置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~

12月18日(日) 保護された母犬。


実は先に、仔犬5匹だけが保護されていて、

毎週この母犬を保護するために、

同じ場所に通っていたアニマルエイドのSさん、個人ボランティアのKさん達。

悲しみばかりでココロが潰れそうにになるレスキューの中で、

ほっこりとなる瞬間です。





置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~



置き去りにされた小さな命~福島第一原発20km圏内 警戒区域から~


先に保護されていた仔犬達。

いわきのボランティアさんが、まだまだ小さいBABYちゃんだった5匹を

ミルクでここまで大きくしたとのことです。







 アニマルエイド Sさん




  わたしが9月から、同行させてもらっているアニマルエイドのSさん。

先日のレスキューの際は、右手の指を真っ赤に腫らし20時間以上運転し続けた。

捕獲の際、猫に噛まれたのだという。

一本の指は骨が曲がっている。

これも以前噛まれた後遺症なのだと笑って話す。

福島に行かない日は、ホームグラウンドでシェルーターに保護した動物の世話。

先日は地域で下半身を車に潰され、動けなくなっていた野良猫の保護。

病院に搬送し断脚手術を受け、退院後も面倒をみる。

保護した犬、猫の新しい家族を探し、引き渡す。

保護の依頼があれば飛んでいく。

彼女を突き動かしているものは、一体何なのか?


 「20km圏内で死んでいる動物の死骸を、

  これでもかと自分の体に巻きつけて

  国会議事堂の前で自爆テロを起こしたい。」


  わたしがはじめてSさんに会った夜、

  福島に向かう前に彼女がつ ぶやいた言葉。

  でも、彼女の行動力はテロではなく、動物達を救うところに向けられている。


  

  夜東京や埼玉を発ち、東北自動車道を北上、

対向車のない山を越え、危険を冒して圏内に入る。

もちろん、バリケードを破壊したり、器物損壊になるような行為はせずに。

そして、雑草が伸び放題の道なき道を、ただひとつの目的のために進んでいく。


これらの活動が一時的なものであれば、ただの自己満足にしかならない。

Sさん達は違う。

本気で犬や猫を助けたいから、定点を決めて、毎週必ず給餌を行う。

命を繋ぐために。

一回につき2~4台のクルマで圏内に入り、定点100箇所以上に

600kg~800kgのフードを置いてくる。

そして、捕獲機やリードを持参して、保護した犬や猫は

埼玉のシェルターまで連れ帰り、動物病院でのケアを受ける。



また、いくつかの愛護団体同士、給餌地点が出来るだけ網羅されるように

連絡を取り合うこともしている。

あまりにも広い範囲で出来ることは限られるが、

今、圏内で生きている犬や猫がいるのは、こうした団体の活動があってのことなのだ。

また、避難している住民からの依頼を受けて、犬や猫の保護や給餌も行う。

そして飼い主不明の犬や猫を保護した場所にはメッセージを残し、

どこで保護されているか連絡先が分かるようにし、愛護団体のブログに写真をアップして 

広く知らせることもしている。



  ある日のレスキューでは、クルマがぬかるみにはまるもJAFも呼べないので、

  20代?の女の子たちが、泥まみれになって、クルマを引き上げた。

  また、個人ボランティアのKさんは、女性でありながら、道路のひび割れに挟まり

  バーストしたタイヤを交換するなど、その行動力には感嘆してしまう。

 

  あるときは警察に3時間も拘束され、保護した猫を置いていけと押し問答になった。

  政治に出来ないことをしている彼女達。

  被曝することだって自分の責任で、誰かに責任を押し付けたこともない。


  それぞれの愛護団体は、ただでさえ自分達の住む街で保護し

  面倒を見なければならない犬や猫でいっぱいなのに、

  好き好んで重責を負っているのではない。

  パトカーで追いかけられ、まるで犯罪者のような扱いを受けなければならないなんて

  間違っているのはルールのほうでしょ。