中国にも、母の日がある。
西洋や日本の文化が入って来たものなのだが、すっかり定着している。
この映画は、今年の母の日に合わせて公開されたものだ。
期待していなかったが、おもしろかった。
この後に書く予定の『幕后玩家』(人気俳優の徐峥が主演と監督を務める)より、よほどよかった。
話しが、分かりやすい。
「お母さん、ありがとう。いつまでも元気でいて」というストレートな物語だ。笑。
母の日に見るには、ぴったりの安定感。
あらすじ
赵小艺;チャオ・シャオイ(邹元清;ゾウ・ユエンチン)は。高校3年生。母親の秦美丽;チン・メイリイ(闫妮;ヤン・ニー)と2人暮らしだ。
両親は10年前に離婚し、母親はレストランのウェイトレスをして小艺を育ててくれている。
小艺は、母親の干渉がうっとうしくて、早く家を出たいと思っている。
母親役の闫妮;ヤン・ニー(左)が、若くて美人で魅力的な母親を好演。
娘役の邹元清;ゾウ・ユエンチン(右)は、子供っぽくボーイッシュに作っているが、普通に化粧をすると美人なのです!
若々しくて美人の母親・美丽はモテる。高校の教師(吴大维;デイビット・ウー)と公安の副局長である林有徳;リン・ヨウダ(吴若甫;ウー・ルオフ)の2人が、何かと下心丸出しで助けてくれる。
左、公安副局長役の吴若甫;ウー・ルオフ。右が教師役の吴大维;デイビット・ウー
小艺が校舎の影でタバコを吸っていると、たまたまスケートボードしていた同級生に一目惚れしてしまう。彼は、いい家のお坊ちゃんでイケメン、芸術大学の演技科(俳優への道)を受けるという。それに刺激を受けた小艺も、演劇科を受験すると言い始める。
実は、母親も若い頃、女優になりたくて演劇科に行っていたのだ。しかし、結局女優にはなれず、今に至っている。厳しい道であることを知っているので、最初は大反対するが、小艺の決心は固く、応援することにする。自分が通っているジムのコーチに色目を使って(?)スタジオを無料で借り、ダンスなどをレッスンするようになる。
試験では、親子団らんのシーンを即興で演じるようにと言われるが、小艺はまったく違うお芝居をする。そして、うちは両親が離婚して一般の家庭のような団らんはなかったけど・・・というエピソードを話し、その実感のこもったところが認められ、めでたく大学に合格する。
離れた街の大学の寮に入り、やっと愛情過多でうっとうしい母親と離れて楽しく大学生活を送る小艺だが、母親は家に1人残され、抜け殻のようになってしまう。ご飯はカップラーメン、ソファでそのまま寝るし・・・。
給料のことでもめた母親は、レストランの仕事を辞め小艺の街に引っ越してくる。掃除婦の仕事を見つけ、小艺の近くにやって来て、生き返る母親だが、同僚に騙され詐欺にあってしまう。レストランを開くつもりで買った所が、実は取り壊し予定の建物だったのだ。
一方、小艺は、教授の宋重光;ソン・ジョングアン(耿乐 ;ガン・ラ)に才能を認められ映画の主演に抜擢されるが、それを妬んだ寮の同室の同級生に、小艺は宋教授の子を妊娠していると噂を立てられてしまう・・・。
そして、祖父が脳卒中で急死し、母親も重なる心労で倒れてしまい、小艺は十年間会っていない父親に助けを求めようとネットで検索すると、画家だった父親の絵は1枚48万元という大金で取り引きされていた。しかし、母親は父親に助けを求めるのは大反対、実はそこには小艺の知らない事実があった・・・。
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この映画中の母と娘の関係は、どこか友達同士のような軽やかさがある。
現代の中国ってこんなかんじなんだろうか? それとも、こういうのがいいなあというあこがれの関係なのだろうか?
それが見ていて、非常に軽やかでよかったと思うのは、私だけだろうか。
原作は、短編小説だという。きっと、重くなりがちな母子家庭の母と娘の関係を、客観的な視点でおかしみをもって書かれたエッセイみたいなものなんじゃないかと想像する。←あくまで勝手な想像です。
深刻に涙を流したりしないが、(どちらかというとコメディ)、親子の機微はよく描かれていて、母親にも娘にも感情移入しやすい。
母の日にわざわざ母と娘のドラマを見にいくのだから、その期待にちゃんと応えている。
もちろん、母の日以外に見てもいいはず。最近の、ハリウッドのSFやファンタジーやアクションとは違って、こういう普通のドラマももっと見たいと思わせてくれる。
いろんな年代の人に好かれる映画だと思う。
*写真は、百度からお借りしています。
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