※こちらは2014年6月の記事に加筆したものです。
今回のおススメは「美術館」、ではないけれど
不思議な体験ができる場所です。
80年代に福武書店(現ベネッセ)の福武さんがはげ山と言われた直島を
豊かなアートの島にしようと決めて、海の再生、古民家の保存に努めました。
豊かなアートの島にしようと決めて、海の再生、古民家の保存に努めました。
その古民家保存プロジェクトの地域がこの本村地区の「家プロジェクト」です。
まずひとつ目、南寺。
お寺があったところに、安藤忠雄さんがあるアーティストのインスタレーションを実現する建物を建てました。
こういう入り口から中へ入るのですが、
前の方に続いて中に入ると、
そこにあるのは完全なる暗闇、
壁を手さぐりしてないと、
自分が地面に立っているのかどうかもわからない、
目を開いてるのに何も見えない、
すごい暗闇です。
普通に暮らしていて、このような闇は、目をつぶっている時ですら、感じることができないと思います。
手さぐりで壁つたいに進む、足場に何があるか見えないので足も完全すり足です。
そして、ここは観光者が来る施設であると知っているから、進める、
くらいの闇です。
予め説明されていたので、少し進んだところにあるベンチ(見えないからベンチかどうかもわからないけどね)に腰をおろします。
そしてじっと闇を見つめる。
目をつぶっていても同じだけど、
目を見開いている、ということにしがみついているのかもしれない。
あそこで目をつぶれないのは、人間の本性だろうな。
しばらく、
しばらく、
しばらくそうしてじーっとしていると、
遠くの方にほのかーなあかりが見えてきました。
その明かりは、またしばらくみていると、
だんだん四角に見えてきました。
その四角がだんだん大きくなってくる。
これは何かの装置がこのような光をだんだん強くしているのではないのです。
人間の目が、光に対して、だんだんに反応してくる。
目の奥の光をキャッチする細胞が、
奸体だっけ?
だんだんたくさんの情報をキャッチできるようになる。
それは脳に送られて、一生懸命目の前にある物体が何なのか、情報を総合しようとする。
暗闇は、人間にとって危険を意味するから
、そこで生き延びるための情報が必要です。
私の目が、私の脳が、
必死になって情報を得ようとしているのを、冷静に見ていることができる、
すごいインスタレーションだと思いました。
すごいインスタレーションだと思いました。
どのくらい時間がたったのか、
説明のおじさんが、
スゴく日常の口調で(笑)、
「さあ、たって前の光に向かって歩いてくださいね」
と言いました。
そこに並んで座っている数人は、
そろそろと立ち上がり、
手を前に突き出して、
うすーい光に向かって足を踏み出します。
足元は相変わらず見えないから、
自分より前に人がいないと、
もしかして浮いてる?
と思うほどです。
右足を出す、何かを踏んでる、それを確かめて右足に体重をうつす、左足をだす、大丈夫だちゃんと踏んでる、右足に体重を、、、そういう感じです。
明かりに近づくと、
そこには窓がありました。
外が見える窓ではなくて、
ぼんやりした光があるくり抜き、というのかな、
そこに手をつっこんでも
何もない。
窓でも内側でも外側でもない。
なんだろう、キツネにつままれたような。
追いかけてやっと掴んだものは
「何もない」
自分の脳が一生懸命「ある」と捉えていただけ。
みなさん、それぞれが
「ない」を確かめていました。
すごい。
この南寺。
この暗闇の中にいたら、一週間で廃人になりそうな気がする。
人の意識について、考える。
人の声、
・・・・ああ、嬉しい。
そういえば、ワタシは暗闇恐怖症だった!
・ベネッセアートサイト直島 家プロジェクト
http://benesse-artsite.jp/art/arthouse.html