平成28年9月21日(水)放送
【イラストレーター・紫藤みやおの手作り焼絵】
≪放送看板≫
あなたも身近な日用品を、紫藤みやお「オリジナル焼絵」で彩ってみませんか?
詳しくは「よつば」まで。
よつば公式Facebookページ
https://www.facebook.com/yotsuba.kurosaki/
【笛田ちひろの天気予想】
ウェザーニュースの編集に参加している ハイパーマルチタレント・笛田ちひろ が、放送2日前 に天気と照らし合わせて 放送日の天気を予想 するコーナー。
≪筆者附則≫
3連勝を飾った「笛田ちひろ」!
私の姑息な減点主義をものともせず、軽やかに当ててしまった。
「ウェザーニュース」の情報がかなり的確だったおかげだったのはあるが、それにしても脱帽ものである。
≪笛田ちひろの活動予告≫
「笛田ちひろのワンコインリコーダーライブ」
平成28年9月24日(土)18:00~
北九州市八幡東区中央区商店街「くるくる」
「笛田ちひろのまわしよみ新聞」
平成28年9月25日(日)12:30~14:30
北九州市八幡西区藤田なかばし商店街「よつば」
【松並木通信ピックアップ!】
世界のニュースの中からピックアップして筆者が解説するコーナー。
≪テーマ≫
生産管理体制の終焉
≪放送内容≫
日本の労務体系が前近代的で留まっている理由の根本には、教育の問題、いまだに「生産管理体制」が続いていると勘違いしている問題など、日本の根源的な社会的問題に原因がある、と話した。
≪筆者追記≫
日本の労務体系の雛形の整備は、小栗忠順ら、幕府遣米使節団のメンバーが中心となって、徳川幕府が推進した。
米国の最先端「機械産業」を視察した彼らは、その生産力と効率に圧倒され、日本の農業生産力を基盤とし物品融通のための流通を基本とした体制では、これからの国際競争時代を生き抜けない、と確信したのである。
日本を国家ぐるみで「機械産業に適した体制」にしていかなければ、日本は海外からの圧倒的安価な製品に席巻され生活必需品の自給すらままならなくなり、専ら消費地として生活の根幹(経済の主導権)を列強に握られ、遠からず「列強の植民地」とされてしまう。
これを避けるべく、小栗を中心とした改革派は「慶応の改革」を断行した。
その目玉はなんといっても、横須賀に建設した「製鐵所(造船所)」で、時間労働制、複式簿記、賃金制度等、当時機械産業を導入する上で最先端の社会インフラを日本に初めて導入した。(※現在、横須賀に米海軍・海上自衛隊の基地があるのは、このときの幕府の遺産である。)
これによって、彼らは日本の国家システムそのものを「機械産業を育成・保護」し、遍く国民が「機械産業に従事」できる仕組みに変えていこうとした。横須賀はそのためのスタートに過ぎなかったわけである。
小栗らは時代遅れの幕藩体制を廃し、廃藩置県と四民平等による「大統領(将軍)」と「衆議会(幕藩代表&万民代表による会議)」を中心とした中央集権国家へと変貌させようと画策していた。ところが、これが守旧派の大きな反発を招き、それを大政奉還の力技で押しきろうとしたものの、「小御所会議」での多数派工作に敗れて自壊に向かう。
こうして歩み始めのまま残された「国家改革プラン」は、薩長が中心となった明治政府の下、改革派幕臣が官吏となって主導し、教育・労務・法務・金融・流通・国防・行政・通信のすべての分野で、「機械産業を育成・保護」し、遍く国民が「機械産業に従事」していくためのシステムとして組み上げられていった。義務教育・六法制定・裁判所設置・銀行設立・郵便設立・国民軍設置・議会制定・廃藩置県は、それぞれ教育・労務・法務・金融・流通・国防・行政・通信における改革の代表例である。
それが「明治維新」の本質である。
この国家改造はあらゆる紆余曲折を経て、日露戦争後に本格的に機能し始める。
しかし、「機械産業」がさらに進み、生活必需品が衣食住に留まらなくなってくると、次第に明治システムも時代遅れとなっていく。そうして発生した断続的な不況が日本を襲い、日本はそこを解決する根本的な自己改革できぬままに破滅の戦争を行ってしまう。
そんな問題を一掃したのが、戦後改革である。
敗戦を逆手に、日本は改革を断行し、大型化した「機械産業」体制の理想形を産み出す。いわゆる日本版「生産管理体制」=「護送船団方式」の完成である。
国家ぐるみの「資本・資源・情報・責任の集中」による取捨選択システムと、「教育・流通・通信の徹底」による利益配分システムの確立である。「機械産業」を管理運用するエリートたちが一手に責任を背負い国家を運営し、一般国民は課せられた「機械」へのひたむきな従事によって配分を得る、というシンプルな仕組みが日本を「機械産業」時代の頂点へと押し上げたのである。ところが、これに基づく機械化の領域が生産行為の大半を担うようになる(一般国民が「機械」への従事を必要としなくなってくる)と、日本は迷走を始める。そこに「冷戦崩壊」と「情報革命」の進化が追い打ちをかけた。
