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この映画をみたきっかけは、木村大作監督の講演会に参加したことによる。
自分は自分の考えた通りにやっている。
映画がつくりたいから監督をやっている。
木村監督は堂々とそう宣言していた。
歯に衣着せない発言と、そのまっすぐな個性的なキャラクターに魅了され、この人が撮った映画をみてみたいと思ったのだ。
黒澤明の撮影助手を長年務め、「名キャメラマン」として名高い監督の作品だけあって、いい画が多い。とくに機微を感じさせる表情をとるのはさすがに上手い。役者もよい。
山の映像もさすが。山登りに興味のない僕ですら、あそこへ行ってみたいと思わせる映像の力がある。
不満点がないわけでもない。とくにストーリー、脚本については、ツッコミどころがたくさんあった。
監督のいいたいことを代弁させてるのだろうけど、どの人も悟ったような「良いセリフ」を言う。主人公を教え導く存在である“ゴロさん”が言うならわかるのだけど、みんながみんな「決まったぜ!」というようなセリフを言うのだ。
後半、蒼井優が、舞台となる山小屋にこだわる理由を独白するのだが、僕には、さほどそれが大きな理由に思えなかった。
悲しい過去と、愚かな行為がそこで明かされるだけれど、一昔前ならスキャンダラスなことでも、今のご時勢「よくある話」になってしまっているからだろう。
最終的には主役とヒロインが結ばれる雰囲気になるのだが(ここらへんボカシて書いているのは、映画の中の表現も、なんかこうぼやっとしているのだ)、この二人に、ひかれあう理由がみあたらない。
「同じ目標をもった年頃の二人がそばにいたら、くっつくよねー」という理由しかない。
それは一般社会でよくあることでも、2時間の物語では、二人の距離の近付きをきちんと描かないと説得力がない。
音の使い方も気になった。音楽時代は良くも悪くも「昭和の映画」の劇半で、映画を盛り上げはするのだが、「晴れたシーンは明るい曲」「嵐のシーンは劇的に」と、ステレオタイプすぎて表現が陳腐に感じた。お手本どおりといえばお手本どおりなのだろうが。
などと、くどくど書いても、結局、これはそういう部分に四の五のいう映画じゃないのだ。
木村大作監督が自分の撮りたいものを撮った。そういう映画だ。
そういう意味で潔いし(それは男の格好良さにも通じる)、最近のCMやPV出身監督のように、ひとりよがりにもなっていない。
山好きで、木村大作を良く知っている世代に人たちにはきっと楽しめる。
そのターゲットからはずれてる僕でも、2時間は十分楽しかった。
(それでも最後のシーンは見てて恥ずかしかったです)
こういう“王道”の邦画も必要なのかもしれない。
映画『春を背負って』公式サイト
この展覧会に行くきっかけはツイッターだった。
作者のニコラ ビュフが子供の頃に宇宙刑事ギャバンが好きで、そのオマージュをうけたコンバットスーツの作品が展示されているからだ。その写真がツイッターで流れてきて、絶対これは現物を見なければ!と決めたのだ。
作品のタッチも僕が好きな、絵本系ファンタジー風(語彙少ないな俺)だったこともある。
会場は原美術館なのだが、ここに辿り着くまでがすでに冒険。
品川駅から徒歩15分のはずが、炎天下の中迷いに迷った。
グーグルマップ使ったのに!
マリオットホテルの裏の庭園を2周回くらいして、やっと着いたと思ったら裏門だしね。
品川というハイソな雰囲気に、途中何回か「行くのやめよう」と断念しかけた(心弱すぎ)。
でも、やっぱりヨーロッパ風ギャバンがみたかったのだ。
さて、今回の「ポリフィーロの夢」は、入口からしてオオカミの口から入って、お客さんを「ポリフィーロの夢」の世界に入れてしまう。美術館自体をテーマパークにし、作品の中に客を入れてしまうことで感情移入させる。
そして映像ゲームに参加させたり、「夢の中にいるんですよ」と明示する仕掛けを使ったり、インタラクティブ性に富んでいて、作品の見せ方が非常に上手い。
美術館の常設作品を自然と目に入るような配置にしてるのはやっぱり意図してるんだろうか。
親切なのは、受付で作品解説と順路の紙を渡してくれること。作品解説を作家自身がしていて、「こういう意図があります」ということを説明している。この作家自身の解説は、最近DVDについてる「監督によるコメンタリー副音声」みたいなものだろうか。
作品は作品自体で語るべき、なのかもしれないが、作家の意図をわかった上で作品を見ると、発見するものは多い。
今回の作品の根本は「ちょっとかわいい絵本の挿絵」だけれど、それを物語にのせて、テーマパークのようにみせることで客の心をつかむことに成功している。
もちろん、それは僕自身が、作者同様ギャバン好きだし、他にもオマージュ元にしている『ゼルダの伝説』などのゲームのファンタジー世界に馴染みがある、というのが世界にすんなり入れた大きな要因なのだろう。
ただ、受付カウンターに『ゼルダの伝説』のパッケージ(それも今回とイラストのタッチが近い「風のタクト」)とギャバンの人形があったのが、知らない人にも元ネタがわかるように、というアイディアだとしたら、お客目線を忘れない、その商売上手っぷりがあなどれない。
僕は現代アートの展覧会を見ると、いつもこの「お客様目線」の足りなさにもやもやしてしまい「もっと楽しめるような展示にしろよー」と思ってしまうので、今回の展示には感銘を受けた。
この個展を見た人は、きっと「自分でも絵を描いてみたい」とか「あの作品の素材はなんなんだろう」とか、それぞれ、来たときよりも、芸術に興味をもって帰っていくはずだ。かくいう僕も、絵をきちんと描きたいなと思っている。
それが「作品を見る審美眼」を育てるきっかけになるし、そういう展示をすることで、アートの世界の裾野が広がるんじゃないかと、僕は思うのだ。
作品はフランスのエスプリを感じさせつつも、どこか日本のキャラクターのような愛らしさをもったものばかりなので、ガーリー系な彼女には素敵なデートスポットです。あるいは美術短大の子。点数あがります。
もちろん興味があるなら、スーツ姿の中年リーマンが一人で行っても良い(っていうか俺がそうだった)。
6/29(日)までは開催されているので、現代アートをやっていて、もっとお客さんに作品をみてほしい!と思っている人は訪れてみるべきだろう。
作品自体を変えなくても、見せ方で人の心をひきつけることができるという好例。
原美術館ホームページ