いてみました ( ̄▽ ̄)
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