2月22日から始まった展覧会も残すところ、あと2日となりました。

今回の個展は過去の大作から現在の作品までを網羅し、現在の私の病状などを考えると今後何m級というような大作を仕上げることは不可能に近いことから、ある意味一区切りの個展になっていると思います。

連日、多くの方々にお越しいただいています。
神戸新聞や読売新聞をご覧になって、お越し下さった方もいらっしゃいます。
また、メールや感想ノートに温かいお言葉や過分なる評価もいただき、感謝しております。

作品が本当に皆様との心の架け橋となっているのだなと実感しています。

私自身から書や芸術といったものが無くなると、一体私には何が残るのだろうと思います。

芸術=私なのだと改めて気づかされたのです。
生きることと等価なのです。

また、芸術は人間の心の救済としての最後の砦のようにも思います。

作品で結ばれた絆は深く、太いものです。

今後も創作という答えのない深い森に入っていくような道を歩んでいきますが、模索しながら、その折々の「私の今」をそっと表現できればと思います。

個展はあと2日ですが、皆様のお越しをお待ちしています。

ぜひ、ギャラリー島田へお越しください。

石井誠


○神戸新聞より

黒々とした巨大な文字が走り跳ね、強烈なエネルギーを放つ。
それはもはや文字ではないのかもしれない。刻まれているのは生命の躍動、輝きそのもの
◆神戸・北野のギャラリー島田で5日まで開催中の「石井誠展」の印象だ。
会場に渦巻く奔放な書の力に圧倒された。石井さんは、体の筋肉が萎縮してゆく筋ジストロフィーと闘い制作する尼崎出身の書家。気迫あふれる筆勢、墨跡は病人の手になるとはとても思えない
◆土、土、土…と無数の土の字が重なりカンバスを埋める横5メートルの大作「土」は抽象画のような自由さ大胆さ。草花や木々を育む土への深い思いが制作の背景にあるようだ。一方、赤い文字で「生」と記した作品は血で書いたかのような鮮烈さに、胸を打たれる
◆ご本人は今、北海道の病院に入院中だがテレビ電話で作品展示を指示したという。病床で筆を執り航空便で届けた新作も並ぶ。便箋に「花が咲く花が咲く花が咲く花が咲く」と繰り返し繰り返し、ペンで記した作もその一つ
◆一文字ごとに、祈りにも似た思いがにじむ。花は「希望」の象徴だろうか。あらゆるものが芽吹き花咲く春。季節は巡り、また「3・11」がやってくる
◆傷ついた人々にこそ、見てほしい書である。死を見据えつつも生きる勇気、喜びに満ちた“命の宇宙”がそこにある。2014・3・3