先日『市ヶ尾の坂-伝説の虹の三兄弟』を観に行きました。
下北沢にある本多劇場で3日までの上演でした。
下北沢は不思議な街だなと思うんです。
訪れる度になんだかタイムスリップしたような気分になるのです。
でも、別に自分がよそ者だとは感じないというのが
さらに不思議なところで、例えるなら夢でたまに感じる
「明らかにそこは知らない場所なのに、
自分にとってはあたりまえの様にそこにいる感覚」
とか
「絶対知らない人なのに、
違和感なく昨夜の食事会の話をしているときの感覚」
とか、そういった感じ。
だから、なんだか少し怖くって、
わたしはあまり気楽に訪れられないんです。
行くのが嫌というわけではないし、
昔はよく行っていたけれど、少し勇気が必要になる……。
ところがその下北沢に最近ポツポツ訪れています。
そのうちの一つが先日拝見した『市ヶ尾の坂』でした。
横浜市青葉区市ヶ尾で暮らしていた三人兄弟の1992年の物語。
どんな人たちなんだろうと観始めて、
少しずつ三人が愛おしくなって、
少しずつ“女”として身の置き所に困り始めるような、
わたしにとっては、そんな物語でした。
そして、終演後はなぜか笑いが止まらなくなってしまって、
楽屋にご挨拶にうかがったときも、
その後下北沢の街を歩いているときさえも、
ひとりでクスクスクスクス笑っていたように思います。
「ひとによって思うところが違う」
というのは芸事の常だと思っていますが、
久しぶりに「友人とくれば良かったなあ」と
むず痒い下北沢の街の中でひとりぽつんと思ったのでした。
誰か観た人、いませんか?