宮廷の諍い女(原題:后宫 甄嬛传)


 


 

【story】

1722年、 9人の皇子たちによる皇位を巡る争い“九王奪嫡”の末、愛新覚羅・胤禛が康熙帝の後を継いだ。それは清の第5代皇帝・雍正帝の時代の幕開けと同時に、皇帝の寵愛を巡る側室たちの激しく哀しい諍いの始まりでもあった……。

皇后と華妃が勢力を二分する後宮に、甄嬛が側室として宮廷入りする。 そこは皇帝の寵愛を巡り、女の嫉妬と陰険な陰謀が渦巻いていた。華妃とその手下の側室が仕掛けてくる冷酷な罠を、甄嬛は智慧で乗り越える。しかしその諍いで心も疲れ切った甄嬛は宮廷を後にする。外の世界で待ち受けていたのは、皇帝の弟・果郡王との安らぎの時。しかし幸せな時間の中、甄嬛を不幸に陥れる真の敵の影が忍び寄っていた。


再び後宮に戻る甄嬛は、真の敵を倒すことができるのか?果たして果郡王との愛は貫けるのか?甄嬛の辛く哀しい人生の扉が、今、開かれる――


 

【キャスト】

甄嬛:スン・リー(孫儷)

沈眉荘:ラン・シー(斕曦)

安陵容:タオ・シンラン(陶昕然)

華妃:ジャン・シン(蒋欣)

皇后:エイダ・チョイ(蔡少芬)

雍正帝:チェン・ジェンビン(陳建斌)


 

監督 ジョン・シャオロン(鄭暁龍)

音楽 リュウ・ホァン(劉歓)

原作 リュウ・リエンズー(流瀲紫)


 

【みどころ】

2011年中国をはじめ台湾・香港で高視聴率をあげた【宮廷女官 若曦】。「これからの10年間に若曦を超える作品は作られないであろう」とまで言われたが、早くもその「若曦」を上回る作品が登場した!! それが【宮廷の諍い女】である。「若曦」は雍正帝が皇位に就くまでの皇子同士の争いにヒロインの若曦が巻き込まれる姿を描いたが、本作は雍正帝が皇位に就いた後に後宮入りする甄嬛の姿を描いた作品だ。


中国では放送が始まるやいなや、本作に魅了された視聴者がインターネット上で作品の話題で盛り上がり、瞬く間に「宮廷の諍い女」ファンが急増!そして再放送の度に視聴率がUPするという中国では前例のない現象を巻き起こし、「宮廷の諍い女」は“神劇”(神のようなドラマ)と称されるまでに至ったのである。


主演の甄嬛を演じるのはスン・リー。クレジットされているだけでも100名に及ぶ俳優のトップに立ちプレッシャーのかかる中で見事に主役を演じきった。雍正帝役にはチェン・ジェンビン。「三国志 Three Kingdoms」で曹操を演じ一躍実力派俳優としての地位を確立した彼が、スン・リー をサポートする。皇后には香港のエイダ・チョイが参加し、敵役を演じながらも女優の先輩として、スン・リーを見守った。また本作では多くの若手俳優が顔を揃える。特に華妃役のジャン・シン、沈眉荘のリュウ・シー、安陵容のタオ・シンラン、果郡王を演じたリー・トンシュエは本作品での好演が評価され、本作以降主役クラスの役でドラマ出演が続いている。(全76話・字幕)


 


 


 

宮廷の諍い女(原題:后宫 甄嬛传) は、清朝雍正帝時代における後宮の側室(妃嫔|后妃)たちを描くテレビドラマです。

側室のひとりである甄嬛(スン・リー)が主人公です。


 

いいドラマだったと思います。伏線も巧みで、無駄にすることなく全て繋がります。

無茶な展開もないし、確実に着々と話しが進んでいきます。

また漢詩もよく出てくるので、それがなんとも優雅で、この作品の品を高めている感じがします。

『宫锁心玉』では、小春が年羮堯にすり替わってしまうという無茶な設定に、さすがにこの私でも「それはどうよ???」とあまりの突拍子さに興醒め+ドン引きだったのですが、このドラマでは年羮堯はまずは辺境の反乱を制圧して皇上を喜ばせます。

 

 


 

夏冬春は華妃に、“一丈紅”という恐ろしい体罰を与えられ、身体に障害をきたした上に冷宮に幽閉。

名門出身なのにそれでいいのか?と思うけど、軍人の家系だから年羮堯の妹(華妃)や皇上には文句が言えなかったんだろうな…と思っている。

この夏冬春、オープニングとエンディングにも出てくるから、もっといっぱい出演シーンがあるのかと思ったら早々に出番がなくなってしまうのです。ちょっとびっくり。


 

 

 

 

 

華妃、嫌味な役どころなのに、なんか憎み切れない…ジャン・シン(蒋欣)ホント絶妙に演じていました。

亡くなった時は、この喪失感とこれから華妃の穴埋めはどうなってしまうんだろうか…と本気で心配になりましたわ。

 

華妃、夜泣きむしの温宜babyと夜中に格闘。

なかなか泣き止まないからbabyに薬を飲ませて曹貴人には恨まれるし、寝不足で肌荒れするわで割に合わないだろうと思うのだけど…。

そして苦労の末(皇上、同情して?)夜伽をゲットしたのに、雷のせいで皇上は甄嬛の所に行ってしまう…と踏んだり蹴ったりの華妃。

「甄嬛、殺したるー!」のセリフ、怖いのだけど、なんか笑ってしまうのは華妃のキャラクターでしょう。


 

 

