台湾では、『娃娃返郷任务』。←内容とより合っているような。

 

 

2018年の3月時点では、日本では未公開のようだが、これはいい映画。観る価値あり!!

インドでは、2015年に公開され、その年の1、2位を争う大ヒット作だ。

同年には、アメリカ、フランス、スペイン、イギリスなど世界中の11の国でも公開されている。中国では、現在公開中。

 

 

主人公を演じるサルマン・カーン(ポスターの男性)は、インド映画の大スターだ。いつも肉体美を活かしたハードなアクションが多いのだが、この映画は暴力的な戦いは少ない。あっても、ストーリー上の整合性がある。むしろ、純で心優しい青年を演じていて、ちょっと胸キュンである。(サルマン・カーン、実際は52歳のおじさんだけど、若く見える。笑)

 

ストーリーの主軸は、6歳の女の子が母親とはぐれてしまい、主人公や周囲の善意ある人々の手助けで、両親の元に帰るというものである。

この女の子が、生まれつき口がきけなくて、それでまた大変なんだけれど、障害者だという部分にはあまり焦点が当たらず、この子の個性のように取り扱われているところに好感が持てた。

 

また、パキスタンとインドの政治的関係や、異なる宗教の習慣の違いなどをどう踏み越えていくのかという問題が、この映画の背景にある。だから、ただの人情に訴える感動物語では終わらない。深みのある映画である。

 

 

あらすじ

シャヒダ(Harshaali Malhotra)は、パキスタンの田舎で生まれた。母親がクリケットの試合をテレビ観戦している時に産気づいたので、シャヒダという名前は、クリケット選手の名前をもらって名付けられた。

6歳になっても言葉をしゃべれないシャヒダを心配した両親は、羊を売ってお金を作り、インドの有名な寺院で祈祷を受けるさせることにした。

 

 

 

無事に祈祷を受け電車で帰る途中、電車が故障のため止まってしまった。

夜になっても動かない車内で、乗客たちは寝入ってしまうが、シャヒダが車窓を覗くと、子やぎが穴にはまって動けなくなっているのが見えた。シャヒダは、1人で電車を降りて子やぎを助けた。が、その時、電車が動き始め、シャヒダは1人、何もない線路脇に取り残されてしまう。

 

どうするの? と思っていると、次の貨物列車が来て、シャヒダはそれに飛び乗るのだが、その貨物列車は国境で折り返し、インドへと戻ってしまう。

一方、シャヒダがいなことに気づいた母親は、半狂乱で車内を探しまわるが、電車はすでに国境を越えパキスタンへと入ってしまい、戻ることは無理だと言われてしまう。

 

貨物が止まり、シャヒダは見知らぬ土地に降り立つ。

そこには、猿みたいな姿の神様を祀る寺院があり、参拝者でごった返している。

 

ああ、シャヒダどうなるんだろう・・・と心配して観ていると、サルマン・カーンが登場。スターのオーラを爆発させて、いきなりボリウッドのダンスが始まる。笑。

圧巻。かっこいい。(この映画は音楽がとてもいい。サントラも売れたようです)

 

 

 

 

観客の心配なんのそので、ダンスシーンが終わると、シャヒダはパーワン(サルマン・カーン;Salman Khan)に水やパンを恵んでもらい、すっかり懐いてしまう。

パーワンは、警察署で迷子は預かれないと拒否され、しょうがないので一緒にバスでデリーの自分の家へと連れて帰る。

 

 

 

パーワンは武術が得意だが、大学には11回目で合格した。やっとの合格にびっくりした父親はショック死、パーワンは父親の友人の家に居候させてもらっており、その家の娘・ラスカ(Kareena Kapoor)とは、いい仲である。一応、家を買うお金を貯めたら結婚してもいいという了解も得ている。

 

 

 

シャヒダは口もきけず、勉強もしてないので字も書けず、しかし、人の言うことは理解できる。コミュニケーションはひたすら笑顔などの表情と身振りである。

ラスカ家では、シャヒダに”ムニ”という名前をつけて、家族のように優しくする。

 

