インドネシアで開かれていたバンドン会議(アジア・アフリカ会議)が23日閉幕しました。
この会議では、日本を含む90ヶ国以上の首脳・代表が参加しましたが、終始、中心となったのは、中国の習近平国家主席でした。
今日は、このバンドン会議を扱います。
このアジア・アフリカ会議は、インドネシアのバンドンで開かれたことから、バンドン会議と呼ばれ、1955年に新興国の指導者らが集まって始まりました。
今年は、その60周年の記念首脳会議でした。
この会議の期間中、安倍首相は、中国の習近平国家主席と会談。
再び世界の注目を集めました。
日中関係は「ある程度改善できた」(習近平氏)、「改善しつつあると評価している」(安倍氏)と、一定の改善が見られたからです。
そのバンドン会議。
今回の主役は、主催国インドネシアのジョコ大統領であるはずですが、目立ったのは、中国の習近平国家主席でした。
ちょうど、AIIBの創設メンバーが確定したタイミングで開かれた会議だったこともあり、中国主導で進むこのAIIBに対する、新興各国の期待の大きさが表れていたのが特徴です。
会議では、IMFやADBの使い勝手の悪さが、ジョコ大統領から指摘され、AIIBへの意気込みが確認されました。
閉幕に際する声明でも、国連改革の加速を求める文言が盛り込まれましたが、これは、IMFやADBも含めた、既存の国際機関への批判も含まれています。
そんなAIIBを主導する中国・習近平国家主席が演説で強調したのは、「一帯一路」でした。
このコラムでも、3月10日に「中国の新たなキーワード」の中で扱ったのが「一帯一路」でした。
これは、中国から欧州までを経済的に結びつける海と陸のシルクロード構想のことで、この「一帯一路」とAIIBを軸に、経済支援を強化し、途上国を束ねていきたいとの姿勢を鮮明にしました。
途上国からは歓迎する声が聞かれたこの「一帯一路」とAIIB。
米国の指導力が低下し、日本がオロオロしている間に、中国は着実に力をつけてきているようです。
ちなみに、主催国・インドネシアのジョコ大統領が持ち出したのは、「南南協力」ということば。
これは、新興国や途上国が政治や経済の分野で支援しあうことを指し、多くの国が南半球にあることから、「南南」と呼ばれます。
この「南南協力」は、60年前の創設時期、東西いずれの国にも属さない第三極が団結するのに際して出された標語でした。
インドネシアのジョコ大統領は、そんな古い時代の標語を持ち出したわけですが、いま、この時代も、「第三極」が台頭してきていることを踏まえると、古くて新しいことばなのかもしれません。