子ども達が消えた公園。
役目のなくなった固定遊具。
タイムスリップでもない、白昼夢でもない、
これは現実の風景。
首輪をつけた猫の亡骸。
誰か家族に可愛がられていたことがあったんだね。
民家の玄関先に横たわっていた。
家族の帰りを待っていた。
たくさん目にした猫の亡骸。
多くが民家の玄関先だったのには、理由があったんだね。
とある民家の玄関先に貼られた放射線量測定結果。
20kmとひと括りにされた警戒区域。
線量の低い場所もある。
帰りたい家がある。
待っている命がある。
今、この時間も・・・。
急カーブを曲がるクルマの気配に、
一斉にこちらを向く離れ牛。
警戒区域から避難する際、どうにか生きて欲しいと
畜主さんが放った牛の群れ。
11月。この日の最高気温13℃
濡れながら、冷たい体で、
どうしてここから動かずにいるの?
そうするしかないでしょう。
帰る場所なんてないんだから。
家畜としての価値がなくなった時、
待っているのは餓死か殺処分。
どこから来たの?
どこへ行くの?
ふわふわの毛にくりくりした目。
クルマのフロントガラスをつついて甘える仕草。
次の給餌地点へとクルマを発進させれば、
側面から体当たり。
しばらく後ろを追いかけてくる。