中国で、『西遊記』実写版のスタンダードといえば、1986年から放送された六小齢童が孫悟空を演じたものだ。

これは、現在でも毎年再放送されており、中国人は老若男女、みんな見ている。

 

数年前には、大学入試の統一試験(高考という)で、このドラマの始まりのテーマ曲に関する問題が出されたことがある。

それがとっても話題だったのだけれど、「その曲を知らない生徒がいたらどうするんだ」というような声は全然聞かれなかった。

全員見ているのは当然という前提。それを、出題する国が認めているというすごい番組なのだ。

 

 

このスタンダードがあって、その後作られる「西遊記」の映画やドラマは、どのくらいそこから違うのか、面白いのか、迫力があるのかというのを競っている。

 

そう考えると、今回の『西游记女儿国』は、ちょっとすごいのではないかと思う。

『西遊記』がこんなにみずみずしく仕上がるのか、という驚き。

最近は行き詰まっているSFX使ったアクションの迫力を追求しているわけでなく、笑わせる方向でもなく、おどろおどろしい妖怪や建物、背景のデザインを競うでもない。

 

じゃあ、何かって・・・ 微妙に三蔵法師に思いを寄せるラブストーリーチックになっている。笑。

といっても、お経を求めて旅する三蔵法師が恋に落ちることはないのだが、サイドストーリーも恋物語が語られるし、ちょっと今までないかんじではないか。

風景も、雲南のあたりの少数民族の村をイメージしたようで、砂漠じゃないのだ。

(個人的に、以前、雲南省に少数民族の村巡りの旅をしたことがあって、その時見た水族の村などによく似てると思ったのですが。)

 

 

というわけで、ストーリー展開が面白いとかではなく、今までの『西遊記』との違いを楽めたらいいんじゃないかな。また、今までとの違いが分からなくても、楽しめる話しになってます。

まあ、春節の映画としては『西遊記』が鉄板ですね。

 

 

あらすじ

 

孫悟空(郭富城;アーロン・クオック)と三蔵法師(馮绍峰;フェン・シャオフン)、猪八戒(小沈阳;シャオ・シェンヤン)、沙悟浄(罗仲谦;ロウ・チュン ヒム)が船で河を渡っていると、妖怪(なのか?)忘川河神(林志玲;リン・チーリン)が、巨大な魚に変身して彼らを襲ってくる。

逃げているうちに、彼らはどこか知らない場所へと迷い込んでしまう。

 

 

そこは、女しかいない国、”女児国” だった。

国王(赵丽颖;チャオ・リーイン)は、初めて見た男性=三蔵法師に胸がざわめく。(←冯绍峰の三蔵法師はイケメンだからなあ。笑)

 

 

 

左、赵丽颖;チャオ・リーイン。目が大きいアニメ顔。かわいらしい顔して、実は、アクションもすごいんです。

右、冯绍峰;フェン・シャオフンの三蔵法師。

 

しかし、国王の部下の国师(梁咏琪;Gigi Leung ←歌手としても人気)は、男を捕らえて殺さないといけないと言う。昔から伝わる書に、そう書いてあると。しかし、肝心のところはちぎれていて分からないのだが・・・。

国王(というより、女王だけどね)は、そんな必要あるのかと思いながらも国師の意見に従って、三蔵法師や孫悟空たちを捕まえて牢屋に入れてしまう。

 

しかし、そんな牢屋はものともしない三蔵法師と孫悟空、猪八戒、沙悟浄は、簡単に脱獄して逃げ出そうとするのだが、ある所まで行くとバリアが張られているみたいに、外へ出ることができない。仕方なく牢屋へ一度戻った一行は、国王たちに出口の場所を聞こうとする。しかし、出口なんて誰も知らない。

 

とりあえず牢屋に入っているのはまずいと、一行が逃げた先は、サソリが2匹いる水辺。そこに、ちぎれていた書の切れ端が落ちていた。それに何かヒントがあると思い、拾おうとするのだが、この切れ端が意思を持っているかのように逃げまくり、サソリも参戦してきて大変な騒ぎに。

 

 

 

なんとか切れ端を捕まえたが、その直後、三蔵法師と猪八戒、沙悟浄が妊娠してしまう。笑。騒動のさなか、3人は川の水を飲んでしまったのが原因だった。河は、「子母河」といい、男がいない女児国では、この水を飲んで妊娠して子供を産んでいるのであった。

 

孫悟空は、堕胎薬である落胎泉の水を取りに行く。

またここでも、すぐに水は分けてもらえず、こちょこちょ戦ったりするのですが、水を手に入れ3人に飲ませて事なきを得る。

 

しかし、結局、三蔵法師は捕らえられてしまい、1人で船に乗せられて海に流されてしまう。その海は、1度入ったら出られないというのだが、三蔵法師にすっかり心を寄せている国王は、船に一緒に飛び乗ってしまい、2人は船で海を漂うことになる。

食べ物も水もなく、嵐にあい、死にそうになる2人。

しかし、偶然に大きな門を見つけ、そこが「出口」だと分かる。

 

 

一方、国王のいなくなった女児国は、その存在自体がなくなりそうになってしまう。だから、三蔵法師は国王を連れて一旦城へと戻るのだが、そこに、冒頭に出てきた、この国に迷い込む原因となった忘川河神が現れて暴れまくり、人々を混乱に陥れる。

実は、忘川河神と国師の間には、せつない過去が隠されていた・・・。

 

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国師は女性で、忘川河神は男性という設定で、国師は女ばかりの国を守るために命を捧げ、2人は結ばれなかったということなんですが、その想いを忘れられない忘川河神が、女児国を襲ってくる、(←ネタバレ、言っちゃってるし・・・)

 

忘川河神を演じているのは、日本でも人気がある林志玲(リン・チーリン)さんで男性ではありません。なので、目に入るシーンが、女性同士のラブシーンみたいで、なんだかちょっとざわざわした。・・・。そこ、どうなんだろう。

 

そして、全て丸くおさまり、三蔵法師一行は女児国から抜け出し、天竺目指して旅を続けるのでした。

 

 

好みがあると思うが、私はアクションシーンが派手な、どうだー!!みたいなものより好きだな。来年の春節も期待しております。

ラストには、次は「火焔山」に行くと言っていたので、来年の春節は「火焔山」じゃないでしょうか。

 

 

 

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