浴室から
息子と旦那さんの
なにやら楽しそうなケタケタ笑う声が
聞こえてくる。
そんなふたりの声を聞きながら
夜ご飯を作る。
しあわせだな。
自分がこんな幸せな家庭を
築けるなんて
思ってなかったから。
私の両親は
しょっちゅうケンカしてて
家ではもちろん
外食した先でも。
旅行に出かける車の中でも。
ところかまわず、
私や弟の前でも。
私はそれを聞きたくなくて
まだ小さい弟を連れ出して
玄関外の階段のところに座って
ケンカが終わるのを待ってたなぁ。
物心つく頃には
こんな家にもういたくないと
ずっと思ってた。
結婚願望もあまりなかったし、
いや、なかったことはないか。
結婚に憧れはあったけど、
幸せな家庭を築けるイメージが
わかなかった。
そもそも幸せな家庭って
どんな感じなのかな。
それがわからなかったし。
幸せな家庭を知らない私は
幸せな家庭なんて築けない、
そう思ってた。
でもそうじゃない事は
今ならよくわかる。
両親の夫婦仲の悪かった
私の家庭も
幸せじゃなかったわけじゃない。
毎年恒例だった沖縄旅行は
いつも楽しみだったし、
家族4人お揃いのTシャツを着るのが
定番だった。
夏休みの工作は
父の得意分野で
今年は何考えてくれるだろうって
ワクワクしてた。
母の作る色鮮やかなお弁当は
私の自慢だったし
美意識の高い母を
いつもそばで見ていたから
私もそうありたいと思う。
年の離れた弟と
山の中へ行って
カブトムシやクワガタムシを
採りに行くのも
今では貴重な体験だったと感じる。
嫌なこと、辛いことのほうが
人の記憶には残りやすい。
だけど、意識をそこに向けてしまうと
幸せだった記憶も
消されてしまう。
私は今幸せ。
それはやっぱりちゃんと自分のアンテナが
幸せをキャッチ出来てるから
なんだと思う。
幸せはいつも
自分のこころが決める。
あいだみつをさんがそう書いてた。
ほんとにその通りだと
思う。
