浦島太郎になれなかった。 |  Let's Go! Forward!

 Let's Go! Forward!

   養子縁組した一姫二太郎の毎日

 

GW中に遊びに行った近所の公園には、

子供たちが遊べる水場があります。

小川と呼ぶには至らないけれど少しだけチョロチョロと水が流れています。

こうして人工的であっても少しでも自然っぽい(!?)状態にしてくれていることは

親としてはありがたい限り。

 

この日も子供たちは当然の如くその小川に遊びに行きました。

 

流れているとは言えど、ドロドロに汚い水。

そして臭い。。。

 

そんなことはお構いなしに大勢の子供たちが遊んでいました。

 

こんなこともあろうかと、ハハは2人の着替えを持参していました。

近所ではあるものの、これだけクサい水に落ちてはそのまま帰宅するのは少しシンドイ。

そして水は足首の高さもないチョロチョロ小川。溺れる心配なんて皆無。

怪我と臭くなることだけを覚悟していたハハは、

「ドンドン遊びなさーい!」っと見守っていました。

 

しばらくすると、大勢の子供たちが一箇所に集まっていました。

何かを見つけたらしい。

 

え?この水場には生き物なんて生息できる状態ではありませんよ。

当然おジョーとおボンも気になってその集団へ駆け寄ると、

何と小さなカメを1人の男の子が持っていました。

そして次から次へと子供たちが触り、いじくりまわしています。

 

「そのカメ、この水の中にいたの?」

ハハがその男の子に尋ねると、得意そうな顔でその子はうなづきました。

 

見るとミドリカメです。

ペットショップで売られている小さなカメが大きくなり、

水槽では大きくなりすぎ、飼い切れなくなったサイズでした。

ちょうどこのサイズの頃に家庭で面倒が見られなくなり捨てられるのです。

 

あーーあ。

こんな汚い子供が遊ぶ水場に捨てられたカメ。

脱皮したてなのか、それとも捨てられたばかりなのか、

甲羅は比較的まだきれいな状態でした。

 

次から次へと子供たちが押し寄せ「カメだ!カメだ!」といじくりまくりです。

 

「可哀相だから水の中に戻してあげて。」とハハが言うと、

男の子は高さ数センチもない水たまりのような小川にそのカメを投げ入れました。

そして次の男の子が再びそのカメを手に取り触りはじめます。

 

その様子を見ていたおジョーが小さな声でこう言い始めました。

 

「かわいそう。ママ、あのカメ可哀相だよ。連れて帰ってあげよう。」

 

 

あぁぁぁ、そうなるよね。

わが家は犬も猫もみーんなレスキューした子ばかりだからね。

そして同じミドリカメもすでにレスキューした子を含めて2匹いるんだけどな。

 

ハハはすぐに色々なことを考え始めました。

今いる2匹のカメとは一緒にできないであろう。

すでに外にいるメダカはただ今産卵期で水槽が2つ3つと増えていて大所帯だ。

室内には犬も猫も鳥も金魚もいる。

このカメをどこに置こうか。

そしてこの子はこの先30年近く一緒に過ごすことになる。

 

「この場所で広々と過ごした方が幸せかもしれないよ。」

そんな風にハハはおジョーに言ってみたけれど

果たして子供が遊ぶこの水場で本当に幸せだろうかという疑問も同時に湧き出てくる。

 

「ママ、可哀相すぎるよ。ここは幸せになれない。ご飯だってここじゃ食べられないよ。」

おジョーはすでに涙目になってハハに訴えてきました。

 

うーーん。

子供がこんな風に言ってきたときに、

「汚いから」とか「うちでは無理!」っと無下に言い放つのは良くありません。

子供の優しい気持ちを尊重しつつ、親としての対応を考えねばならぬのです。

 

でもハハもバァバも同じ可哀相だと言いながら犬や猫を連れて来てるんだよね。

おジョーもそういう気持ちになって当然だ。

そういう風に育てたのだから。。

 

次の男の子がそのカメを触ろうとしているその時に、

「そのカメ連れて帰るからちょうだいね。」と言っておジョーに持たせました。

 

「うちに来た方が幸せだったって絶対に思わせる!」 

そんなことを言いながら家路を急ぐおジョー。

{5A54B4E2-48C2-48AD-9D8E-D2F6D9B07441}


帰宅後、バァバが合流してすぐにカメのお部屋を準備しました。

 

とりあえず大きめの衣装ケースに水をはって煉瓦と石を積み

甲羅干しが出来る場所と泳ぐスペースを確保しました。

そして適度な日当たりと日陰になる場所に置き、

乾燥エビなどの高タンパクなエサを入れて様子を見ることに。

 

環境が変わったことへのストレスなのか、まったく動きません。

手も頭もひっこめたまま水の中に浸かっていました。

仕方がない。

いつ捨てられたのかわからないけれど、これだけ環境の変化があるんだから、

まだ頭なんて出せないだろう。

そんなことを子供たちに説明し数日はそうっとしておいてあげるようにしました。

 

毎日様子だけは見ていたものの、触らぬようにしていたカメ。

すると2日後、亀の飼育はプロレベルのバァバが異変に気付きカメを水から出すと、

なんとカメは亡くなっていました。

 

 

ショックのあまり言葉が出てこないおジョー。

 

 

「うちに来て幸せだったと絶対に思わせるんだ!」

わずか二日でおジョーの願いは叶わぬものとなってしまいました。

 

どうした方が良かったんだろう。

やっぱりあの小川に残しておいた方が幸せだったのだろうか。

さんざん子供たちにいじくられていてあの時既に水から離れていた時間が長かったカメは

きっと脱水状態にも陥っていただろう。

近所とは言えど我が家に連れて帰る際に水に入れてくれば良かった。

一度は病院へ連れて行くべきだったのかな。

 

弱い生き物の命はこんなにも無惨に人の手によって終えることがあるのです。

 

「可哀相だったね。ごめんね、カメさん。。」

 

翌日、庭の隅にカメを埋めてあげました。

 

 

 

別の公園の大きな池ではこうして家庭から捨てられたミドリカメが大量に生息し、

そして繁殖を続けています。

近所でも有名なこの池には飼いきれなくなった亀が次から次へと連れてて来られます。

外来種がこうして生態系を壊していくのも人間のシワザなんですよね。

 

 



浦島太郎にはなれなかったおジョー。

 

カメさん、助けられなくてごめんね。

 

RIP

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


にほんブログ村