「最近あった楽しいことは?」

伊藤は少し悩んで最近の仕事のことで楽しいと思えた事があったのでその旨を伝えたが、ふと、私の楽しみは仕事にあることに気付き感動してしまった。仕事(お金をもらうこと)は自分の趣味や生活のためにやっていることであって本来の楽しみは他にあったはずなのだ。そういえば子供の頃、仕事を仕方なくこなしている大人達を見てこうはなりたくないと思っていた。親がその良い例であった。サザエさんのEDを見て憂鬱になるという話を当時小2の伊藤にダラダラと父に語られたことをきっかけにこんな大人にはなりたくないと思った。楽しくやっていたいと思った。
大抵の大人になった人間は子供の頃に抱いた夢や思いとは違うことをしていて、それがそうなって当たり前だと思っている。しかし伊藤は現在、子供の頃思い描いた自分、いわゆる楽しんで仕事をする自分が実現できている。伊藤は素晴らしいビジネスマンなのだ!
ただ、それはまだ両親も生きていて養ってもらっていて尚且つ土日しか仕事が入らないほぼ暇な危機的状況にあるから言えることなのだが、例え過密スケジュールになり仕事に嫌気が差してしまいストレスで逆流性胃腸炎になってしまっても(この業界にいるのなら喜ばしいことであるが)、子供の頃抱いたあの気持ちは忘れないようにしたいと思う。忘れたとき、ああいう大人になってしまう気がする。