神奈川新聞の社説『朝鮮学校無償化、放置し続けていいのか』 | kyc-saitamaのブログ

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http://news.kanaloco.jp/editorial/article/1203130001/


本文

朝鮮学校無償化
2012年3月13日

放置し続けていいのか

 門出を祝う春、晴れやかな気持ちで巣立つことができなかった子どもたちがいる。神奈川朝鮮中高級学校(横浜市神奈川区)で、高校にあたる高級部の生徒が卒業を迎えた。高校無償化制度が始まって3年、一度も適用を受けることなく学びやを離れる。心に刻まれた疎外感は小さくないだろう。

 生徒たちにとって政治に翻弄(ほんろう)された3年間だった。

 制度開始は卒業生が1年生だった2009年。だが北朝鮮への制裁と関連づけられ、適用は見送られた。

 10年11月には北朝鮮の韓国砲撃を受け、当時の菅直人首相が審査手続きを凍結。退任直前の昨年8月、南北対話の再開を踏まえて手続き再開を指示した。続いて政権を担った野田佳彦首相は北朝鮮による拉致被害者家族会の意向を酌んで厳正な審査を命じ、その後、結論は出されていない。

 この間、朝鮮学校をめぐり、ないがしろにされてきた原則がある。

 まず、政治と教育は切り離して考えるべきものであること。

 この点については、松沢成文前知事が補助金支出を決めた際、拉致被害者家族の横田滋さんも「通っているのは歴史的な背景があって日本に永住した在日の子孫。北朝鮮と結びつける必要はない」とはっきり口にしている。

 行政が教育内容に立ち入るべきではない、という点も同様だ。補助金支出をめぐり、自治体が朝鮮学校の教科書の記述を問題視する動きが広がっているが、私立学校法に抵触しかねない問題をはらんでいる。

 そして、民族差別であるという認識の希薄さだ。国連子どもの権利委員会では制度除外が差別を助長するとして再三、是正が勧告されている。

 外交や内政での失点や至らなさを覆い隠すための政治利用、あるいは誰かの権利を認めてしまうと自分が損をしてしまうかのような感覚。子どもたちの訴えが放置され続けた背景には、日本社会の行き詰まりがあるといえるのではなかろうか。

 東日本大震災も追い打ちをかけた。仙台市の東北朝鮮初中級学校では、震災直後に県の補助金支給が停止されるというケースがあった。

 朝鮮学校を無償化制度から除外したまま放置しておくべきではない。この問題は、ともに未来を築いていく隣人を、われわれの社会がどう見ているかという問いも投げ掛けている。