セレネースとトロペロンのアンプル | kyupinの日記 気が向けば更新

セレネースとトロペロンのアンプル

抗精神病薬の注射剤では、持続性抗精神病薬以外は、セレネース、トロペロン、コントミン、レボトミンを置いている。この4剤の使用頻度では、レボトミンが最も低い。セレネースとトロペロンは共にブチロフェノン系のカテゴリーに入る薬物だが、セレネースのアンプルが5mgなのに比べ、トロペロンは4mgである。力価的には、トロペロンが少し高いため(1:1.3)、この2つのアンプルはほぼ同程度の効果のように作られていると言える。カテゴリーも構造式も似ているの、どちらか1つで良いじゃんと思うかもしれないが、トロペロンがないと、それはちょっと困る。なぜなら、うちの病院(というか、僕の処方なのだが)では、静注または筋注する頻度は、セレネースよりトロペロンの方がやや多いくらいだからだ。

量的には、1日量では0.5~6Aくらいだが、さすがに6Aは滅多にない。(僕は1日量としては、やはり3Aまでが多い) トロペロンは僕が26歳になるまでほとんど使ったことがなかった。ある病院で仕事をしていた時に、セレネース5Aしても全然良くならないので、部長にどうしたら良いか聞いたことがあった。トロペロンを4Aしてみたら? と言われた。結果だけど、トロペロンが全然良かった。同じように見えても違うのである。それ以降、選択肢としてトロペロン静注または筋注はわりとするようになった。副作用については、セレネースとあまり変わらない。欠点はトロペロンはセレネースより1Aの量(ml数)が多いのだ。アンプル数次第では筋注しにくい。あと薬価が意外に高いこと。トロペロンの錠剤もそうだけど、随分前からある古い薬なのになぜか薬価が高い。

去年ぐらいに病院内でトロペロンが不足して、しかも卸にも在庫がないことがあった。こういった場合、他の病院から融通してもらうことがある。しかし、トロペロン(アンプル)自体を置いてない病院があるんだな。そんなことを初めて知った。ちょっと驚きだった。僕は幻覚妄想などの陽性症状に対しトロペロンを3Aして、なおかつ全然改善する気配が無い時、これはかなり手ごわいと感じる。そんな人なんて、あまりないだろうと思うかもしれないが、それが案外そんな事態に遭遇するのだ。まぁ、非定型抗精神病薬で一発で片付く人は、それはそれですごく幸せなことだったり。なぜかというと副作用で悩むことが旧来の薬より少ないから。