『ライ麦畑でつかまえて』の訳者、野崎孝氏とは4年間同僚だったことがある。
実はこの作品は読んだことがない。
これからも読むつもりはない。
つくり話が嫌いなのだ。
それにアメリカにも関心がゼロだ。
それはともかく、野崎さんは短気な人だった。
英文科の宴会で料理屋にいて、女性が器を下げようとすると、なんだまだ残ってるじゃないか!大っ嫌いなんだよ!そういうの!と怒鳴るのだ。
京王線で帰ったとき、ほのかに良い香りがするので、オーデコロンですか、と聞くと、まさか、でも、いつも清潔にするように心がけてます、と言った。
石鹸をハンカチに入れてるとかなんとか言った気がするが、忘れた。
学内では権力者(学長とか)にへつらっているようにも感じたが、そうしないと生きていけないひどい大学だったので仕方がない。
ある時、病気で入院した、と聞いたら、すぐに亡くなった。
青森出身だと今知ったが、死に方も何もかも粋な感じがした。
腹もぜんぜん出ておらず、長身で痩せていた。