こんにちはこんばんは。真嶋一歌です。

先日、たすいち「キズツクキカイ」および同時上演の「お湯で流して」全16ステージが無事に終了いたしました。

Twitterの方でも色々と書かせていただきましたが、ご来場の皆様、関係者の皆様、見守ってくださった皆様、本当にありがとうございました!
新型コロナウィルスによる不安定な情勢の中、最後まで公演を全うできたのは、日々感染症対策を徹底してくれたたすいち劇団員&スタッフさん&共演者の皆&ご来場くださったお客様のおかげです。関わった全員で作り上げた奇跡だと思っております。


ここから先は、公演についての振り返りをさせていただきます。
かなり個人的な感情に基づいて書いているため偏りのある内容になっているかと思いますがご容赦ください🙇‍♀️


私が出演した「キズツクキカイ」は再演で、初演は2014年に上演されました。
今回の2020年版は、私とたすいち劇団員の永渕沙弥ちゃん(通称サディ)だけが初演と同じメンバーで続投となりました。

それを知った時の最初の正直な感想は、

な、なぜだ!!!!!?🙄

でした(笑)

私は初演の2014年度版「キズツクキカイ」がめちゃくちゃ好きで、たすいち作品で自分が観たものの中で一番好き!ってくらいに思い入れがありましたので、オファーをいただいてすぐに出演を決めました。

初演メンバーとの再会を楽しみにしていた部分もあったので(オファーいただいた段階では出演者が全員出揃っていなかったので、自分以外にも何人かいるだろうと思っていた)稽古が始まってからはパラレルワールドの中を生きているような、妙な感覚の中にいました。

稽古の初期段階では感染症対策のためzoomを使用したリモートでの稽古から始まり、皆も作品の根幹や全貌を掴むのが難しかったと思われ、作品のひとつのゴールやポテンシャルが分かってしまっている自分は、本当はもっと面白い作品のはずなのに…とか、初演はこうしていたな…というせっかちな気持ちが頭の中にちょくちょくちらついてしまっていました。

とは言え、「初演はこうしていたからこうした方がいい」は、その役者さんの良さを潰してしまうと思ったので極力言わないようにしたかったし、そもそも飲み会もできないからそんな話もあんまりできないし、対面での稽古が始まってもシフト制にしていたこともあり、唯一の初演経験者であるサディと稽古場で会えたのはかなり後半になってからだったのでこれからどうしていったら良いかと共有する事も出来ず、でも、好きな作品の良さを引き出せないまま上演するのは嫌だし…と、やきもきしながら、新型コロナウィルスを憎む気持ちが日々募っていきました(笑)

私自身についても、役に新鮮味を失って、6年前の自分を自動的になぞってしまっているんじゃないか?これはちゃんと目の前の相手に反応できているのだろうか?とたびたび不安になっていました。

理桜子という役についてお話させていただくと、歴代演じさせてもらった役の中でもその後の人生がとても気になる役で、(※未見でこれから映像などをご覧になる予定の方はここから先ネタバレを含むので今すぐ画面を閉じてください!笑………閉じましたか??続けますね)本編観ていただいた方はわかると思うのですが、どちらかというと皆がハッピーエンドに向かって行くお話の中で、そうは見えないかもしれないけど明らかに幸せになれなかった存在だと思っています。

だから、エンディングで大団円を迎えたように思えるあのシーンで、弟たちがそれぞれ前に向かって進んでいく中、それを嬉しく思う気持ちは勿論ありつつも、創とれのあちゃんはちゃんとやっていけるかな…とか、単純に喜んでばかりもいられない気持ちでいました。

でも、単純でバカっぽいけど誰かの幸せを願って気丈に振る舞えるというのがアラサー女性としての強さと優しさを持つ理桜子の魅力だなあと思い、「姉ちゃんは強い」という唱の言葉通り、キズを受けてもそれを自らの決意で越えていける強さを持っているのがすごく、人として良いなあと思っていました。理桜子は本当にいいやつ…。
これだけ魅力的な存在だから、きちんと伝えたいという力みもあったかもしれませんが、再演で同じ役をいただくのは、嬉しい反面とても難しいなといつも思います。

2回もやらせてもらった今でも何が正解だったのか自信を持って言い切れないし自分の課題もたくさん見つかった公演だったけど、「初演の時より理桜子に寄り添っているように思えた」「初演との違いを感じた」という旨のご感想をいくつかいただけたのは少しほっとしました。



稽古が進み初日の幕が開いたとき、そこにあったのは再演と言うにはあまりにも違う、新しい「キズツクキカイ」でした。

言うなれば、2020年版は繊細に丁寧に紡がれた令和の「キズツクキカイ」に育ったなと思いました。
(2014年版は、珍獣たちの大暴れコンテストって感じでした🦍)

主演の東直輝くんの演技体がこの作品の味を一番変えてくれたと思いますし、初演とは全く違う方向性で「さえない主人公」が成立してて、初演・再演どちらかがどちらかの上位互換になることもなく新しい面白さが生まれたのは東くんの存在が大きかったと思います。お客様からもすごく共感を得て愛されていました!

