パパは何でも人まかせだって・・・・ | 清水国明オフィシャルブログ「清水国明のブログ」 Powered by Ameba

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瀬戸内海のど真ん中
岩国と松山の中間あたりに無人島「ありが島」があります。
清水国明が日本一わくわくする無人島キャンプ場を造りました。
これまでの集大成、これからの希望です。
どうぞ遊びに来てください。
http://arigatou.p-kit.com/

「パパは、何でも人まかせだってみんな言っていたよ」

二人きりになった時、

突然に国太郎が口にした言葉に驚きました。

 

年末年始、「森と湖の楽園」のスタッフと、

呼びかけに応えて集まってくれた友人たちと、

瀬戸内海の無人島でドームハウスや井戸掘りの

作業をしていた時のこと。

 

みんなが無人島を離れて

ようやく家族だけで過ごすことになった日の夜、

6歳になった国太郎が僕に言ったのです。

 

「誰がそんなこと言っていたの?」

チョット戸惑ってから国太郎が口にした人の名前は

このプロジェクトに現地参加してくれた人たちで、

その中の一人は炊事班で大活躍していた、

国太郎の大のお気に入りお姉ちゃんでした。

 

そんな風に感じながら作業していたのだとしたら、

すごく残念で、申し訳ないことでしたね。

 

国太郎も、それが父親に対するネガティブな評判だと

なんとなくわかって、

誰も居なくなってからじゃないと言えないな

と気遣うような、

子どもにそんな思いをさせてしまったことが

悔やまれます。

 

何でも人まかせにする、つまり

「役割を分担し、
完璧にまかせ切って

各自のスキルアップを目指す」
ことが、

今回の無人島プロジェクトの一つの目的

だったのですが、

そのあたりの説明がまったく不足していたようです。

 

ほんと今さらですが、言い訳ですが、

なんでこんなことになったのか、

反省とともに、経緯を自分なりに

振り返ってみようと思います。

 

年末年始の忙しい時、限られた時間の中で、

必要最低限の施設を一気に完成させるために、

「森と湖の楽園」のスタッフとは、

何度もミーティングを重ね、

精密なチェックリストを作り、

役割分担の組織図を作成して臨みました。

 

現地参加の人には、作業開始前にしっかり

レクチャーするつもりでしたが、

海が荒れて初日には合流できず、

大切な今回のプロジェクトの趣旨と、

役割分担や作業の進め方の説明ができないまま

突入してしまったことがまずかったですね。

 

テレビの追跡番組の切り口が

ずっと家族のみにフォーカスしていたので、

ことさら集団での作業に

違和感があったのかもしれません。

 

実は「森と湖の楽園」では、

企業研修や社員旅行、家族キャンプ、学生合宿に

訪れる人たちを対象にした

「災害時におけるサバイバル技術を習得した

プロボランティアの養成」

といった講座をやっているのですが、

 

それは、3.11以来行っている

東北の被災地支援活動の中で、

プロフェッショナルなボランティアを養成する必要

を痛感したからなんですね。

 

災害時には、時系列に沿って

「脱出、救助、延命」

と変化する状況ごとに
最適な判断で

素早く行動することができる訓練を体験して、

備えとして最も大切な自助の技術、

各自の防災力を高めておくこと。

 

そんなプロボランティアの養成に関わり、

教える側の人間として

僕らは絶えず、自らの防災スキルを

磨かなければならないと思っています。

発災時、速やかに効率よく組織化された

チームを編成し、

指揮命令システムによって

活動することができる訓練のことです。

 

その、ICS(インシデント コマンド システム)

という仕組みによって

それぞれのチームをコントロールする

組織の組成と運営の
シミュレーションを、

今回の無人島で実践しました。

 

コマンドからのオーダーを、客観的に評価、

安全判断するセクションがあり、

その下部組織として最適サイズの各チーム

(備蓄・炊事・作業・広報・財務)があって、

このチームは緊急の現場では、

各自の自主判断で行動することができる

というシステム。

 

これらを簡単に言うと、

指示を出したら後はまかせっきり、ということ。

国太郎が言うところの

「パパは何でも人まかせ・・・」ですね。

もちろん、すべての責任は指示者がとる、

と覚悟した上でのことですがね。

 

ややこしい話になってしまいました。

これまで、誰かの力を借りた上げ底の人生が嫌で、

セルフビルドでログハウスを造りながら、

オートバイや釣りやキャンプなど、

いくつものリアルな世界へ自ら飛び込んできました。

けれど、何でも自分でやらなければ気が済まない

という段階をそろそろ卒業して、

みんなで活かし合い、力を合わせる

チーム戦の面白さに、

ようやく目覚めてきたのかもしれません。

 

この無人島を、みんなのチカラに感謝する

「ありが島」と名付けました。

 

いつか国太郎が、

このあたりの事情を

分かってくれると嬉しいんですがね。