私たち役者は大うそつきだと思う。

23歳にもなって女学生だと言い張り、
全てを無くしたことないんてないのに全てを無くしたと歌う。

飛んだ大うそつきなんだと思う。
と言うかそもそも歌わない、突然歌わない。


でも、私たち役者は《大うそ》をつくことで、その瞬間の世界中で《いちばんの本当》に出会っていくんだと思う。
見つけていくんだと思う。
まだまだわからないけど、わたしは今は役者ってそういう仕事なんじゃないかなって思っています。



そう考えた時、この《大うそ》こそが私の最大の味方であり最大の敵になる、と思っていて。


プリンシパルとして初めて参加した《ミュージカル》といわれる形の演劇において、歌を味方にする事がわたしの挑戦の全てでした。


右も左もわからない。
歌を全く味方にできない。
歌稽古は、稽古初日に1度と劇場に入ってから通し稽古前の休憩中の1時間の計2回。


破裂しそうになっていたわたしを見捨てず根気強く待って、さりげなく、少しずつ導いてくれたのは檜山役の原田優一さんでした。
お兄さんなんだけど、もはやお母さんのような優一さん。本当にありがとうございました。
優一さんのおかげで少しずつ歌が味方になってくれるのを感じました。



そして千秋楽を迎えた今、歌は物語が語られていく上でなんて偉大な味方なんだろうかと心の底から感じています。
本当の偉大さなんてきっとまだ実感できていないのだろうけど
歌は、本当に、本当に、偉大な味方なのでした。

『ひめゆり』なんて特に音楽がなかったら辛すぎてみんな最後まで観られないよね…
あとストレートプレイだったらこの尺じゃ収まらないよね…
こんな物量を一度の作品で届けられるんだからミュージカルって奥深すぎる。
音楽って素敵すぎる。


甘えたり頼ったりソレだけになってしまうと切ないけれど、「演劇としてミュージカルに挑もう」と心に決めて携わったミュージカルの世界はそれはそれは奥行きのある広い広い世界でした。



歌うことを完璧に味方につけて
さらにその先にある演劇の可能性を探るなんてきっとまだまだこれからなわたしだけど
いつかそこに行ってみたいと心から思いました。




上原婦長役の梨絵さんがくれた
「これからどんどん挑戦しなよ?ミュージカル。
した方がいいよ。
どんどん世界が広がるよ」
という優しくも力強い言葉に

まるで上原婦長に「出ていきなさい」と言われた時のキミとシンクロしたような気持ちにもなって
背中をトンと押されたので
まだまだ空っぽな若者・黒沢
挑戦していくことをここに誓います。
誓わせてください!!



やっぱり演劇っていいなぁ。
大好きです。




それから改めて、いつも劇場に足を運んでくださるみなさまに心の底からの感謝と愛を伝えさせてください。
劇場まで足を運んでくださるみなさまが居て初めて幕が上がります。
幕を上げることができます。
来てくださるあなたが居て初めて演劇は演劇になり得る。
本当に感謝がつきません。

いつもありがとう。
これからもどうぞよろしくお願いします。
絶対損は、させませんから。






さぁ、ただ今文化放送に向かっております!笑
これから生放送です。
明日からまた次の旅が始まる。
カンパニーみんなへの感謝は、旅の中でも書けると思うので取り急ぎお礼と今の気持ちを綴りました。
よし!いってきまーす!