楽屋でも色々コミニュケーション取ってくれて、座長としての頼り甲斐を感じて愛しかなかった。本当ありがとうね、もっと舞台で絡みたかった!!今後の楽しみにしときます!!東くんみたいな弟が欲しい人生でした。


そして、今回私の恋人・兵馬昂太役の多田直人さん。

もはや説明不要でしょうけど求心力のすごい役者さんで、彼が出てくるともうあとは任せた〜!って感じでとても安心できる存在でした。
私は初演も再演も、役柄のせいなのか兵馬昂太という存在が好きすぎて、もはや強火の兵馬昂太オタクなのでは…?🤔って思ってしまうんですけども、多田版昂太くんも本当に最高でした。
ずっとマスク取らずに稽古してたから素顔が全然見慣れなくて、ステージで会うたびに(ウワ!私の彼氏かっこよ〜!!!🙄)って毎回心の中で新鮮にビックリしてました。笑
キャリアのある方なので一緒にやらせてもらうのが光栄やら緊張やらって感じだったんですけども、色々と支えていただきましたし勉強になりましたし、演劇で多田さんと沢山遊べてめっちゃ幸せでした。
打ち上げで「相手役でよかった」なんて言ってもらえて震えるほど嬉しかった!!!!!!!😭
私もそう思ってますけどぉ?!?!!!(強火)
例のアドリブシーンの打ち合わせのために楽屋が○ングオブコントの控え室みたいになるのが毎日楽しい時間でした。
準優勝できて本当に良かったです🥈(売れる)

そして忘れてはいけないのがこの人。
唯一の初演メンバー・たすいち劇団員の永渕沙弥(サディ)ちゃん。

この方も、舞台に出てくると作品がスリリングになって面白さがグッと増す存在です。

キズミが生まれたとき、「キズツクキカイ」をもう一度演じているのだなと実感して、懐かしくて嬉しい気持ちになりました。
初演よりさらにパワーアップして見応えがアップしていたし、このキズミという役はサディを語る上で絶対に観ておくべき代表作なんじゃないかなと勝手に思っています。あんな俊敏さと軟体動物のような奇妙さを兼ね備えた動き、そして高低の声の使い分け両方できる女優を私はサディ以外あまり思いつかない。強靭すぎる喉わけて欲しい。
またキズミに会えて嬉しかった。本当に嬉しかったです。

また、さおさんがいたからいつも楽しくいられたこと、こだっちの演技に助けられて涙が溢れたこと、こはるの鼻に指を突っ込もうとしたこと、個人のエピソードで振り返りたいこともたくさんありますが無限になるのでこのくらいにしておきます(もうこのブログ書くのに7時間かかってる。助けて🌚)

今回は不安定な情勢の中での上演で面会ができなかったり飲みにいけなかったりと色々な制約がありましたが、精一杯演技をしてお客様から拍手をいただく、シンプルで一番大切なことは失われていなかったから、毎日演劇ができてやっぱり幸せでした。

そして、初演と再演両方に参加させてもらえて、とても贅沢をさせてもらったと思っています。
どちらも違って、どちらも大切な作品になりました。
初演メンバーにはこの作品を愛するための溢れる情熱をもらい、再演メンバーには大切に丁寧に育ててくれて、新しい顔を見せてくれてありがとうと言いたいです。

私にとってはどちらの家族も、どちらの妖怪たちも、昂太くんも、れのあちゃんも、キョーコさんも、理桜子も大切な存在です。





なんでこんなにこの作品が好きなのか自分でも説明できないけど、「キズツクキカイ」という作品がこの世に産まれてくれて良かった。
目崎くんありがとう。

一緒に作ってくれた皆ありがとう。
本をなぞって台詞を口にすれば物語は動き出すけど、あなたがいたから、あなたじゃなければ、この作品にはならなかった。

「人」が作るものを愛してる。
「人」が集まる場所を愛してる。

ご来場、誠にありがとうございました。