東京の年間予算は約13兆円。名目GDPは約91兆円と、「都市」ではなく、「国」と比較しても世界の14位に入るほどの規模を誇ります。
その非常に重要な自治体のトップを決める選挙に、「勝つ候補者を選ぶ」事だけを考えて、何度もアンケート調査を行いながら、自民、公明、民主は右往左往してきました。



数日前から細川護熙元首相の出馬が取沙汰されている為、最終的にはどのような構図になるかは予断を許しませんが、これまでの各党の動きを見ていると残念な気持ちにならざるを得ません。

パラリンピック・オリンピック以外にも都政改革、無駄削減、地方分権、防災、直下型地震対策、セーフティーネット、文化発信、新エネルギー戦略(脱原発)、規制緩和、ベンチャーと企業の成長戦略、子育て問題、etc.と 今度の都知事に求められるビジョンは山のようにあります。



しかし、既に出馬の意向を示した中では最も有力だと言われていた舛添さんに対する支援の基準として、自民党では「過去の事に頭を下げられるか」「自民党・公明党(直接的には都議会議員)の言うことを聞けるか」の2点が最重要視されてしまっていたのが現実です。「政策協議の必要性がある」と言って、昨日は説明会が行われたようですが、このレベルではアリバイ作りでしかありません。要は、「オリンピックや公共工事の巨大な利権を思うように出来るか」を裏で確認し、表向きの儀式を行っただけに過ぎません。都民が一生懸命働いて生み出した甘い蜜を求めて群がってくるシロアリたちを想像するだけでゾッとしてしまいます(そもそも「除名」された人を「選挙に勝てそうだから」という理由で招き入れてしまう組織は、規律とガバナンスに問題があります)。



また、野党第一党として毅然とそれに立ち向かうべき民主党が、最初から「自公と相乗りで、舛添さんで良いのではないか」という態度を取っていたことにも落胆してしまいます。それでは、同じように甘い蜜に目がくらんでいると思われても致し方ありません。



ところで、皆さんは昨年の10月に行われた川崎市長選の結果をご存知でしょうか。
残念ながら都知事選ほど注目を浴びない為、知らないという方も多いかもしれませんが、勝利を収めたのは当選確実と言われていた秀嶋善雄さん(自民・公明・民主の相乗り推薦)を僅差で破った、福田紀彦さんでした(松沢成文さんの元秘書。みんなの党は勝手連の立場で応援)。政党相乗りで誕生した首長は議会にものを言うことが出来ず、歳出圧力が働き、改革や歳出削減が出来ません。それに気付いた川崎市民の勝利だったと言えます。



それにも関わらず、またもや政策そっちのけで進む、都知事選の政党支援談合。結局、今回も「誰がやるか」だけで話が進んでしまい、「何をやるか」が軽視されてしまっています。



都民の皆様にはこのような旧態依然とした政治の世界を吹き飛ばして頂きたい。
日本の首都の一員としての気概を持ち、各候補者のビジョンや政策と過去の言動をしっかりと吟味した上で「この人なら東京の舵取りを任せることができる!」という候補者を選出して頂きたい・・・と切に願っています。