 

 

流朱と淳貴人の死は悲しかったですね~。

この作品における清涼剤的な存在でしたから。

この二人が亡くなったときは甄嬛と一緒に泣きましたわワタクシ。

 

 

 

 


 

中盤、皇上にとって純元皇后の代わりにすぎないのだと絶望した甄嬛は、娘を産んだ後、皇上から出家の許しを受け甘露寺に出家します。

二度と後宮に戻ることはないと覚悟している甄嬛は果郡王の愛を受け入れます。

たびたびの困難を果郡王に救ってもらっている甄嬛にとって、それは自然の流れでしょう。

この甄嬛と果郡王との恋は、このドラマの山場の1つであり、胸キュンになる人は多いと思うのですが、実のところワタシはほとんど萌えませんでした。

なんかこう「どや!胸キュンするだろう!」的な意図が、ありありと感じてしまうんですよね…。

 

病気で高熱を発している甄嬛のために、果郡王は雪のなかで自らの体を冷やし、甄嬛の熱を冷ましてあげるシーンなんかも

果郡王の甄嬛に対する愛情の深さが現れているシーンだと思うし

とても絵になるシーンなんでしょうけど

「そんなことしたら服が湿っぽくなってしまうのでは?」

「服や布団が濡れて、よけいに身体によくないのでは」

「身体、動かすのって負担では?」などなど思ったりして

ワタシ、果郡王の気持ちにほとんど寄り添えなかったんですよね~

看病後、果郡王は風邪ひいちゃうし…(苦笑)。

 

甄嬛は果郡王が死亡したと思い、お腹の赤ちゃんと家族の為に後宮に戻る決意をします。

甄嬛の再入内が決定直後、果郡王が戻って来てしまうのですが

この時の果郡王のセリフでさえ「ジュンガル部の罠に掛かってもう少しで死ぬところだったが何とか生きて帰ってきたYO」とラップ風に脳内変換される始末だし…。

果郡王が甄嬛の代わりに毒杯を飲むシーンなんかも

「果郡王、あんた自分は満足かもしれないけど、あんたの邸の人間や関わりがある人達はどうなるんねん?」とか思ったりして、イマイチ悲しくも深刻にもなれなかったのよねワタクシ。

確かに甄嬛を想う果郡王のように想ってもらえたら、女性としてはこれ以上にないほど幸せなことなのですが。

 

果郡王の俳優さん、この方ちょっと頭の形が良くなくて、出てくるたびにそれが気になっちゃって…ワタシの果郡王に対する愛情は全く足りないようです。

 

 

 

 


 

甄嬛が出家している間、沈眉庄にご奉公していた小允子も、回宮した甄嬛のもとに戻ってきます。

5話では甄嬛がずっと病気のため、ほとんどの宮女と宦官が鞍替えしてしまうとき、小允子は自分が鞍替えしない理由をこう述べています。

「われら兄弟は常在さまに恩があるので、心をつくして仕えます。もし、今生で恩に報えなければ、死んだ後、大きな青牛になって、小主を菩薩にするため、小主を背負ってごいっしょいたします」

この小允子、気が利くし、いい仕事するんですよ~。小主である甄嬛にも忠実だし。

槿汐と小允子には主従萌えを堪能させてもらいました。


 

 

 

 

 

祺貴人によって自慢の喉をつぶされてしまった安陵容は、寵愛獲得作戦として一大スペクタクルを展開します。

安陵容は子供を産めない身体になることを覚悟のうえでダイエットに取り組み、大みそかのフィギュアスケート大会でスケーティングを披露して、皇帝の寵愛を再獲得します。

家柄の低い安陵容は、常に芸をもって寵愛を獲得する、彼女の涙ぐましい努力には頭が下がります。

 

 

 

 


 

祺貴人が、甄嬛が温実初と私通していると訴えるシーンがあるのですが

中国には「言ったもの勝ち」「やったもの勝ち」のようなところがあります。言説の理由付けがタイミングよくできさえすれば、誰かを簡単に失脚させることができるわけです。

他の諸外国にも同じようなことは山ほどありますが、中国は殊更にそれが顕著な気がします。

 

水に問題あると疑った甄嬛はとっさに機転をきかせて難を逃れ、結局は祺貴人と裏で糸をひいていた皇后の企みは失敗してしまいます。

祺貴人は冷宮に入れられ、これをきっかけに瓜爾佳氏と父親の鄂敏は、これまでの悪行が露呈し徹底的な粛清が行われます。

雍正帝は激怒し瓜爾佳氏一族を成人男性は一律斬首、14歳以下は西部へ流刑、女は使用人の身分に落とされることになります。

祺貴人は一族の名にかけて!と言っていたしね。ま~失敗するとは思っていなかったんだろうけど。

浅はかで図に乗りやすい祺貴人、そんなだから皇后に利用されちゃうのよね。祺貴人、最期は撲殺され、台車に乗せられ外に運ばれるのですが、撲殺されたわりには遺体がきれいすぎるんですよね~ちょっと笑っちゃうくらいに。こういうリアリティーゼロな演出、残念ですが嫌いじゃないです。

 

 

 


 

第66話で、甄嬛の妹の玉嬈は容貌が純元皇后に似ているため雍正帝に見初められるのですが「雍正帝、また純元皇后のコレクションですか???あんた純元皇后に似ている人間を何人コレクションすれば気がすむんじゃい!!」と、怒りと共にかなり引きましたワタクシ。だっていくら顔が似ているといっても所詮違う人間なんだし…、何人集めようと、心は満たされるわけじゃないのに。