やどかり占い師は有罪 | 真実は人を幸福にするか?

真実は人を幸福にするか?

桑田義雄が、うかんだり、もぐったりするブログ

人は苦境におちいると判断能力を失う。
これは災害時にそうなるのと同じ状態だ。

この場合、手取り足取り、行く先を指示してくれる人物がいたら幸いである。
何も考えずに済む。
「思考停止状態」でいられる。

人が霊能者や宗教に頼るのも、同じ原理である。
霊能者と宗教団体の差は、個人か団体かに過ぎず、ゆっくりと、あるいは静かに金品をむしりとり、やがてその人格をおびやかす。

彼ら「カルト」の特徴は、表面的には「ふつうの人」であるが、一歩、踏み込むと豹変する所である。
だから、最初は、安心して友好関係を形成できるが、深く踏み込むにつれて、彼らの術中にはまって行く。

地球は、中心部(コア)に近づけば近づくほど、熱くなる。
表面は楽園でも、内奥は地獄なのだ。

オーム真理教問題で、我々はこの事を学んだはずだ。
だが、のど元過ぎれば、熱さを忘れてしまう。


以下の判例は、世間の人々にとって、関心があるはずだ。
判例は法律に準ずるものであり、法律に存在しない事は、判例に基づいて判決が下される事が多い。

例の「やどかり占い師」の事件も、この判例に従えば有罪となるだろう。



『宗教団体の責任を考える上での主な裁判例』より転載
http://homepage1.nifty.com/kito/syuukyou.hanrei.frame.htm



妻が夫婦関係の不和などによる心労のために精神状態が不安定になり異常な行動を取るようになった。そこで夫(原告)は知人の紹介で「黄金神社」を訪問して救いを求めた。黄金神社の代表者(被告)は夫に対し、「妻の異常は種々の因縁によるものであり、これを取り除かないと取り返しのつかない結果になる」と信じ込ませ、妻を正常に戻すためには、妻の精神状態の回復を願う祈祷や夫の愛人の除霊などを行う必要があると説いた。夫は極度の不安に陥り、短期間に祈祷料の名目で1038万5000円の現金と金塊を支払った。
 神戸地裁が次のように判決して、「黄金神社」の主宰である個人の不法行為を認めている。

 「宗教者が祈祷その他の宗教的行為に付随して祈祷料その他の献金を勧誘する行為についても、原則として、憲法上の信教の自由の保障が及ぶので、当該宗教の教義が合理的であるかどうか、あるいは、当該宗教的行為の成果が客観的に証明できるものであるかどうかなどの基準に衣拠し、合理性ないし客観性が認められないとの一事をもって当該勧誘行為の違法性を判断するのは相当ではない。しかしながら、献金を勧誘する行為が相手方の窮迫、軽率等に乗じ、ことさらその不安、恐怖心等をあおるなど不相当な方法でなされ、その結果、相手方の正常な判断が妨げられた状態で著しく過大な献金がなされたと認められるような場合は、当該勧誘行為は、社会的に相当な範囲を逸脱した行為として不法行為に該当する」  「被告の行為は、原告が相応な資産を有していることに着目し、財産的利益を得る目的で(中略)追いつめられて平常心を失い混乱した原告の精神状態に乗じ、霊力、因縁等がもたらす災いの話を繰り返して説くことによって、ことさら原告の不安感をあおりたて、その災いを取り除くには被告の提示する諸費用を納めて、被告ないし被告の信奉する神の力に頼るほかはないと信じさせて、著しく高額な献金の承諾をさせ、これを収受したものと認められるから、その目的、方法、結果のいずれにおいても、社会的に相当なものとして是認できる範囲を逸脱しているというべきであ(る)