誕生日に、女友達に買ってもらったベートーヴェンの弦楽四重奏全集を、一通り聴き終わりました。

ざっと聴いただけなので、突っ込んだことには言及できないのですが、今の時点での感想を少し。

前期の弦楽四重奏曲、第1番から第6番まで。
音楽解説的には、ベートーヴェンがハイドンやモーツァルトの影響下にあり、その独自性を発揮するまでには、後の作品まで待たねばならないという。
しかし、それだけではない何かがあります。
ハイドンともモーツァルトとも違う、そして中期、後期のベートーヴェンの作風とはまた違った趣が。
なんといったらいいでしょうか?
後のベートーヴェンとはまた違った質のユーモアというものでしょうか。
同じような印象を、交響曲第1番からも感じます。

中期。
やはり、充実しています
特に、第7番、ラズモフスキー第1番の伸びやかな主題が印象に残ります。
このような旋律は、他には交響曲第3番、チェロソナタ第3番などとも通じると感じました。

後期。
私は、作曲家については、晩年好みなので、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲については、もっぱらこの時期の作品群を聴いてきました。
特に第14番をよく聴きます。
この曲は、弦楽合奏に編曲されていて、私はバーンスタインとウィーンフィルの演奏をよく聴いていました。
弦楽合奏ということで、親しみやすかったので、私もこの曲になじんできました。
今回オリジナルの弦楽四重奏版を改めてじっくりと聴いてみて、やはりオリジナルの方が、響きも表現も凝縮していると感じました。
弦楽合奏版は、たとえて言えば、濃くて苦い飲み物も薄めれば口当たりがよくなるといったことでしょうか。
やはり、オリジナルの方が数等良いのは当然でしょう。
でも、弦楽合奏版の冒頭、雲の間から陽光がさして、といった雰囲気は、オリジナルとはまた違った良さがあります。

なんにせよ、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲は奥が深いと感じました。
今の心境では、たとえば無人島に一組のCDを持って行くならば、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲全集だなと思いました。

これから、じっくりとこの曲集と付き合って行きたいと思います。