そして、しだいにいろんなことが分かってくる。ラスカ一家はベジタリアンだが、シャヒダは肉を食べたがる。イスラム教のお寺へ入って行って、慣れた様子で祈ったり、そしてついに、シャヒダがパキスタン人だと分かるときがきた。

 

みんなでクリケットのインド対パキスタンの試合を観ていた時、パキスタンが勝ち、みんなはがっかりしているのに、シャヒダだけが飛び上がって喜び、テレビに映るパキスタンの国旗にキスをしたのだ。

シャヒダは子供だから、インドとパキスタンが敵対的関係であることを知らず、平気ではしゃげるのだった。

 

呆然とするパーワンと家族たち、特にラスカの父親は「パキスタン人は、私たちの同胞をたくさん殺した。こんな奴を置いておけるか!」と激怒。「パキスタン大使館に連れて行って、パキスタンへ追い返せ」と言うのだ。

 

パーワンはパキスタン大使館へ行くが、パスポートもビザもなく、名前も出身地も分からないなんて、どうしようもないと追い返されてしまう。

そこで、旅行社で相談すると、ニセのパスポートで送り届けようと言うのだが、シャヒダは危うく娼館へ売り飛ばされそうになり、間一髪でパーワンが助け出す。ここの戦いが、今回唯一の暴力的なシーンでしょうか。とにかく、強い。

 

 

 

 

仕方ないので、パーワンは自らシャヒダを連れて、パキスタンへ行くことにする。

しかし、パーワンもパスポートがない。結局、密出国させる業者の手を借りて、国境(砂漠)の柵をトンネルで越えていく。

 

パキスタンに入ってからは、”インドのスパイが来た”、とパキスタン警察に追われることになる。

しかし、知り合う人たちは、インドから危険をおかしてパキスタンへ女の子を送ってきたパーワンに驚き、親切に警察から隠して逃がしてくれる。

 

そのうち、1人の記者(Nawazuddin Siddiqui)と出会い、彼が2人と同行しながらネットでニュースとして流し始めた。

警察はとにかくパーワンを追ってくる。シャヒダが指差した山の風景の写真から推測するに、彼女の家はカシミール地方じゃないかというので、バスに乗って向う途中、ついに警察の検問にひっかかってしまう。

 

 

パーワンは、シャヒダを記者にたくすと、自分から飛び出し、おとりとなって2人を逃がす。家はすぐそこにあり、シャヒダは無事に両親の元に帰ることができた。驚き、号泣する母親。

 

しかし、自分を犠牲にし捕まったパーワンは、スパイだと認めろと拷問を受けるのだ。

記者が流したパーワンとシャヒダのニュースは爆発的に視聴者が増え、パキスタンでもインドでもみながパーワンを心配するが、警察はあくまでスパイと決めつけ釈放することはない。拷問を指揮している警察の長官も、パーワンはスパイではないと気づいた・・・。

 

そこで、長官は一計を案じる。それは、みんなに協力を呼びかけ、パーワンをインドへ逃がす計画なのだが・・・。

 

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これが、163分(!)の長編です。

でも、全然そんなに長く感じない。

でも、あらすじは長くなってしまいました。やっぱり。

 

この映画は、人の善性を信じているから感動する。

シャヒダを娼館に売ろうとする旅行代理店の男性や、スパイ容疑で拷問しろという警察の偉い人がいるが、後はみんな親切で、2人に協力的な人ばかりである。

ほっこりしたり、涙したり、文字にしちゃうと本当に俗っぽくなってしまうのだが、人情の温かさっていいなあと思ってしまうのである。

 

それは、インドとパキスタンという両国の関係を越えている。そこも、考えさせられるところである。

 

はあ、現代の日本では、絶対に作られないタイプの映画だなあと思うのである。

インド映画って、やっぱり底力あるなあ。

もっと観たいですね。

 

 

 

 

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