「情報革命」の発生は、これまでの「機械産業」時代の価値観や方程式を根底から覆した。いや、正確にいえば、近世時代に引き戻した。それまで誉れとされていたことの多くが否定され、文献で美徳とされていた価値観が再び注目されるようになってきた。ただ、近世時代と現代が異なるのは、近世時代の「一般庶民」の役目を「機械」が担ってくれるということである。
つまり、現代の人類はすべて、近世時代の「武士」「貴族」といった役回りを担う必要があり、教養人であることが前提で、文化伝統を守り、宇宙真理を追究し、社会を先導していく義務を背負っていくことになる。
これからの時代は「機械」に従事し生産を効率よく行うことが求められるのではなく、生活の中で人々が新たな進化を得られるような「情報」を生産することが求められる時代である。
「機械」に従事する必要がないのだから「時間給」的な考え方は理屈に合わず、これから必要なことはどれだけ「生活」を大切にできるか、にかかっている。当然ながら、職種や役職での優劣は問題とならず、「生活」「経験」「研究」を通して真理に近づき「情報」を生産できた者だけが尊敬を受けることができるようになる。
しかしながら、日本は江戸末期から、ただひたすらに教育・労務・法務・金融・流通・国防・行政・通信のすべてを「機械産業」に合わせていった。それで大成功してしまった日本では、日本国民の価値観・文化・習俗・流行にまで、そんな「機械産業」に資する形が深く刻み込まれてしまっていて、容易に変えようがない。
たとえば「正社員」の条件が良い理由はそれだけ従事する「機械」に忠誠を誓っているからであり、「サービス残業」が頻発する理由は疲れない「機械」に従事することを優先させてしまう風潮が醸成されているからではないだろうか。これをやめられないところに、日本国民の現状の限界があるのだと思う。
これからの時代は、中央(機械産業の作動決定権を持つ者)に認められる(目立つ)必要もなく、「機械」に従事する必要もない。重要なことは「いかに生活に立脚するか?」であり、「機械」も「インフラ」もそのための手段として取捨選択されるのである。
仕事の在り方も従事から奉仕、求められる人材もスペシャリストからゼネラリスト、組織の在り方も中央集権から多種分権(マルチワーク)となる。賃金も従事の対価として支払うこれまでの在り方から、奉仕(機械・インフラ提供含む)における御礼か「情報」に対する対価でしかなくなるだろう。
これからの時代の人々は、これまで以上に「あらゆることに対して努力」し続け、自己ですべての責任を負い、必死に日々の生活をかみしめるようになっていく。そんな時代がやってくる、今はその転換期にある、と言ってもいい。
そう、もはや「機械産業」の時代は終わっているのである。「生産管理体制の終焉」と題名に謳った理由は、そこにある。
日本社会は、国民の価値観・産業構造・インフラ・組織体系、どれをとってもこの事実に即した体制に移行できていないのが現状である。この点において、日本は後進国といっても過言ではない。
これらの点を少しでも改革していくこと。日本がこの転換期に自己改革できたとき、日本は「バブル崩壊」以後続いた、長期にわたる景気低迷に終止符を打てるのである。
蛇足だが。
「よつば」では、上記の考え方に基づいた実践研究を、日々展開している。そして、世界から遅れ気味の日本社会に対して、「情報革命」への対応策を提示し、それを社会化していく試みも多数行っている。
今のところ、これが理解されることはなかなかないが、なかなか興味深い成果が幾つか出ており、ささやかながら筆者のほくそ笑むところである。
今後とも、北九州市黒崎という街全体を、「黒崎まちごとラボラトリー」として実験場で活用できるメリットを活かし、人知れず実践研究を続けていく所存である。
興味のある方は、引き続き、お楽しみに!
【次週 平成28年9月28日(水) の予告】
テーマ:シークレットゲスト
放送時間:17:00~17:58
松並木通信GP:https://www.facebook.com/groups/533062996833682/
放送制作:AIR STATION HIBIKI
周波数:FM88.2MHz
インターネット:http://listenradio.jp/
(「全国のラジオ局」→「九州・沖縄」→「AIR STATION HIBIKI」)
企画制作:よつば (https://www.facebook.com/yotsuba.kurosaki/)